CVR改善の施策10選!低下要因の分析方法を4ステップで解説

CVR改善が事業収益に与える影響とは

Webサイト改善の中でもCVRは事業成長や売上に与えるインパクトが大きい指標です。

CVRとは、セッション数に対して獲得した成果(CV数)の割合

CVR(コンバージョン率・CV率)とは、Webサイトのセッション数のうち何割が成果(CVポイント)に到達したかを示す指標です。次の計算式によって算出されます。

CVR(%)= CV数 ÷ セッション数 ×100

CV数やセッション数は、それぞれアクセス解析ツール(アナリティクスなど)で確認可能です。CVRの平均値は、業種やCVの種類(会員登録、商品購入、資料請求など)によって異なりますが、一般的には2~3%程度が目安と言われています。

CVRをアップさせることは、「自社サイト運営を、より効率的に利益発生へつなげる」ということでもあります。CVR向上策としては、分母であるセッション数(たとえばアクセス数)自体をむやみに増やすことはせずに、むしろ「自社サイトへアクセスしてくれたユーザーの多くが、確実に魅力を感じてくれること」を目指します。つまり自社サイトを、「ターゲットユーザーにとって」十分な訴求力を持つものに改善することが重要です。

ほかにも、オンライン広告のターゲティングを最適化することなども、CVRの改善施策にあたります。無意味なセッションを減らし、CV達成しやすいユーザーにのみ広告を届けることで、CVRは向上するでしょう。

このようにCVR向上策では、自社サイトや広告が、ターゲットにとってより使いやすく・魅力的なものにすることを目指します。それによって、新規顧客開拓やリピーター獲得などを進めていくのです。

CVR改善のための2方面のアプローチ

CVRの改善には、大きく分けて2つの方向からのアプローチが挙げられます。

第一のアプローチは、「集客の質を高める」ことです。ターゲット層を絞らない集客を行っても、「増えたアクセスの多くがCV達成の見込みが低いユーザーだった」といった状況を招き、CVRを悪化させかねません。たとえば、広告のターゲティングを詳細かつ適切に行い、ユーザーを意欲的にCVへ向かわせるような情報が盛り込むことで、CVRの向上が見込めるでしょう。

第二のアプローチは、「ユーザーをCVポイントに到達させる」ことです。広告などから自社サイトにアクセスしてくれたユーザーは、そもそもCVへ至ってくれる可能性が高いユーザーです。そのモチベーションを削ぐことなく、CVポイントへ到達させることを目標として、サイトのレイアウトなどを改善します。ランディングページ制作・編集を筆頭に、サイト全体の魅力や使いやすさを高める取り組みを着実に進めましょう。

CVRを下げてしまう要因

CVRを改善するには、まず現状の問題点を明確化しましょう。CVRを下げてしまう要因としては、主に以下の例が挙げられます。

  1. ターゲットユーザーを集客できていない
  2. CVポイントがユーザーの目的からズレている
  3. ユーザーがCVポイントにたどり着いていない
  4. 入力フォームの途中で離脱している
  5. カゴ落ちが発生している(ECサイト)

1. ターゲットユーザーを集客できていない

集客したユーザーが、自社サイトのターゲット層と異なっている場合、CVRは下がってしまいます。

たとえば、「法人向けのサービスサイトに、一般の消費者が多く訪問してしまう」といった状況が挙げられます。一般消費者は基本的にCVに至ることはないため、分子は増えないまま分母(セッション数)のみが増大し、結果、CVRが下がります。

「ターゲット以外のユーザーが自社サイトへアクセスしてしまう」というケースが起きる原因としては、「SEOタイトルや広告文・バナー画像が不適切であること」が代表的です。

2. CVポイントがユーザーの目的からズレている

自社で設定しているCVポイント(提供価値)が、ユーザーの目的から離反している場合にもCVRは下がります。

たとえば、情報収集を目的として自社サイトへアクセスしたユーザーに、いきなり「サービス申し込み」をCVとするページを見せるのは効果的ではありません。こうした場合は、CVを「資料請求」とするページを間に挟むなど、CV設定やサイト設計の見直しが必要になります。

3. ユーザーがCVポイントにたどり着いていない

サイトの内容が不十分で、購入ページや申し込みページの場所がわかりづらい場合、ユーザーはCVポイントにたどり着くまでに途中離脱してしまいます。

具体的には、「CTAが見つからない・見る機会が少ない」「CV地点に到達するまでページ遷移が多い(3クリック以内でたどりつけない)」「表示スピードが遅い」「CVに対する訴求が弱い」などの例が挙げられます。これを改善するには、サイト全体の見直しが必要になります。

4. 入力フォームの途中で離脱している

最後の入力フォームの段階で途中離脱してしまう顧客も多く存在します。たとえば「入力項目が多すぎて面倒に感じる」「エラーメッセージが出て気が挫けた」などがその理由です。ユーザーのCVへのモチベーションを維持できるように、入力フォームはわかりやすく、使いやすいものにしましょう。

5. カゴ落ちが発生している(ECサイト)

ECサイトの場合は、「カゴ落ち」によってCVが低下している可能性があります。カゴ落ちとは、買い物かごに商品を入れた状態で離脱してしまうことです。カゴ落ちの原因としては、「商品やサイトに対する疑問や不安が生じた」「複数サイトを比較中にカート内の商品のことを忘れた」「希望の決済方法や配達日時を選択できなかった」などが挙げられます。

CVR改善の進め方

CVRを改善するには、順序立てて取り組んでいくことが重要です。以下では、CVRを効率的に改善するための進め方を解説します。

  1. 自社サイトのCVを明確にする
  2. サイト分析を行い、CVRを下げている要因を洗い出す
  3. 仮説を立て、実施する改善施策を決定する
  4. 施策実施と効果検証を繰り返す

ステップ1. 自社サイトのCVを明確にする

最初にすべきことは、CVの定義を明確にすることです。CVは、「会員登録の完了」「特定コンテンツの閲覧」「商品購入」「資料請求」など、自社の業種や状況によってさまざまに設定可能です。ゴールとなるCVを明確にしておかなければ、当該サイトに必要な施策を見つけ出せません。

まずは「自社サイトにおけるCVとは何を指すのか」「ユーザーにどのページでどんな行動を取ってもらうことを、CV達成とみなすのか」「CV達成に直接的につながるCV地点は、どのページか」など、CVに関する情報をしっかり整理することから始めましょう。

ステップ2. サイト分析を行い、CVRを下げている要因を洗い出す

​​アクセス解析ツールやヒートマップなどを利用してサイト分析を実施し、現状把握と課題の洗い出しを行いましょう。このサイト分析で見るべきポイントとしては、以下の項目が挙げられます。

(1) 全体のアクセス状況とランディングページ

まずは全体のアクセス状況とランディングページを分析します。たとえばランディングページでの離脱率が極端に高い場合は、「ターゲット層と異なる顧客が流入してしまっている」という状況が想定されます。

(2) CV経路上にあるページ

CV経路上の離脱率などの確認も重要です。「あるページから別のページへの遷移率」などを個々に確認し、サイト全体でボトルネックになっている箇所を分析しましょう。

(3) CV地点(入力フォーム)での離脱率

最後の入力フォームでの離脱率も重要な指標となります。せっかくここまでたどり着いたユーザーも、入力フォームが整備されていなければ、7割程度が離脱するとも言われます。

ステップ3. 仮説を立て、実施する改善施策を決定する

分析したCVRの低下要因と、それに対応する改善施策を整理し、優先順位を付けながら実施すべき施策を絞り込んでいきます。ボトルネックのページを特定し、たとえば「実装工数に対して見込める効果」などの仮説を具体的に立て、施策を検討しましょう。

ステップ4. 施策実施と効果検証を繰り返す

EFOツールの導入によって、入力文字の半角・全角を自動で変換し、いずれかに統一できます。ユーザーの手間や誤入力を軽減し、書式が統一されることで企業側の情報管理も容易になるでしょう。

CVRを改善する10の施策例

以下、CVRを下げる要因と照らし合わせながら、具体的な改善施策の例を10個紹介します。

  1. Web広告のターゲティングを最適化する
  2. LPOを実施する(ランディングページの改善)
  3. リマインドメールを配信する(カゴ落ちメール)
  4. 複数のCVポイントを設定する
  5. CVボタン(CTA)の露出を増やす
  6. CVまでの導線設計を強化する
  7. EFOを実施する(入力フォームの改善)
  8. サイト全体のユーザビリティを高める
  9. FAQコンテンツを充実させる
  10. Web接客やチャットボットを実装する

1. Web広告のターゲティングを最適化する

集客されたユーザー層とサイトのターゲット層にギャップが生じないように、Web広告のターゲティングを最適化します。具体的には、「広告文やSEO、バナー画像の見直し」などです。

前提として、ターゲット層による利用の多い媒体で、広告を配信することが重要です。広告の配信結果から、「どのような属性を持つユーザーのCVRが高いのか」を分析して、ターゲティングをさらに最適化していきましょう。

2. LPOを実施する(ランディングページの改善)

サイトの顔であると同時に、多くのユーザーが最初に離脱する原因となるのがLP(ランディングページ)です。サイトの分析・改善を行う際には、まずこの見直しから始めましょう。

3. リマインドメールを配信する(カゴ落ちメール)

カゴ落ちが多く発生している場合は、リマインドメールの配信も効果的な手段です。「お買い物をお忘れではありませんか」など、カゴ落ちしている商品の案内を送ります。サイトをいったん離脱したユーザーが再訪し、商品を購入してくれる可能性を高めます。

4. 複数のCVポイントを設定する

自社とユーザーの間で目的(CVポイント)のズレが考えられる場合、「複数のCVポイントを設定する」ことも1つの手です。「サービスの申し込み」だけをCVに設定するのではなく、たとえば「サービスの認知」→「資料請求」→「サービス申し込み」というように段階的に各CVを設定しましょう。

5. CVボタン(CTA)の露出を増やす

CVボタンの露出を増やすことも重要です。これはCVへの訴求力を高めると同時に、CVポイントへの導線設計を考える上でも大切な取り組みです。

6. CVまでの導線設計を強化する

上記とも関連しますが、CVまでの導線設計の強化も欠かせません。「CVポイントに遷移するまでの道のりが長い・わかりづらい」場合、それだけ途中離脱率は高まります。ユーザーが簡単にCVへたどり着けるように導線設計しましょう。

7. EFOを実施する(入力フォームの改善)

EFO(入力フォーム最適化)も重要です。CV直前までたどり着いたユーザーを逃さないように、徹底した「ユーザー目線」から、使いやすく、むだのない入力フォームを作成してください。

8. サイト全体のユーザビリティを高める

サイト全体のユーザビリティを高めることも当然重要です。たとえば、現在、PC画面用にしか自社サイトを設計していないなら、スマートフォンに最適化されたUIデザインも早急に作成してください。また、情報の古くなった不要ページを削除したり、エラー要素を排除したりといった、こまめな更新作業も重要です。

9. FAQコンテンツを充実させる

FAQコンテンツの充実も重要です。自社の商品・サービスに関して顧客が疑問や不安を感じた時、自己解決できる手段をあらかじめ一覧化して提示しておくことで、ユーザーの満足度を向上させられます。結果的に、新たな商品・サービスに関してのCVを高めることにつながります。

10. Web接客やチャットボットを実装する

FAQだけでは不安を解消しきれないユーザーがいることも想定されます。そうしたユーザーに対応するため、Web接客やチャットボットの実装なども検討しましょう。これは顧客接点を増強する取り組みとしても有効です。

まとめ

CVRを改善するには、Web広告におけるターゲティングから始まり、LP、導線設計、EFOなどいくつもの要素を分析する必要があります。

改善策を策定する際には、この分析結果に基づいて、優先順位を付けながら実施していきます。サイトを見直す際には、ユーザー目線を意識することが重要です。本記事を参考に、ぜひCVRの高いサイトづくりに取り組んでください。

カテゴリ: