福利厚生は全部で16種類|法定・法定外の違いと満足度の高い人気制度

「福利厚生の種類ってどんなものがあるのか?」「最新の福利厚生サービスが知りたい」本記事を読んでいただいている方は、このような疑問をお持ちなのではないでしょうか。

福利厚生は従業員の満足度を高めるだけでなく、会社全体の組織力を向上させることにも結びつく重要な施策の一つです。実際、株式会社マイナビが2018年に大学生4,466名を対象に行った調査では、企業選びで重視するポイントで「福利厚生の充実」がトップとなるなど、人材確保の面からも注目されています。

ただ、福利厚生を取り入れるためにもコストがかかるため、できるだけ従業員満足度が高く、コストパフォーマンスの良い福利厚生を導入したいと考えている企業も多いことでしょう。

そこで本記事では、福利厚生すべての種類や従業員が求める福利厚生、おすすめの福利厚生アウトソーシングサービスなど、満足度の高い福利厚生導入を考えるうえで知っておくべき情報を詳しく解説します。

福利厚生とは

福利厚生の種類を知るにあたって、福利厚生の定義を確認しておきましょう。福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して給料などの賃金以外に提供するサービスのことで、法律で定められている「法定福利」と企業が自由に選択できる「法定外福利」の2つに分けることができます。

福利厚生を充実させることは、仕事とプライベートのバランスを程よく保つことができたり、従業員が豊かな生活を営む一助になるなど、会社に対する満足度に大きな影響を及ぼします。

また、従業員満足度の高いユニークな福利厚生を導入している企業は、採用活動においてアピールポイントになるため、企業を知ってもらうための戦略としても利用することができます。

福利厚生を導入する目的

福利厚生の目的には、大きく以下の3つがあるとされています。それぞれの目的を再確認し、それぞれに対応した福利厚生を知っておきましょう。

  • 従業員への経済的支援
  • 人材確保・企業イメージ向上のため
  • 組織力強化や人材交流を促進するため

従業員への経済的支援

福利厚生を導入する最も大きな目的として、従業員への経済的支援があります。企業は給与や手当などによって、従業員が安定した生活を送れるよう労働の対価を支払っていますが、これに加えて、住宅手当や通勤手当のような福利厚生を導入することで、従業員の負担を軽減することができます。

従業員への経済支援に該当する福利厚生
  • 住宅手当
  • 通勤手当
  • 社員食堂
  • 昼食補助

このような、従業員の負担を軽減する施策は、長く働きやすい環境作りにも繋がる福利厚生といえます。

人材確保・企業イメージ向上のため

働き方改革などに伴い、働く従業員への待遇は以前に比べて改善されつつあります。そのような状況下でも、働く環境・企業イメージの面で他社と差別化を図る目的で福利厚生が利用されることがあります。

冒頭で紹介した株式会社マイナビの調査結果のように、就職活動の際、福利厚生の充実度を意識している就活生は数多く存在します。自社独自のユニークな福利厚生を導入している企業は、採用活動などでその点をアピールすることができ、一歩進んだ採用活動を行うことが可能です。

ユニークな福利厚生制度の導入事例
  • ゴーホーム制度(ChatWork株式会社):実家に帰省する費用を負担するという制度
  • アニバーサリー休暇(CROOZ株式会社):1年に1度「自分だけの記念日」を設定して休暇を取得できる制度
  • シエスタ(株式会社Eyes, JAPAN):15~30分程度の昼寝を認めてくれる制度

また、インターネット上では上記のようなユニークな福利厚生はプレスリリースやニュース記事、SNS上などにより拡散されることがあります。

また従業員からの企業に対する口コミに福利厚生に関してポジティブな内容が書かれることがあるなど、従業員満足度の高い福利厚生は企業イメージを向上させる一助となるのです。

組織力強化や人材交流を促進するため

従業員どうしの交流を促進させたり、日常的にコミュニケーションを活性化させるための福利厚生は、従業員どうしが情報交換や意見交換、情報供給を行う場を提供します。普段仕事を一緒に行うチーム以外の従業員とコミュニケーションをとり、社内における人材交流の活発化によって、組織力の強化や業績の向上に繋がります。

組織力強化や人材交流を促進させる福利厚生
  • クラブ活動
  • 交流費補助
  • シャッフルランチ
  • 社員旅行

コミュニケーション活性化につながる福利厚生制度には上記のような種類があります。交流費補助やシャッフルランチなどは、低予算で行うことが可能で、部署間調整次第で運用することができるなど、比較的導入しやすい制度ですので、参考にしてください。

福利厚生は「法定福利・法定外福利」の2種類

冒頭で福利厚生は「法定福利」と「法定外福利」の2つに分かれることをお伝えしました。本章では、この2つの福利厚生の違いについて詳しく解説します。

法定福利

法定福利とは、健康保険法や労働基準法、構成年金保険法などの法律により定められた「企業が負担することが義務付けられた福利厚生」です。具体的には以下の6種類が法定福利となります。

6種類の法定福利
  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

例えば、企業や従業員が加入要件を満たしている場合、社会保険や雇用保険には必ず加入する必要があります。これらは従業員に対して保険金が支払われる仕組みですが、企業も費用を負担しなければならないと法律で定められています。

法定福利で企業が支払う費用は決して少なくありません。しかし、従業員が安心して働き続けるために法定福利は必要不可欠な制度です。

法定外福利

法律で決められている法定福利に対して、企業が独自で取り入れている福利厚生を法定外福利といいます。多くの企業が採用している制度として、住宅手当や通勤手当、扶養手当などが挙げられます。法定外福利は以下の10種類に分けることが可能です。

10種類の法定外福利
  • 慶弔支援
  • 特別休暇
  • 食事支援・健康管理
  • 住宅手当・家賃補助
  • 自己啓発支援
  • 育児・介護の両立支援
  • レクリエーション
  • 職場環境
  • 貯蓄・財産
  • 通勤支援

法定福利は要件を満たした全ての企業が導入しなければなりませんが、法定外福利は企業の判断で採用の有無を決めることができます。従業員の満足度向上や、他社との差別化を図るために導入するのは主にこれらの法定外福利です。

法定外福利を充実させることは、従業員への直接的なサポートや、働く人を大切に思っているという企業のイメージアップにも繋がるため、企業規模に関わらず積極的に導入すべき制度といえます。

全16種類の福利厚生を詳しく解説

法定福利と法定外福利を合わせた全16種類の福利厚生について詳しく解説していくにあたり、福利厚生の種類と発生する費用を表にまとめました。従業員一人あたりどれくらいの費用がかかるのかも把握しておきましょう。

費用相場は、日本経済団体連合会による下記「第64回 福利厚生費調査結果報告」を参考にしています。

福利厚生の種類制度内容費用目安



健康保険医療費の一部を国が助成してくれる制度31,041円
※参照元では「健康保険・介護保険 」として算出
厚生年金保険老後の生活に備える年金制度46,832円
介護保険介護サービスにかかる費用を助成してくれる制度31,041円
※参照元では「健康保険・介護保険 」として算出
雇用保険失業時に生活費を支給してくれる制度4,810円
※参照元では「雇用保険・労災保険」として算出
労災保険勤務中の病気やケガを補償する制度4,810円
※参照元では「雇用保険・労災保険」として算出
子ども・子育て拠出金仕事と子育ての両立支援に充てられる税金1,671円




慶弔支援お祝いやお見舞いに対する支援を目的とした制度514円
※参照元では「慶弔関係 」として算出
特別休暇有給休暇以外に企業が認める独自の休暇制度
食事支援・健康管理食事補助や社員食堂など従業員の食事を支援する制度3,187円
※参照元では「医療・健康」として算出
住宅手当・家賃補助住宅手当や地域手当など住居にかかる費用を支援する制度11,639円
自己啓発支援資格取得や参考書購入など自己啓発にかかる費用を支援する制度
育児・介護の両立支援育児休暇や介護休暇など育児や介護い取り組みやすい環境を整える制度455円
※参照元では「介護と育児関連」として算出
レクリエーション社員旅行やクラブ活動など業務以外の社内イベントを促進する制度2,069円
※参照元では「文化・体育・レクリエーション」として算出
職場環境フレックスタイムや時差出勤など自由な働き方を促進する制度
貯蓄・財産従業員の財産を形成するため貯蓄や運用などを支援する制度1,010円
※参照元では「財産形成」として算出
通勤支援通勤手当や駐車場代など通勤で発生する費用を支援する制度566円
※参照元では「通勤バス・駐車場」として算出

6種類の法定福利

本章では、6種類の法定福利の内容と費用について詳しく解説します。各法定福利にかかる費用目安は、同じく一般社団法人 日本経済団体連合会による「第64回 福利厚生費調査結果報告」を参照しています。

健康保険

健康保険は、サラリーマンなどの民間企業に勤めている人やその家族が加入する医療保険制度です。従業員や家族は被保険者となり、ケガや病気、出産や死亡の場合に医療費の一部を国や自治体が負担してくれる仕組みです。

健康保険の保険料支払いは労使折半となっており、企業と従業員が半分ずつ負担することで保険を利用できます。家族などの被扶養者については保険料の負担はなく、従業員と同じく医療費の3割を負担することで医療機関を受診することが可能です。

従業員一人当たりに対して企業が負担する保険料は、後述の介護保険と合わせて31,041円となっています。

厚生年金保険

年金制度は2階建てとされており、1階部分の全ての国民が加入する国民年金と2階部分の国民年金以外の年金保険でまかなわれる年金で構成されています。

厚生年金保険は2階部分に該当する年金で、1階部分の国民年金に上乗せして支払われる年金です。

つまり、厚生年金保険に加入している従業員は、国民年金のみの人よりも多くの年金を受け取ることができます。保険負担は健康保険と同じく労使折半で、標準報酬月額から算出される保険料を半分ずつ支払います。

企業が負担する従業員一人当たりの保険料は46,832円となっており、法定福利の中でも最も大きい割合です。

介護保険

介護保険は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支える仕組みです。介護保険を利用することで、65歳以上の要介護状態、または要支援状態になった方が訪問看護や訪問介護といったサービスを利用した場合、かかった費用の一部を保障してもらうことができます。

保険料の支払いは40歳以上となっており、こちらも労使折半で支払うことが決まっています。全ての従業員が対象となる健康保険よりも対象となる従業員数が少ないため、企業が負担する保険料も少なくなりますが、健康保険と合わせて従業員一人当たり31,041円の支払いが必要です。

雇用保険

雇用保険とは、従業員が失業して所得がなくなった場合に生活の安定や再就職促進を図るため、失業給付などを支給する保険です。万一のために加入する雇用保険ですが、全ての従業員が該当するわけではなく、以下に該当する従業員のみが加入対象となります。

  • 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
  • 一週間あたり20時間以上働いていること
  • 学生ではないこと

これらに該当する場合、雇用主は従業員を必ず雇用保険に加入させなければいけません。雇用保険の支払いも従業員だけでなく企業も負担します。上述の調査結果では、一人当たり4,810円の負担が必要になっています。

労災保険

労災保険とは、業務中や通勤中に発生したケガや病気に対して様々な補償を受けることができる保険です。雇用保険と合わせて考えられることが多く、2つを合わせて労働保険とも呼ばれます。

労災保険の該当者は、正社員だけでなく、アルバイトやパートなど、雇用契約した全ての労働者を加入させなければいけません。そして、保険料の支払いは企業が行うこととなっており、従業員は負担しないことが特徴です。

労災保険の負担額は、雇用保険と合わせて一人当たり4,810円です。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、児童手当金などの子育てに必要となる養育費を支援する公的給付金に充てることを目的に徴収される税金です。徴収の対象となるのは厚生年金保険に加入している被保険者で、標準報酬月額に応じた金額が毎月徴収されています。

しかし、拠出金は企業が全て負担するため従業員が支払うことはありません。企業は一人当たり1,671円を負担しています。

10種類の法定外福利

続いて、10種類の法定外福利の内容と費用相場について詳しく解説します。こちらも費用相場は一般社団法人 日本経済団体連合会による「第64回 福利厚生費調査結果報告」を参照します。

慶弔支援

法定外福利の慶弔支援は、従業員やその家族にお祝い事や不幸があった際に金銭を支払ったり、表彰として旅行券などのサービス券を渡したりする福利厚生です。

慶弔・災害の福利厚生内容は企業ごとに特色があり、支払いの対象となる範囲や金額はさまざまとなっています。発生する費用は、該当する従業員の人数によって大きく異なりますが、2019年度は514円です。

慶弔支援に該当する福利厚生
  • 結婚・出産祝い金
  • 死亡弔慰金
  • 災害見舞金
  • 傷病見舞金
  • 永年勤続賞

特別休暇

法定外福利の特別休暇とは、法律によって定められている休暇に加えて、従業員が自由に取得できる休暇や仕事とプライベートをうまく両立できるような制度として導入されます。

従業員がリフレッシュできる環境を整備することができれば、仕事に対してより高いモチベーションを持って取り組むことができます。休暇制度の導入は、費用が掛からず比較的導入しやすいため、独自の制度を設けている企業も多く存在します。

特別休暇に該当する福利厚生
  • リフレッシュ休暇
  • アニバーサリー休暇
  • プラスワン休暇
  • 特別有給休暇

食事支援・健康管理

食事支援は、昼食補助やデリバリーサービスの補助、社員食堂の設置などが挙げられます。出張が多い職種では外食で使える補助券を配るなど、職種に応じたサポートを導入するのが望ましいでしょう。

健康管理は、従業員が健康的に長く働き続けるために欠かすことができない福利厚生です。最近は人間ドック受診補助だけでなく、ストレスチェックなどのメンタルヘルスケアが注目されています。従業員一人当たりに支払う費用は3,187円です。

食事支援・健康管理に該当する福利厚生
  • 昼食補助
  • 社員食堂
  • ヘルスケアサポート
  • メンタルヘルスケア
  • 人間ドック受診補助

住宅手当・家賃補助

福利厚生の中でも住宅手当・家賃補助は人気が高く、導入事例が多いサポートの一つです。上述の日本経済団体連合が行った調査によると、2019年度は従業員一人当たり11,639円の費用がかかっており、法定外福利全体の48.2%を占めています。

生活費の中でも住宅関連費用は多くを占めるため、従業員を直接支援できる住宅補助を導入する企業は多くあります。住宅補助の金額は企業が独自で設定することが可能です。

住宅手当・家賃補助に該当する福利厚生
  • 家賃支援
  • 社宅
  • 引っ越し代補助
  • 近距離奨励金

自己啓発支援

自己啓発支援は、従業員が勉強できる場や新たな経験のための支援を行う福利厚生です。比較的簡単に導入できる制度には図書購入補助があります。

業務に資格が必要な職種では、資格の取得支援や外部研修参加費補助などを導入しているケースもあります。従業員が自己啓発を行うことによって、得た知識やスキルを仕事に還元し、企業とともに成長していくことができます。

自己啓発支援に該当する福利厚生
  • 資格の取得支援
  • 外部研修参加費補助
  • 講座やセミナー参加費補助
  • 海外研修制度
  • 図書購入補助

育児・介護の支援

社会的に少子高齢化が進行する中、福利厚生で育児・介護の支援に力を入れる企業も増えてきています。特に多いのが育児休業の延長制度で、法律で決まっている育児休業取得日数を会社独自で延長する仕組みです。

さらに、女性社員には出産や育児休業明けの復職サポートを取り入れる企業が増えるなど、育児に対する需要は高まりを見せています。

また、同様にニーズが高まっているのが介護に関する休暇や費用補助です。厚生労働省が令和2年度に実施した「介護保険事業状況報告」では、要介護(要支援)認定者数が令和2年3月から令和3年3月の1年間で669万人から682万人と13万人増加するなど、近年介護を必要とする高齢者が著しく増加していることから、これらを導入する企業も増えています。

育児・介護支援に該当する福利厚生
  • 育児休業の延長制度
  • 復職サポート
  • 保育費補助
  • 介護費用補助

レクリエーション

レクリエーションは、従業員同士のコミュニケーションを活性化させたり、組織力を向上させる目的で導入されます。また、従業員が交流する場として、昼食の時間に食事会を開くことも有効です。

職場の人間関係においても楽しむ場を設けたり、従業員の繋がりを強くすることでモチベーション・業務効率の向上が期待できるでしょう。2019年度は従業員一人当たり2,069円の費用が発生しています。

レクリエーションに該当する福利厚生
  • 社員旅行
  • 新年会助成・忘年会助成
  • クラブ活動
  • 社内食事会

職場環境

職場環境に分類される法定外福利は、従業員個々のライフスタイルに合わせた健康的な働き方を促進したり、柔軟に仕事をするために利用される福利厚生です。

職場環境を整え、従業員が働きやすい職場を作ることは、離職率を低く抑え、優秀な人材を確保するためにも重要です。例えばノー残業デーの導入などは、経営層からの発信や周知によって比較的簡単に導入することができます。

職場環境に該当する福利厚生
  • フレックスタイム制
  • 短時間勤務
  • テレワーク
  • 時差出勤
  • ノー残業デー

貯蓄・財産

貯蓄・財産は従業員の貯蓄を助けたり、マネーリテラシーを底上げし、豊かな生活を送れるよう支援する福利厚生です。従業員が財形貯蓄制度を利用するメリットは、給与から天引きによって毎月決められた金額を貯蓄できることや、金融関係の相談に乗ってもらえることです。

例えば、財形貯蓄によって将来的に発生するマイホームや子供の進学に備えたり、企業が契約したファイナンシャルプランナーから金銭面でのアドバイスを受けることもできます。

日本経済団体連合が行った調査では、財産形成はライフサポートカテゴリに含まれています。従業員一人当たり5,505円となっており、その一部が財産形成で必要となる費用です。

貯蓄・財産に該当する福利厚生
  • 一般財形貯蓄
  • 財形年金貯蓄
  • 財形住宅貯蓄
  • 持株会、ストックオプション制度
  • 金融関係の相談、セミナー制度

通勤関連

会社への通勤にかかる費用や、逆に通勤に費用がかからない従業員に対して金銭を支給するのが交通関連の福利厚生です。一般的なのは通勤手当ですが、マイカー通勤では距離に応じて支給されたり、電車通勤なら定期券の金額を実費支給される場合もあります。

上記に対して、ユニークな通勤福利厚生が近距離奨励金です。会社から徒歩圏内や自転車を利用して通勤する従業員に対して、通勤手当を支払わない代わりに一定金額の支給を行います。

通勤関連に該当する福利厚生
  • 通勤手当
  • 駐車場代補助
  • 高速代補助
  • 近距離奨励金

人気の福利厚生とは|導入状況と従業員のニーズから分析

ここまで、法定福利と法定外福利の全16種類について詳しく解説してきました。ただ、実際にどの福利厚生を従業員が求めているか知りたいという方もいらっしゃるかと思います。

本章では、導入状況と従業員ニーズの2つの調査結果から導入をおすすめする福利厚生を紹介します。まずは調査結果を確認していきましょう。

  • 調査結果(1)パーソル総合研究所「福利厚生実態調査2020」
  • 調査結果(2)株式会社OKAN「withコロナで変化する「働くこと」に関する調査」

調査結果(1)パーソル総合研究所「福利厚生実態調査2020」

パーソル総合研究所では、国内で勤務する正社員2,000人に対して福利厚生制度の導入状況を調査しました。

導入状況の調査結果では、通勤手当が導入率のトップとなり、退職金や死亡弔慰金そして法定日数以上の有給休暇が上位となっています。

導入率の高い制度TOP5
  • 通勤手当
  • 退職金
  • 死亡弔慰金
  • 役職・専門職手当
  • 健康診断・人間ドック

※出典 パーソル総合研究所「福利厚生実態調査2020」

調査結果(2)株式会社OKAN「withコロナで変化する「働くこと」に関する調査」

株式会社OKANは、全国の20~50代の働く男女3,760名を対象に働くこと全般に対する調査を実施しました。その中で「従業員が求める福利厚生」という調査結果がありますのでご紹介します。

2019年度と2020年度の従業員が求める福利厚生ランキングが調査結果として公表されています。どちらも上位にランクインしているのが、特別休暇やヘルスケアサポート、住宅手当・家賃補助などです。

従業員が求める福利厚生トップ5
  • 特別休暇
  • 慶弔支援
  • ファミリーサポート
  • ヘルスケアサポート
  • 住宅手当・家賃手当

出典:株式会社OKAN「withコロナで変化する「働くこと」に関する調査」

上記2つの調査を比較し、導入実績が多く、従業員からのニーズも多いと考えられるおすすめの福利厚生を解説します。

おすすめの福利厚生(1)ヘルスケアサポート

ヘルスケアサポートは、導入状況調査において「健康診断・人間ドック」で5位、従業員が求める福利厚生調査では2年連続4位にランクインしています。全ての従業員が仕事とプライベートを両立できるよう、健康を維持するための検査や増進・管理を通じて健康年齢を高めることが目的です。

健康診断や人間ドックのように表面的な体の不具合を確かめることも重要ですが、ストレスチェックなどのメンタルヘルスケアもヘルスケアサポートの一環として取り入れることをおすすめします。

おすすめの福利厚生(2)慶弔支援

死亡弔慰金や結婚祝い金、出産祝い金、傷病見舞金などの慶弔支援は2020年になってから従業員が求める福利厚生調査で2位にランクインした福利厚生です。導入状況調査を見ても、慶弔支援の福利厚生が数多くトップ10入りしており、多くの企業で重要性とニーズが増していることが読み取れます。

特に、コロナ禍になってから傷病見舞金や死亡弔慰金の重要性は増すばかりとなっており、大変な時代だからこそ会社が一丸となってサポートする体制が必要です。

おすすめの福利厚生(3)特別休暇

特別休暇は導入状況調査で10位だったものの、従業員が求める福利厚生調査では2020年に1位に躍り出るなど、従業員が最も求めている福利厚生の1つです。近年、企業ごとにユニークな特別休暇を制度化するという情報も相まって、従業員が企業に求める休暇は法律で決められた有給休暇では足りないことは明白です。

企業独自の特別休暇は、既存の従業員への好影響だけでなく採用活動でも企業のイメージアップとして利用することもできるため、積極的に導入していきたい福利厚生です。

おすすめの福利厚生(4)自己啓発支援

導入状況調査と従業員が求める福利厚生調査の両方でトップ10入りしている自己啓発支援は、「新たなスキルを学びたい」「資格を取得して業務の幅を広げたい」という従業員のモチベーションアップに欠かせない福利厚生です。

自己啓発をすることによって、最終的には企業の業績を底上げするきっかけになる可能性もあります。頑張りたい従業員を応援するためにも、自己啓発支援の福利厚生に力を入れるのは良い選択です。

おすすめの福利厚生(5)住宅手当・家賃補助

導入実績調査ではトップ10入りしていませんが、従業員が求める福利厚生調査では2019年度、2020年度の両方でランクインしているのが住宅手当・家賃補助の福利厚生です。企業が導入しづらい要因として、前章でも解説した通り福利厚生に占める金額が大きくなってしまうことが挙げられます。しかし、従業員としては、生活に直結する住宅費を支援してくれると、豊かな生活を送る一助になるとも考えられます。

予算的に導入するのが厳しいという企業もあるかもしれませんが、少しでも支援してくれると社員のニーズを満たす事に繋がる福利厚生です。

福利厚生の導入方法

福利厚生を従業員のために導入する方法は、自社で独自に導入する方法と外部サービスを利用する方法の2つがあります。導入する際には、福利厚生が形骸化することを防ぐために、企業がどのような状態を目指しているか、従業員にどうなってほしいかをはっきりさせることが重要です。

例えば、福利厚生を担当する部署だけで検討するのではなく、他部署や従業員に対してアンケート調査を行うのもひとつの方法です。

多くの従業員が望む福利厚生を把握し、それが会社と従業員にとってどのような影響を及ぼすかを考察します。時には試行期間を設定し、変更と改善を繰り返すことも魅力的な福利厚生を導入する方法の一つです。

福利厚生を導入する場合は、これから紹介する方法のどちらか一方のみではなく、導入したい種類に応じて使い分けるのが有効です。後述のアウトソーシングサービスによっては、自社の法定外福利厚生もメニューに含めることも可能です。その場合は福利厚生管理をひとまとめに委託することができ、より管理工数削減が期待できます。

自社が導入したい福利厚生は、どっちの方法が適しているかという点もイメージしながら見ていきましょう。

自社で独自に導入する

福利厚生を導入する方法の一つは、自社で独自に制度化することです。例えば、慶弔支援や特別休暇、住宅手当などの金銭的な支援を行う際は、独自で制度化し運用するなどがおすすめです。

ただし、独自で導入する際には、ある程度の利用見込みを算出し、予算規模に合致しているか見極める必要があります。福利厚生は全従業員に平等に行きわたることが最低条件となるため、高望みしすぎると継続的な支援を行うことが難しくなってしまいます。

また、共済会など企業と従業員がお金を出し合い、支え合っていく仕組みを作ることも有効な福利厚生です。福利厚生は共済会で集金した資金の中から提供し、透明性高く運営を行うのも手段の一つです。

自社で導入するのに適したケース
  • リフレッシュ休暇やアニバーサリー休暇などの特別休暇を導入したい
  • 住宅手当や家賃補助を導入したい
  • 死亡弔慰金や結婚祝い金などの慶弔支援を導入したい
  • フレックス制や時差出勤など職場環境に関する福利厚生を導入したい

福利厚生アウトソーシングサービスを利用する

福利厚生を導入するもう一つの方法が、福利厚生アウトソーシングサービスを利用することです。これは法定外福利厚生を外部の代行業者に委託する事を指します。アウトソーシングサービスでは、あらかじめ様々な種類の福利厚生が用意されており、社内の運用工数を抑えて質の高いサービスを提供することが可能です。

福利厚生アウトソーシングサービス利用に適したケース
  • 豊富なサービスの中から従業員が選ぶことができるサービスを導入したい
  • 健康増進のためジムなど社外施設の優待利用を導入したい
  • 企業年金など従業員の資産運用先を導入したい
  • 従業員の余暇を充実させるためフィットネスやレジャーの優待利用を導入したい

福利厚生アウトソーシングサービスには、主に「パッケージプラン」「カフェテリアプラン」という2つのプランがあり、企業はどちらかのプランを選んで自社が求める福利厚生を実現させていきます。

パッケージプラン

パッケージプランは、すでにパッケージ化されたメニューから企業がプランを選択し、従業員はプラン内の福利厚生を自由に利用できる仕組みです。

カフェテリアプランと違い、従業員一人ひとりの要望に合わせた福利厚生を用意することはできませんが、主要な福利厚生を充実した内容で提供することができます。また、あらかじめパッケージ化されていることもあり、カフェテリアプランより導入コストを抑えることができるのが特長です。

カフェテリアプラン

カフェテリアプランは、従業員が自身で選択することができる福利厚生プランです。例えば、従業員にポイントを付与し、取得したポイントを使って提供されているメニューの中から好きな福利厚生を選んで利用するというものです。

カフェテリアプランは従業員自らがメニューを選んで利用してくれるため、担当者の業務負担を軽くする、また福利厚生の利用率を高めることにも有効です。

おすすめの福利厚生アウトソーシングサービス3選

質の高い福利厚生があらかじめ用意されているアウトソーシングサービスの中から、特におすすめの4つのサービスを紹介します。

おすすめの福利厚生アウトソーシングサービス
  • 福利厚生倶楽部
  • ライフサポート倶楽部
  • WELBOX

福利厚生倶楽部

出典:福利厚生俱楽部

福利厚生倶楽部は、1993年からサービスを開始し、現在では業界最多の18,200社、会員数672万人という業界シェアNo1規模の福利厚生サービスです。宿泊、育児、レジャー、マネープランや住宅に関する相談サポートまで、多岐にわたるサービスが回数制限無しで利用できます。

企業の人数規模や予算に応じたプランが提供されているため、従業員一人あたりのコストパフォーマンスが非常に高くなります。また契約企業の内訳は、2018年8月時点で従業員数100名未満の割合が77.8%と、中小企業の強い支持を獲得しているサービスです。

福利厚生倶楽部を実際に利用した人の口コミ

ライフサポート倶楽部

出典:ライフサポート倶楽部

「ライフサポート倶楽部」は、大手企業や組合を中心として2,000以上の団体に導入実績のあるアウトソーシングサービスです。業界で唯一入会金不要を謳っており、レジャーから介護・育児まで様々なサービスを受けることができます。

また、リソルグループ直営のホテル、貸別荘、ゴルフ場などの施設も優待価格で利用することができ、グループ企業の利点を活かしたサポートも魅力です。独自の制度やキャンペーンを実施しており、無駄のない高品質な福利厚生サービスを受けられます。

ライフサポート俱楽部を実際に利用した人の口コミ

WELBOX

出典:株式会社イーウェル

株式会社イーウェルが運営するアウトソーシングサービス「WELBOX」は、コストパフォーマンスの高い福利厚生メニューを導入したい企業や採用活動で福利厚生をアピールしたい企業におすすめです。

従業員ニーズの高い人間ドックやフィットネスはもちろん、育児や自己啓発に至るまで利用者の年代を選ばない多彩なジャンルのサービスを提供しています。福利厚生を利用する際は、専用のアプリから簡単に申請することができ、誰でも迷うことなく利用できるのも魅力です。

福利厚生の種類に関するよくある質問

福利厚生とはどのような意味ですか?

福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して給料などの賃金以外に提供するサービスのことです。法定福利と法定外福利に分けることができます。

 

福利厚生を充実させることは、会社に対する満足度に大きな影響を及ぼします。また、ユニークな福利厚生は、採用活動においてアピールポイントになるなど、導入に大きなメリットがあります。

 

詳しくは「福利厚生とは」をご覧ください。

福利厚生にはどのような種類がありますか?

法定福利6種類と法定外福利10種類を合わせて16種類の福利厚生があります。

 

法定福利

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

 

法定外福利

  • 慶弔支援
  • 特別休暇
  • 食事支援・健康管理
  • 住宅手当・家賃補助
  • 自己啓発支援
  • 育児・介護の両立支援
  • レクリエーション
  • 職場環境
  • 貯蓄・財産
  • 通勤支援

 

それぞれの特長・かかる費用は「全16種類の福利厚生を詳しく解説」をご覧ください。

おすすめの福利厚生制度はなんですか?

企業への導入状況調査や従業員へのニーズ調査から、本記事では以下の5つの福利厚生の導入をおすすめします。

  • ヘルスサポート
  • 慶弔支援
  • 特別休暇
  • 自己啓発支援
  • 住宅手当・家賃補助

これらの福利厚生は、全て自社が独自で取り入れる法定外福利です。法定外福利を導入する際は、企業がどのような状態を目指しているか、社員にどうなってほしいかを分析することが重要です。

 

従業員を対象としたアンケートの実施や試行期間を設定するなどして導入する福利厚生を決めていきましょう。

 

詳しくは「人気の福利厚生とは|導入状況と従業員のニーズから分析」をご覧ください。

まとめ|目的とニーズに応じた福利厚生を導入する

福利厚生は、会社に対する従業員の満足度を高めるだけでなく、採用活動において企業のイメージアップとして利用することができる支援活動です。

本記事で解説したように、福利厚生には全部で16種類があり、そのうち10種類の法定外福利は目的に合わせて導入していく必要があります。

おすすめの福利厚生
  • ヘルスケアサポート
  • 慶弔支援
  • 特別休暇
  • 自己啓発支援
  • 住宅手当・家賃補助

福利厚生の導入方法はすべて自社で制度化するかアウトソーシングサービスを利用するかの2つの方法があります。アウトソーシングサービスを利用すれば、担当者の業務負担を軽減しながら、質の高いサービスを提供することが可能です。

企業が福利厚生に力を入れることで、従業員のモチベーションが向上し、結果的に生産性の向上に繋がります。働きやすい環境作りの一環として、福利厚生を導入しましょう。