ビジネスチャットは、業務上のコミュニケーションの活性化や生産性向上を目的として開発されたコミュニケーションツールです。SNSのような手軽さやスピード感と、下記のようなビジネス向けの機能を持ち合わせています。
- チャット(1対1)
- グループチャット
- ファイル共有
- タスク管理
- 音声・ビデオ通話
以下、国内外のビジネスチャットについて、それぞれの特徴や機能、料金プラン、導入レビューを紹介します。製品の選定に際して、基本機能や導入メリット、選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご参照ください。
ビジネスチャットは、業務上のコミュニケーションの活性化や生産性向上を目的として開発されたコミュニケーションツールです。SNSのような手軽さやスピード感と、下記のようなビジネス向けの機能を持ち合わせています。
以下、国内外のビジネスチャットについて、それぞれの特徴や機能、料金プラン、導入レビューを紹介します。製品の選定に際して、基本機能や導入メリット、選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご参照ください。
本記事では、ビジネスチャットの選び方や比較・選定のポイントを紹介します。また、企業への導入効果や起こりうる失敗・リスク、定着に向けての運用のポイントなども詳しく解説しています。今回はじめてビジネスチャットを導入する場合や、自社でチャットツールを運用しきれるか懸念がある方は、ぜひこちらもご参照ください。
ビジネスチャットは、時間や場所に制限されずに手軽にコミュニケーションを取ることができ、リアルタイムで情報共有や意見交換ができるコミュニケーションツールです。
導入効果として以下3点が挙げられます。
この特性を上手に活用すれば、社内のコミュニケーションを活性化し、不要な手間や時間を削ぎ落して業務効率を高めることができます。
ビジネスチャット上では、メールでお決まりの挨拶文や定型文を省略して、端的に伝えたい情報をやり取りすることができます。
社外とのやり取りや機密文書の取り扱いなどで、メールが必要な場面もありますが、それ以外の社内コミュニケーションをビジネスチャットに移行することで、新規メールを開いて文章を作成し、宛先を選んで送信する手間と時間を大幅にカットすることが可能です。
また、メールの場合、複数の相手に情報を発信する際には一斉送信で対処することができますが、返信を受け取る際には一人ずつ別のメールを確認しなければなりません。
ビジネスチャットであれば、グループ機能を使って常に複数人に情報共有ができ、各自の発言が時系列で表示されるため、無駄な重複を抑えつつ意見交換をすることができます。
テレワークや時短勤務などで、同じ時間に同じ空間で仕事をする機会が少なくなると、意思決定の滞りやコミュニケーションの抜け漏れが発生しやすくなります。
ビジネスチャットでは、1件の投稿でグループ内の全員に情報共有ができ、場所や時間を選ばずに連絡を取り合えることから、リアルタイムかつスピーディーな情報共有や意見交換が可能です。
会議のスケジュールを押さえにくく、メールチェックも決まった時間にまとめて行う多忙な役員クラスも、スマホがあれば自分宛ての通知を受け取ってすぐに確認することができるため、その場で素早い経営判断や簡潔な意思決定を下すことができます。
ビジネスチャットには、タスク管理・ファイル共有機能・ビデオ会議など、プロジェクトを円滑に進める機能が搭載されており、複数タスクを効率良くこなせる仕組みが置かれているのが特徴です。
例えば、プロジェクトチームのWeb会議中に、個々のタスクやスケジュールを手際よく擦り合わせ、その場で進捗表の更新やカレンダー登録を済ませていくといったことができます。会議のメモや議事録を残していくことで、会議に参加していなかったメンバーにもすばやく情報共有することが可能です。
個別の確認や返信待ちなどの時間と不要な作業を極力抑えられ、個人・チームともに生産性アップが見込めるでしょう。
ビジネスチャットの導入が企業にどういった変化を与えるのか、前述のメリットと合わせて以下のデメリット(起こりうるリスク)も把握しておきましょう。
上記リスクは事前に把握できていれば、運用ルール設計や社内周知を行うことで、発生を抑えることができます。基本的にはメリットの方が大きいコミュニケーションツールですので、特性をしっかりと理解して自社の導入環境を整えておきましょう。
時間や場所に拘束されることなくスピーディーな情報共有ができることがビジネスチャットの強みであるとはいえ、ビジネスチャットに頼りっきりになり、対面の機会がなくなると社内の繋がりが薄くなっていくことは明白です。
同じ空間と同じ時間で行なわれる対面コミュニケーションでは、些細な雑談から人柄が見え、社員同士の人間関係が構築されていく一面もあります。特に入社や部署異動で新しいメンバーが加わった際には、意識的に対面の機会を設けるなど気の利いたケアが必要になるでしょう。
対面の雰囲気に近いWeb会議システムの利用も合わせて、ビジネスチャットの利便性を活かしつつ、必要最低限の対面コミュニケーションがとれる環境も構築しておくことが重要です。
対面、口頭、テキストメッセージによらず、ビジネスには意思疎通や伝達がうまくいかないミスコミュニケ―ションのリスクが付き物です。
このうちビジネスチャットの場合は、「情報の省略」による伝達ミスや誤解が生じることが多いようです。省略とは、例えば「いつ、どこで、誰が、なぜ(どんな理由で)、何を、どうやって」という5W1Hが抜けているケースなどが該当します。
必要な情報のみを端的に発信でき、スピーディーな意見交換ができる反面、伝えるべき情報の取捨選択が主観的になりがちです。それが意思疎通の乖離に繋がります。
ただし、コミュニケーションを円滑に進めるうえで、「省略」は必要な要素でもあります。伝達ルールを具体的に細かく設定するのではなく、省略によってミスコミュニケーションが起こりうるということを認知させておくことが重要です。
ビジネスチャットは、いつでもどこでも簡単に情報の発信やチェックを行うことができます。しかしこれは、待ち時間を省略して業務を効率化できる一方で、終業後や休日、有給期間中にも連絡ができてしまうことを意味します。
勤務時間外には通知をオフにする、メンションを付けて投稿しないなどのルールを定めることもできますが、それでも人によっては無用の精神的プレッシャーを感じることもあるでしょう。
またチャットツールは、思い立ったらその場で手軽にメッセージを発信できる分、細かいコミュニケーションが必然的に多くなります。頻繁に送られてくるメッセージの対応に気を取られると、本来の業務に集中できずに生産性が低下してしまうリスクがあることにも注意が必要です。
このようにビジネスチャットは、業務効率の向上とコミュニケーションの粗さから生じるリスクが表裏一体となっています。起こりうるリスクを正しく認識し、あらかじめ対策を用意しておくことでビジネスチャットの導入効果を最適化することができるでしょう。
数多くのビジネスチャットは、それぞれが異なる強みや特徴を持つのはもちろんのこと、どのツールも新しい機能がどんどん追加されています。
この中から、自社に適した製品を選び出すには、「ビジネスチャットを主にどんな場面で活用するのか」「ビジネスチャットの導入で何を解決したいか」といった自社のコミュニケーション課題や導入目的をあらかじめ整理しておくことが重要です。
選定の際に導入目的がブレていると、選定軸が機能数とコストに偏ってしまい、導入後に運用しきれなかったり、かえってコミュニケーションコストがかかってしまうといったことが起こりかねません。
例えば、顧客とのコミュニケーションを活性化したいのであれば、現状で業務のどの部分でコミュニケーションのロスが発生しているか、顧客とのやり取りでどんな不都合や問題が発生しているか、具体的な課題を細かく分析してみましょう。
上記の課題を解消するには、グループチャットやビデオ通話の基本的な機能のほか、企業ポリシーによっては、社員のアカウント管理や外部SNSとのアクセス制限も必要になるでしょう。
このように、ビジネスチャットに必要とされる機能や重視すべき条件は、その企業におけるチャットツールの活用シーンやコミュニケーション課題によって変化します。この点を踏まえて、次章の具体的な比較ポイントを見ていきましょう。
ビジネスチャットを比較・選定する際のポイントは下記5点です。
客観的に優れた製品でも、自社の導入環境に合わなければ費用対効果が低下してしまいますので、上記を1点ずつ確認しておきましょう。
ビジネスチャットを、取引先や外部パートナーとのやり取りにも活用する場合は、選定基準として市場シェアも視野に入れておいた方がいいでしょう。
もちろん1つのツールに統一することは困難ですが、あまりにもバラバラだとお互いに不便です。常に自社か相手のどちらかがゲストアカウントで利用するのは、ユーザー管理や情報セキュリティの面でもあまり好ましくありません。
新規サービスの参入も多く、これから市場シェアがどう変動するのかは予測が難しいですが、ひとまず導入時点における各サービスの導入企業数(導入実績)は確認しておくべきでしょう。
ビジネスチャットは、新入社員から役員まで全社員が利用の対象者になるケースがほとんどだと思いますが、もし使い方を難しく感じる人がいれば、導入しても定着せず使われなくなっていきます。
搭載されている機能の種類や数に違いがなくても、画面のレイアウトや操作方法は製品ごとに異なりますので、こちらは導入前のトライアルで操作感や見やすさを確認しておきましょう。
特に、企業規模が大きく、かつチャットツールをはじめて導入する場合は、機能性よりも操作性や親しまれやすさを優先し、まずはチャット文化の定着を目指すといいかもしれません。
ビジネスチャットは単なるコミュニケーションツールではなく、タスク管理やスケジュール共有といったビジネス向けのサポート機能も多数搭載されています。外部サービスとの連携も合わせて、機能を拡張していくほどビジネスチャットの汎用性は高まるでしょう。
ただし、その汎用性が発揮されるのは、搭載機能をフル活用できる場合に限ります。不要な機能や使いこなせない機能が多いと、無駄なコストを支払うこととなり、また運用ルールも定めにくくなる傾向があるので注意しましょう。
例えば、「ログイン時間管理機能」「日報提出メニュー」などがあれば、ビジネスチャット上で勤怠管理や稼働状況の把握できますが、それらの機能が本当に必要なのか、既存の勤怠管理システムを別途運用する場合とどちらが効率的かを考える必要があるということです。
最初に設定したビジネスチャットの導入目的に立ち返って、まず自社に必要不可欠な機能を見極め、できれば搭載したい機能、無くてもいいがあると便利な機能、といったように、自社がビジネスチャットに求めるものに優先順位をつけて整理するといいでしょう。
外部サービスとの連携機能(API連携)は、一部のビジネスチャットでサポートされている機能です。ビジネスチャットに他の業務システムやWebサービスの機能・データを組み込むことができます。
作業の度にアプリケーションを切り替えることなく、ビジネスチャット上で更新通知の受け取りや情報の確認、データの同期や編集を行うことが可能です。
どのサービスと連携できるかは製品によって異なります。こちらも他の機能と同様、業務を効率的に進めるうえで必要性の高い外部サービスから優先的に押さえていきましょう。
コミュニケーションツールであるビジネスチャットでは、社内の機密情報を取り扱うこともあるでしょう。いつでもどこでもスピーディーな情報共有ができる分、内部犯行による情報漏洩や外部からの不正アクセスを防ぐ対策はこれまで以上に求められます。
ビジネスチャットには、ファイル暗号化やパスワード設定など、基本的なセキュリティ対策は準備されていることがほとんどですが、高度なセキュリティ機能や細かいユーザー管理は、サービスによって採用している対策が異なるため注意が必要です。
例えば、ユーザー認証システム(ログイン方法)には、「多要素認証(二段階認証)」「ワンタイムパスワード」などさまざまな形式があります。そのほか、デバイスのアクセス制限、チャットログ管理なども、情報漏洩のリスクを低減する重要な内部監査機能です。
また、機密情報が誤って漏洩しないようにファイル送受信を承認制にしたり、ユーザーごとに機能の操作権限を設定することもできます。ただし、あまりにもセキュリティを強固にすると、ビジネスチャットの特性である利便性が損なわれてしまう可能性もあります。
まず、自社の情報セキュリティポリシーを満たす機能が搭載されているかを確認し、サービスを比較する際には、「セキュリティ・内部統制の強化」と「利便性の確保」の2つの観点から検討しましょう。
コミュニケーションや情報共有の手段として、多くの企業で利用されるようになったビジネスチャットですが、「今までメールしか使ってこなかったが大丈夫か」「自社で管理・運用しきれるのか」といった懸念を抱える企業も多いようです。
以下、特にビジネスチャットをはじめて導入する企業の方に向けて、導入前に押さえておきたい4つのポイントを解説します。
ビジネスにおけるコミュニケーションには、対面、電話、メールがありますが、4つ目のコミュニケーションとして認知され始めているのが「チャット」です。
ここで留意点は、以上4つのコミュニケーションは業務を進める上での手段の1つに過ぎないということです。それぞれの特徴に合う適切な活用シーンがあります。
つまり、ビジネスチャットを導入したからと言って、他のコミュニケーション手段がなくなるわけではありません。対外的なやり取りや営業活動はまだまだ「メール」が主流です。
社外の取引先やパートナーでも、自社との関係性や連絡の頻度、情報共有の内容によってはチャットを活用するケースも増えてきてはいますが、現状は完全に移行できることはなく、社外の相手に対してはチャットとメールの使い分けが必要になります。
これまで長い間、業務上のコミュニケーションツールとしてメールが定着している以上、ビジネスチャットの導入に抵抗を感じる方も少なからずいると思います。
SNSなどを積極的に利用している若い世代は、ビジネスチャットにも親しみを感じやすいですが、不慣れな方にとっては、チャット上でのコミュニケーションの取り方からグループチャット、メンションの付け方、通知設定まで一つひとつ戸惑うのも無理のないことです。
ここで、チャットツールの利便性を知ってもらおうと、過度に他ツールとの連携性や機能の充実したツールを選んでしまうと、最初から操作に手こずり、そのうちチャットから離れてメールだけを使うようになってしまいます。
はじめてチャットツールを使う方が多い場合は、まず社内にチャット文化を浸透させることが重要です。基本機能のみを搭載したシンプルなビジネスチャットから導入し、チャットツールを利用することに慣れてもらうことを重視しましょう。
一方で、チャットツールへの慣れから、ビジネスチャットをLINEのようにプライベート感覚で使ってしまう人も出てくる可能性があります。
メールよりもフランクに、素早い情報共有ができるビジネスチャットですが、あくまで業務上の連絡・情報共有が目的であることを忘れないようにしましょう。ツールの使い方には問題ないかもしれませんが、新卒社員にはメールや電話と同じようにビジネス上のコミュニケーション教育は必要です。
また、個人のチャットツール感覚で利用すると、利用者本人のセキュリティ意識が甘くなるリスクもあります。情報漏洩の要因の大半は人的ミスです。ログインID/パスワードが外部に漏れると不正アクセスに繋がりますし、デバイス制限をかけていても、そのデバイスが盗まれない可能性はゼロではありません。
ビジネスチャットにはある程度のセキュリティ対策は施されていますが、利用者本人の意識が低ければ、それらの機能も意味を成しません。導入時には、トラブル時の対処などの教育とルール化を行い、起こりうるリスクとセキュリティ対策の重要性を周知徹底しましょう。
ビジネスチャットと混同されやすい類似のコミュニケーションツールに、「社内SNS」があります。社内SNSもコミュニケーションを活性化するという役割を持つツールですが、ビジネスチャットとは「利用される目的や活用シーン」が異なります。
社内SNSは、特定のプロジェクトや業務と直接関係がないお役立ち情報、個人が持つナレッジ・仕事ノウハウ、全社お知らせなど、社内の不特定多数または全体に向けた情報発信を行います。
一方で、ビジネスチャットは、主にプロジェクトや業務ごとにグループ分けをし、グループ内の特定の相手と情報を発信し合い、スピーディーな情報共有や意思決定を行うことが目的です。
ビジネスチャット内に全体発信のグループを設けることで、社内SNSと同等の役割を持たせることもできますが、取り扱う情報や活用ルールなどを明確にしておいたほうがいいでしょう。
以下に、ビジネスチャットと社内SNSの違いをまとめます。
ビジネスチャット | 社内SNS | |
---|---|---|
情報発信の相手 | 社内のプロジェクトチーム 取引先の相手 | 社内の従業員 |
グループ分け | プロジェクトチーム 業務目的 | 会社全体 部署や職種 情報のジャンル |
得意領域 | 情報管理・タスク整理 取引先とのやり取り 外部アプリとの連携 クローズドな情報共有 | 全体への情報周知・告知 |
目的 | コミュニケーションの活性化 業務効率化・生産性向上 | コミュニケーションの活性化 エンゲージメント向上 |
活用シーン | プロジェクトの進行 業務連絡 Eメールの代替 | 社内ポータルの代替 部門別の掲示板・告知板 ノウハウ・ナレッジの共有 業界ニュースの共有 |
このように、ビジネスチャットと社内SNSは、コミュニケーションツールとしての機能こそ類似しているものの、利用する目的が大きく異なります。
そのため、コミュニケーションツールの導入を検討する場合は、目的に合わせてどちらかを選択するか、もしくは用途の明確な線引きをして両者を使い分けることをおすすめします。
最後にビジネスチャットの代表的な機能を紹介します。機能名称や詳細な内容は、製品によって異なることがありますのでご了承ください。
リモートワークや在宅勤務など場所を選ばない働き方が広がり、コミュニケーションツールの重要性が高まりつつある中、2020年の新型コロナウイルスの影響で半強制的にテレワーク制度が普及したことで、ビジネスチャットを導入する企業が急増しています。
この機をきっかけに、今後はビジネスチャットを使用していない企業の方が少なくなっていくことが予測されます。
それに伴って、ビジネスチャットの機能の拡張性や活用シーンの幅もどんどん広がっているため、まずは自社の現状課題に向き合い、本記事の選定ポイントを参考に最適なビジネスチャットツールを比較・検討して頂ければと思います。