オウンドメディアのコンサルに依頼する前に押さえるべき3つのこと

オウンドメディアを立ち上げたいがどうしたらいいのかわからない。また、運用中のオウンドメディアの成果がなかなか出ない、伸びないと悩む方は多くいる印象を受けます。

そう悩まれる方は、コンサルティングサービスを利用し現状を打破したいと考える一方で

・依頼先のどのようなポイントを見ればいいかわからない
・正しい知識を持ち合わせておらず不安だ
・依頼して費用対効果がとれるのかがわからない

といった迷いを持たれているのも事実です。

本記事では、迷いを打ち消し、納得してコンサルティング依頼ができるように、依頼する前に押さえるべき事柄を紹介しています。

寺倉そめひこ
株式会社MOLTS

1987年、京都生まれ。藍染職人から2013年株式会社LIGに入社。同社でメディア事業部部長、人事部長を経て、2015年9月からは執行役員を務める。2016年3月にデジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立し、独立。オウンドメディア、コンテンツマーケティングのアドバイザリー、インハウス化支援、運用代行を軸にし、事業開発、営業組織教育、組織開発など幅広く支援の幅を広げ、累計50社以上の事業成長に貢献する。

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「儲ける手段」と理解して、実績・事例を見ると足切りは容易

オウンドメディアと一言でいっても、分類は多岐に渡ります。「メディア」と名がつくため、新着記事がTOPページに並び、PVを追い求める「商業メディア(例えばBuzzfeedや日経ニュース)」をイメージされる方が多くいます。

しかしながら、商業メディアは基本的に「直接的にお金を稼いで事業を形成するメディア」です。

一方でオウンドメディアは、「Owned Media = 自社が所有するメディア」である以上、自社にとってプラスに働く必要性はありますが、必ずしも商業メディアのように直接的なお金稼ぎだけがオウンドメディアではありません。

事業・採用課題を解決する手段としてのメディアとして

私は、オウンドメディアを「事業・採用課題を解決する手段としてのメディア」と定義しています。

例えば、事業課題として以下が発生するとします。

・サービスを成長させるために、多くのリードが欲しい
・ECサイトの売上を上げなければならない
・採用候補者に自社のことを知ってもらいたい etc…

上記のような多くの課題を解決するのが、オウンドメディアの本質的な役割です。

ここに、マーケティング、ブランディング、PRと考え方や攻め方の違いはあれども、事業や採用の課題を解決し、

・顧客獲得 > 認知拡大 > エンゲージメント向上 >  言葉(市場で流行らせたい新しい用語)の創出等を経て売上を増やす
・新規採用 > 組織エンゲージメント向上 > 社内教育等を経て企業を強くする

などのプロセスを経て、間接的に「企業を儲けさせる」ために存在することが、9割以上のオウンドメディアの役割だと考えています。

実績を見て手っ取り早く「いいコンサル会社かを見極める」方法

最終的に企業を儲けさせるのがオウンドメディアの役割なのであれば、「儲けさせたことがある、儲けさせるであろう実績」があるかどうかを探せばいいわけです。

もちろん、抱えている課題によりますので一概には言えませんが、本質的には以下のような文言が書かれている事例・実績があれば、ひとまず選定の基準として考えてもいいかと思われます。

事業課題の解決で儲かる指標になる可能性が高い事例

・売上、利益の向上の事例

・リード、お問合せの獲得の事例

・リピーターの増加の事例

・会員数増加の事例

・指名検索数の増加の事例

・株価上昇の事例

・新しい言葉の創出の事例

・顧客エンゲージメントの向上における全体的なCVRの向上の事例

などが、企業や事業、サービス等を間接的に強化し、最終的に企業の儲けに繋がるであろう指標になり得る文言です。

採用・組織課題の解決で儲かる指標になる可能性が高い事例

・エントリー数の増加の事例

・内定率の向上の事例

・採用候補者の認知、エンゲージメントの向上の事例

・離職率の低下の事例

・社内教育における従業員のレベルの向上事例

・生産性の向上の事例

などが、企業や組織を強めて、最終的に儲けに繋がるであろう指標になり得る文言です。

儲けられるであろう実績がなくても、信頼ができる会社もある

上に記載した文言が実績や事例になかったとしても、自身がユーザーの目線に立って良質なコンテンツを作っている企業のインハウス化支援の実績や、思想が美しくかつ体現しているオウンドメディア実績を作っている企業であったりは、自ずと儲けに繋がっている場合があります。

手っ取り早く判断するなら「儲けさせたことがある、儲けさせるであろう実績」があるかどうかを見て、仮になかったとしても、心に引っかかる企業は話を聞いてみてもいいでしょう。

ただそうなると、結局どれも良さそうで選べないとなりそうなので、逆に私の目線で信用があまりない会社について、次節で紹介します。

私があまり信用していないコンサル会社の特徴

私もオウンドメディアのコンサルを行い、企業を儲けさせるためにプロデュースからグロース、インハウス化支援等を行うため、あまり他社を悪く言うつもりはないですが、正直これはあまり信用できないなと思うことは多々あります。

そもそも「手段が売り」「パッケージ」になっている

オウンドメディアで企業を儲からせようとした場合、様々な手段を活用します。

・コンテンツSEO
・SEO内部施策
・コンテンツマーケティング
・レポート解析
・サイト改善

これらは、実際によく見る文言ではないでしょうか。

しかしながら、これらはあくまで手段であって、ただただそれらを「強調するのみ」で、実際に企業や事業の成長にいかに繋げるのか、または繋がった実績・事例がない会社は、手段売りになっているため、「儲け方 = 成果の獲得方法」であることを理解しておらず、無駄金が流れる可能性が高いです。

例えば、私が過去50社以上のコンサルに入ってきましたが、その中で解析レポートは、9割以上のオウンドメディアにおいては不要でした。例えばGoogleアナリティクスで見るべきデータは、フェーズごとに変わりますが、都度見るべき指標は7つ以下であることがほとんどです。

サイト改善は最低でも月間10万UU以上にならない限り、データがなさすぎて無駄です。SEO内部施策はかれこれ50社以上見てきましたが、必要だったのは5サイト以下です。

重複になりますが、これらはあくまで私のクライアントのケースです。ただし、手段を売りにすると、不要な事柄が多くついて回るのも事実です。

立ち上げてすぐの月間1万PVにも満たないオウンドメディアの数字を見て、あれこれと議論に時間をかけるよりも、成果に紐づくコンテンツを1本書いた方が価値がある、というとご理解いただけるかと思います。

PVやUUや、検索順位の上昇ばかり実績にしている

また、実績や事例として、オウンドメディアで成果を残すために不要な情報が、あたかも凄いですという雰囲気を醸し出して書かれている場合もまた怪しいわけです。

よく「PV数」を指標にする企業を見受けられますが、PV数は広告を貼って直接的な収益を得る意味では多くの場合で重要視される指標です。

しかしながら、お問合せを獲得したりなど、「事業・採用課題を解決する手段としてのメディア」としてオウンドメディアを捉えた場合は、9割以上が指標に置くことはありません。

例えば、お問合せの獲得を目的にしたオウンドメディアがあり、5万PVでお問合せが10件だから、その倍の10万PVでお問合せは20件を目指そう!といった話にはならないのです。

PVとUUが増えたら比例して成果に繋がる、は幻想です。10万PVでお問合せが20件あったが、5万PVでお問合せが30件になる、みたいなことは当たり前に生じます。

また、検索順位がこれくらい取れました!というのもまた、価値があるキーワードと価値がないキーワードに分かれるわけです。ここでも、順位が100キーワードが1位でお問合せが10件でも、5キーワードが1位でお問合せが100件などは普通に生じます。

したがって、検索順位がいくら上がったか、ということではなく、その先にある「儲かるであろう指標」で判断しなければ意味を成しません。

上記を踏まえて、指標としてPVやUU、検索順位などを並べているだけの企業は、不要な要素でアピールしていることになり、結果としてあまり信用はできないな、となってしまうわけです。

「戦略設計」「最適な運用」「成果にこだわる」と書いていて実績・事例が不在

手段を売りにはしておらず「PV」「UU」上昇を並べただけでもないが、半信半疑になってしまうのは、よくコンサルが使いたがる「戦略設計」のような文言が書かれていて、実績や事例が何もないケースです。

オウンドメディアは、目的や思想の数だけ形があり、最適な攻め方もリソース状況や予算等によって変わってくるわけです。また、一度立ち上げたら長くに渡って運営を続けていくため、短期的な発想ではなく、中長期的にフェーズをわけて組み立てる必要があります。

だからこそ、戦略設計が非常に重要です。戦略とは「何をするのかを決めること」であり、裏返せば「何をしないかを決めること」でもあります。

様々な形、攻め方があるオウンドメディアだからこそ、明確に決めていく必要があります(パターンに合わせて5分で決まる場合もありますが)。その意思決定は、必ず思想やミッションに紐づいてくるわけで、だからこそ儲かる、または儲かるであろう成果が出ます。

ですので、成果が出た実績や事例が書かれていなければ、そもそも論でその企業が正しく戦略設計できているかは計り知れません。

これは、「最適な運用」「成果にこだわる」といった言葉に対しても同様に、実際の実績が伴っているか、注意すべきポイントと言えます。

コンサル会社にも強みと弱みがある

先ほども簡単にお伝えした通り、オウンドメディアは目的や思想の数だけ形があり、攻め方もリソース状況や予算等によって最適な形が変わっていきます。

そのため、オウンドメディアのコンサル会社といっても、得意不得意とする領域があります。

弊社MOLTSの強みと弱み

例えばですが、弊社の場合は、採用に起因するオウンドメディアは得意としていません。そのため、求職者向けオウンドメディアの運用代行、コンサルティングのご依頼は他社を紹介するようにしています。

また、自社が所有しているSNSのアカウントも広義の意味ではオウンドメディアですが、Facebook、Twitter、Instagram等のアカウントの運用も弊社では受けないようにしています。

以下URLより事例を見ていただければわかりますが、事業の成長に起因した成果に対して、コンテンツSEOを主軸として組み立てる場合は、弊社はこの業界でもかなり強いと考えています。

▶︎ オウンドメディアの実績一覧

あえて競合を載せるなら、株式会社ナイル株式会社ルーシーもまた、弊社と同じ強みを持っており、実績を見る限り素晴らしい会社だと認識しています。

また、弊社が紹介する先のように、TwitterやInstagramをはじめとしたSNSアカウントに強みを持つ企業もあれば、採用に強みを持つ企業もあります。

目的に沿って、どういうことが考えられるのかを想定し、各社のサービス紹介ページや実績・事例から強みと弱みを把握、最適な企業複数社に話を聞いてみてください。

適切な会社を選ぶなら、最低限のスクリーニングをして話を聞くこと

強みと弱みを理解しても、どう選べばいいかわからないという時は、上に記載した内容をもとに、最低限のスクリーニングを行い、複数社に話を聞いてみると良いです。

その際に

  1. 貴社ならどう目的を達成させますか
  2. どういう指標を立てるべきですか
  3. 同じような事例はありますか

この3つの順に質問をし、一番納得の行く説明を受けた企業に依頼すると良いかと思います。

1は戦略について理解できるかどうか、2は目的を達成する際に必要な数字についてが理解できるかどうか、3は類似事例を聞いてイメージが湧くかどうかが重要です。

未来のことはわかりませんので、依頼した時点では、うまくいくかわかりません。だからこそ、より鮮明なイメージを持って納得した意思決定ができるよう是非上の3つの質問を投げかけてみてください。

最適なパートナーを選ぶことに、時間と苦労を惜しまないこと

オウンドメディアは一度始めると、せっかく投資して作ったモノという認識になり、中なか辞めづらくなります。また、初期戦略がそもそも適切でなかったら、目標達成まで多くの遠回りが発生し、無駄なお金と工数が流れていきます。

よく弊社でも、運用中のオウンドメディアのコンサルティングに入るケースがありますが、なかなか悲惨な状況になっているパターンがあります。また、そうした状況からシフトするにもコストがかかります。

これは、コンサル会社だけでなく、運用代行を依頼する時もそうですが、「早く決めたい」「安く決めたい」とならず、最適なパートナーを選ぶことに時間と苦労を惜しまないことを強くおすすめします。

できれば3〜4社に話を聞き、中長期に渡って帆走するパートナーをしっかりと選びましょう。

是非、素晴らしいオウンドメディアが世に広がっていく、そして儲かっていくことを願っています。

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