福利厚生サービス(福利厚生代行)は、福利厚生の管理・運用を委託できるアウトソーシングサービスです。従業員は、代行サービス会社が提供する福利厚生を利用します。
近年、働き方やライフスタイルの変化によって、従業員から求められる福利厚生も多様化していますが、代行サービス会社から提供される福利厚生のメニューもまた千差万別です。
本記事では、おすすめ福利厚生サービス9社をご紹介するとともに、それぞれが提供する福利厚生のメニューや構築支援体制、料金体系などをまとめています。
福利厚生サービスとは
福利厚生サービスとは、福利厚生の管理・運用を外部に委託できるアウトソーシングサービスです。家賃補助や食事補助をはじめ、宿泊やレジャー施設の優待、e-ラーニングなど幅広いカテゴリの福利厚生を一括で取り入れることができます。
福利厚生サービスの対象となるのは法定外福利厚生
福利厚生は大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」に分けられ、「法定福利厚生」は設置することを法律で義務付けられています。福利厚生サービスでアウトソーシングできるのは企業が独自で取り入れる「法定外福利厚生」です。
- 雇用保険
- 健康保険
- 労災保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 子ども・子育て拠出金
- 通勤・住宅(通勤手当など)
- 健康医療(定期健康診断など)
- 体育・レクリエーション(保養所の利用など)
- 慶弔災害(結婚祝いや、負傷への手当など)
- 育児介護(妊活支援など)
- 財産形成(財形貯蓄制度など)
- 職場環境(カフェコーナーの整備など)
- 業務(資格取得費用負担など)
- 自己啓発(外部イベントへの参加費用負担など)
- 休暇(法定有給休暇以外の休暇制度など)
福利厚生のトレンド
株式会社OKANの調査結果によれば、従業員に求められている福利厚生のランキングは以下のようになっています。
2020年度の1位は「特別休暇(リフレッシュ休暇、ボランティア休暇バースデー休暇など)」、2位は「慶弔支援(結婚祝い金、出産祝い金など)」、3位は「ファミリーサポート(家族手当など)」となりました。
特別休暇や慶弔支援、ファミリーサポート、ヘルスケアサポートなどを含むライフサポート関連の福利厚生が上位にランクインしていることから、旅行や宿泊施設などの「非日常」ではなく、健康や育児などの「日常」をより良いものにするための福利厚生がトレンドと言えるでしょう。
福利厚生サービスは2020年度の上位10項目の中で主に以下の項目をカバーすることができます。
- ファミリーサポート
- ヘルスケアサポート
- 自己啓発支援
- 財産形成支援
- 子育て支援
サービスによって詳細は異なりますが、福利厚生サービスはフィットネスジムや自己啓発eラーニング、健康データの可視化やベビーシッターなど、さまざまな福利厚生が取り揃えられているため、従業員のあらゆるライフステージに対応できる福利厚生環境を整備したい企業にうってつけのサービスです。
福利厚生サービスの種類(提供形態)
福利厚生サービスは、個々の従業員のニーズに応えられるよう多彩なメニューが準備されていることが多いですが、その提供形態は大きく「パッケージタイプ」と「カフェテリアタイプ」に分けられます。
パッケージサービス
パッケージタイプは、あらかじめピックアップされた福利厚生メニューが提供されるプラン(パッケージ)です。企業は自社に合ったパッケージを選び、従業員一人当たりの定額制で利用します。
従業員は、会員専用のWebページやアプリから、宿泊施設や自己啓発などのサービスメニューを検索して利用することができます。あらかじめメニューが固定されたパッケージになっているため、従業員が利用できるメニューの変更はできませんが、比較的低コストで導入することが可能です。
カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)
カフェテリアプランは、各従業員に上限付きのポイントが年単位で付与され、そのポイントを消費してサービスを利用するシステムです。
従業員全員のメニューがあらかじめ固定されているパッケージタイプとは異なり、従業員自身でメニューをカスタマイズできるため、利用率や享受できる恩恵の偏りが発生しにくく、公平性のある福利厚生制度を構築できます。
個々のニーズに対応しやすく、働き方や価値観の多様化に伴って選択する企業が増えているプランです。既存のパッケージでは従業員の利用率が下がってきたという場合は、一度カフェテリアプランへの移行を検討してみてもよいでしょう。
パッケージプランとカフェテリアプランはどちらがいい?
パッケージプランとカフェテリアプランについて解説しましたが、どちらを選ぶべきなのかがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それぞれをコスト・導入時の手軽さ・メニューの自由度で比較してみました。
| 優れているプラン | |
| コストパフォーマンス | パッケージプラン |
| 導入時の手軽さ | パッケージプラン |
| メニューの自由度 | カフェテリアプラン |
コストパフォーマンスが優れているのはパッケージプラン
コストパフォーマンスが優れているのは、パッケージプランです。パッケージプランとカフェテリアプランでは、毎月の会費の内容に違いがあります。
パッケージプランに必要な毎月の費用は、従業員の人数分の会費です。対して、カフェテリアプランの場合は、従業員に付与するポイント分の支払いに加え、ポイント管理費が必要となるため、パッケージプランに比べてコストが高くなる傾向があります。
すぐに導入できるのはパッケージプラン
すぐに導入できるのは、パッケージプランです。パッケージプランは、あらかじめ用意されているパッケージを選択して契約するだけで完了するため、手軽に導入できます。従業員への周知も比較的混乱なく導入が可能です。
対して、カフェテリアプランは導入前に、従業員が求める福利厚生制度の事前調査などをおこない、どれを採用するかを選択するため、数か月の時間を要するケースもあります。
さらに、すでに実施している自社の制度を移行する際にも手間がかかります。カフェテリアプランはポイント制であるため、従業員の福利厚生制度の利用フローが変更されることで、導入開始時は混乱が起こる可能性も考えられるでしょう。
メニューの自由度が高いのはカフェテリアプラン
カフェテリアプランは、メニューの自由度の高さが最大のメリットです。
カフェテリアプランでは、従業員は以下のようなメニューから、付与されたポイントで自由に福利厚生制度を活用できます。
- 宿泊メニュー
- レジャー施設メニュー
- フィットネスメニュー
- 自己啓発メニュー
- 介護メニュー
- 育児メニュー
パッケージプランの場合はメニューの選択肢が限られるため、頻繁に利用する従業員とほとんど利用しない従業員とで不公平感が生まれがちです。
しかし、カフェテリアプランの場合は選択肢の幅が広く、ポイントは一律で付与されるため、公平に活用してもらえます。従業員の満足度も高めることができるでしょう。
福利厚生サービスの導入メリット
福福利厚生をアウトソーシングするメリットは以下の3点です。
- 従業員の幅広いニーズに対応できる
- 運用担当者の負担軽減と福利厚生コストの削減
- 企業のイメージアップ
1. 従業員の幅広いニーズに対応できる
現代では、働き方やライフスタイルの多様化が進み、従来のような企業が独自に決めた福利厚生だけでは、各従業員のニーズに答えることが困難になりました。
福利厚生サービスには、準備されているカテゴリが豊富(旅行やエンターテイメント等)なため、ライフスタイルの多様化や個人の嗜好に対応することができます。
たとえば、インドア派の従業員にとって旅行や宿泊、スポーツ等の福利厚生はメリットを感じにくいですが、スキルアップや自己啓発のメニューはインドア派にも利用価値を感じてもらえるでしょう。
従業員は自分のタイミングで好みの福利厚生を利用できるため、自社への満足度とモチベーションの向上が期待できます。
2. 運用担当者の負担軽減と福利厚生コストの削減
福利厚生を自社で用意する場合、提携先を探すところからはじめ、各提携先との内容のすり合わせや契約手続き、利用状況の管理などを行わなければなりません。加えて、価値観が異なる従業員の意見を取り入れ、自社だけで福利厚生を整備するのは手間がかかります。
福利厚生をアウトソーシングすることで、上記のような負担が軽減されます。また、利用しているサービスは一元管理ができるため、担当者の業務効率の改善や人件費の削減が可能です。
また、複数のサービスをパッケージで導入していることから、大口割引が利くケースも多く、個別契約と比べて手間もコストも抑えることができます。
3. 企業のイメージアップ
従業員のニーズに合わせた福利厚生を提供できるため、「従業員を大切にしている」というメッセージが投資家や採用候補者、地域などすべてのステークホルダーに伝わりやすくなります。
また、福利厚生によるイメージアップは採用にも有効でしょう。就職先の選定基準として福利厚生の内容を重視する求職者も少なくなく、多様な福利厚生のニーズに対応していることを発信し、興味関心度や採用率を高めることができます。
福利厚生サービスおすすめ3選【中小企業から大企業まで導入実績多数】
まずは、中小企業から大企業まで多数の導入実績を持つ福利厚生サービスからチェックしてみましょう。
- 福利厚生倶楽部
- ライフサポート倶楽部
- WELBOX
多種多様な福利厚生が個別に求められる昨今、多くの福利厚生サービスが幅広く・ユニークなメニューを取り揃えるようになりました。利用者数が多いほどサービスの充実が期待され、体制構築や健康経営までサポートしてくれることもあります。
1. 福利厚生倶楽部
出典:福利厚生倶楽部
福利厚生倶楽部は、1993年からサービスを開始し、現在では業界最多の18,200社、会員数672万人という業界シェアNo1規模の福利厚生サービスです。宿泊、育児、レジャー、マネープランや住宅に関する相談サポートまで、多岐にわたるサービスが回数制限無しで利用できます。
企業の人数規模や予算に応じたプランが提供されているため、従業員一人あたりのコストパフォーマンスが非常に高くなります。また契約企業の内訳は、2018年8月時点で従業員数100名未満の割合が77.8%と、中小企業の強い支持を獲得しているサービスです。
2. ライフサポート倶楽部
出典:ライフサポート倶楽部
ライフサポート倶楽部は、大手企業・組合を中心に2,000社以上の導入実績があり、業界で唯一入会金不要をうたっている福利厚生サービスです。宿泊施設は5,000以上、生活メニュー2,000以上が利用でき、またリソルグループ直営のホテル、貸別荘、ゴルフ場などの施設も優待価格で提供されています。
基本サービスに任意で追加可能な補助金制度は、業界初の「補助金清算」によって未使用分が返金されます。そのため無駄なコスト負担がなく、なおかつ従業員には優待価格を提供できるというメリットの大きい制度となっています。補助金対象に指定するサービスは予算に応じて自由に設定可能です。
3. WELBOX
出典:WELBOX
WELBOXは、人間ドックや保育所、フィットネス、グルメなど、多数の施設やサービスと提携しているため、利用者の年代を選びません。20代~60代まで、幅広く対応しています。
宿泊施設については、41,000以上の施設と提携しているほか、高品質な独自施設も用意。すべての施設やサービスは、専用のWebページから検索することで、いつでも自由に利用できます。
また、便利で使用しやすいスマートフォン向けアプリを提供しています。ホーム画面からすぐに宿泊地の検索や会員証の提示、クーポン表示などが可能なため、操作に迷うことがありません。お得な情報のプッシュ通知にも対応しています。また、冊子やWeb、メールマガジンなど、多様な媒体での告知も行っているため、従業員だけでなく家族にもサービス内容をしっかりと届けられます。
その他の福利厚生サービスおすすめ6選
4. Wantedly Perk
出典:Wantedly Perk
Wantedly Perkは、ビジネススキルアップやプライベートを充実させるメニューなど、サービスの数よりも「挑戦を可能にする学習や装備」をテーマに100以上のサービスを取り揃えている福利厚生サービスです。
Wantedly Perkのサービス利用にあたっては、管理画面から会社専用ページのリンクを取得し、従業員に共有するだけで完了します。また当サービスは会社アカウントの管理や採用に携わらない一般の従業員も利用でき、LGBT(性的少数者)や事実婚を含む従業員の家族まで対象となります。福利厚生提供有無の管理は、こちらも管理画面から簡単に設定できます。
5. チケットレストラン
出典:チケットレストラン
チケットレストランを利用することで、全国66,000店以上の飲食店やコンビニで、毎日食事補助を受けることができます。食事に関する福利厚生サービスとして日本一の導入数を持っており、導入企業は2,000社以上。全国で15万人が活用しているサービスです。利用率99%、継続率98%、社員満足度90%と、利用者から高い評価を得ています。
サービスの導入後は、検索、利用、支払いの3ステップで利用できます。スマートフォンから専用アプリで店舗を検索。住所や駅名、ジャンル検索機能が実装されているため、スムーズに検索できます。店舗で食事する際は、チケットレストランを利用する旨を伝える必要はありません。支払い時にIDでの支払いを伝えるだけで利用できます。全国200ヶ所に拠点を持っているため、利用場所に困ることもありません。
6. バリューカフェテリア
出典:バリューHR
バリューカフェテリアは、リフレッシュサービスとして、全国800以上の宿泊施設や、旅行会社での国内ツアーをインターネットから簡単に予約できます。また、専門スタッフによる旅行相談の対応も実施しています。そのほか、24時間インターネット予約が可能な健康診断予約や、会員価格での人間ドックなど、健康面のサービスも充実しています。
利用者は、自身に与えられたポイントを使用してさまざまなメニューを選択できます。管理者は利用者に対してポイントを付与できるため、コスト管理が簡単になり、双方の満足度を高められます。また、利用者が会員サイトから自身でポイントを購入することも可能です。
7. オフィスグリコ
出典:オフィスグリコ
オフィスグリコは、導入する際の人数規模は、20人といった少人数から、100人以上の規模にも柔軟に対応可能なオフィスコンビニサービスです。引き出し型のケースにチョコレートやビスケット、スナックなどを入れてオフィスに提供する置き菓子サービスで、オフィスで働く社員のリフレッシュを願ったカエル型の貯金箱に料金を入れて購入します。
お菓子の設置はもちろん、アイスや飲料などを設置する場合、冷蔵庫の貸与がありますが、必要なのは電気代のみで他の費用は発生しません。申し込みから2週間ほどで設置可能です。週1回程度、担当スタッフによる商品の補充と集金を行い、必要に応じてメンテナンスも実施します。
8. セブン自販機
出典:セブン自販機
セブン自販機は、約0.5坪の設置スペースで、通常と店舗同様の品質・鮮度が管理されたおにぎりやパンなどの最大92アイテムが届けられるオフィスコンビニサービスです。
日々の販売状況の分析を行い、売れ筋商品や立地特性に応じた品揃えが可能です。設置条件としては、500人以上が存在している場所、100V15Aのコンセント、同一フロアに給湯室もしくは手洗い場があることが挙げられますが、近隣状況・就業状況によって変わります。
9. オフィスおかん
出典:オフィスおかん
オフィスおかんは、オフィスに冷蔵庫を設置し、管理栄養士が監修した健康的なお惣菜を1品100円で購入できるオフィスコンビニサービスです。
昼食時だけでなく、24時間いつでも購入できるため、朝食を社内で食べたり、持ち帰って夕食にしたりと、さまざまなシーンで利用可能です。サービスは全国で展開されているため、利用する場所を選びません。導入数は3,000拠点を超えており、3名規模から1,000名超えの大企業まで、幅広く利用されています。
福利厚生サービスの導入時に押さえておきたいポイント
以下のポイントを押さえて、企業・従業員ともに最適なサービスを探し出しましょう。
- 導入目的に合ったメニューや支援サービスが揃っているか
- 従業員のニーズを反映できるか
- 会員用サイトは使いやすいか
1. 導入目的に合ったメニューや支援サービスが揃っているか
福利厚生サービスは提供会社によってサービス内容が異なります。どのような福利厚生を取り入れるのかを判断するために、あらかじめ福利厚生を利用する目的を明確にしておきましょう。
たとえば、コロナ禍によって旅行やサークル活動等の利用率に偏りが出はじめていると判明した場合は、外出を必要とせずとも誰もが利用しやすい福利厚生を整える必要があります。
サービスページにある導入事例や顧客の声には、各企業の課題や導入のきっかけが記載されているため、利用目的を明確にするうえで参考にすると良いでしょう。
2. 従業員のニーズを反映できるか
福利厚生は、せっかく取り入れても従業員が求めているものでなければ利用されません。従業員によって利用率や感じられるメリットに偏りが生じると不満に繋がる恐れもあります。
従業員が「どのような福利厚生を求めているのか」「どういった利用形態がいいか」などをアンケート等でリサーチをし、企業側が意図する福利厚生の導入目的と従業員の要望に折り合いをつけましょう。
特に従業員の年齢に幅があると、それぞれのライフスタイルや価値観が大きく異なるため、そのような会社は入念にリサーチを行う必要があります。
3. 会員用サイトは使いやすいか
カテゴリやメニューの充実度も重要ですが、意思決定の前に注意して見ておきたいのが、会員用サイトの使いやすさです。
魅力的な福利厚生メニューも、申し込みに手間がかかったり、手順がわからなければ利用されなくなってしまう恐れがあります。せっかく導入した福利厚生サービスも十分な効果を発揮しません。
福利厚生を検索しやすいか、ログインはスムーズにできるかなど、サイトやアプリが利用しやすいかを利用する前に確認しましょう。その際、担当者だけではなく、他の従業員にも操作性を確認してもらうことをおすすめします。
まとめ | 目的を明確にし、自社に合ったサービスの導入を
福利厚生サービスは幅広いニーズに応えられるためとても魅力的なサービスですが、導入したからと言ってすぐに効果が出るとは限らず、目標を達成できるかは選定と運用次第です。
採用率の向上や離職率の抑制など、目的を明確にし、その手段として福利厚生サービスが最適であれば、自社に合ったサービスを導入しましょう。
また、導入後も、利用率の把握や満足度の調査などを行い、目的に近づいているのかを粘り強く計測していき、効果が出ているのかを判断しましょう。
