電子契約サービスは、紙の契約書を電子化してオンラインで契約締結を行うサービスです。
主に、以下のような機能・サービスを利用できます。
- テンプレートを活用した電子契約書の作成
- 電子署名とタイムスタンプを利用した電子契約
- 契約文書の改ざん検知
- 電子契約書の保管・一覧表示・検索
- 更新日や終了日が近い契約書の期限通知
以下、電子契約サービスについて、それぞれの特徴や機能、料金プランを紹介します。電子契約の基本事項のほか、サービスの導入メリットや選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご参考ください。
2022年1月施行の改正電子帳簿保存法で、書面で受領した請求書や契約書も電子保存が可能になったことにより、契約書の電子化とオンライン締結のシステムを導入する動きが加速しています。
契約締結にかかる時間と労力を大幅に削減可能な電子契約サービスですが、一方で、現状の契約書業務に不便さや改善の余地を感じつつも、電子契約に関して不明点や信頼性の懸念が残っている企業や、移行のタイミングを迷っている企業も少なくありません。
本記事では、電子契約サービスについて、電子契約の仕組みや法的根拠からわかりやすく解説しています。電子契約への移行やサービス導入で解消できる企業課題と期待される効果、サービスの導入や選定における注意点も述べていますので、電子契約サービスの比較検討にお役立てください。
電子契約サービスとは
まず、電子契約とは、紙(書面)で行なっていた契約書を電子化し、企業間の契約締結をWeb上で完結させることです。
収入印紙代や印刷・郵送のコストのほか、封入作業や郵送のタイムラグもなくなり、契約締結にかかる時間やコストを大幅に削減できるため、電子契約を採用する企業が増えてきています。
電子契約サービスは、それらの電子契約プロセスを効率化するためのサービスです。電子署名やタイムスタンプを施した電子データによってオンライン上で契約を締結させることができます。
しかし、「電子契約サービスは安全に利用できるのか」「電子契約の法的効力に確証はあるのか」といった懸念や、周囲からの理解を得る難しさから、導入検討が進みにくいケースも少なからずあるようです。
結論、電子契約と書面契約の法的効力に大差はありません。また、電子契約サービスは基本的に法律要件を満たせるよう設計されているため、実用までで実際にかかる手間は少ないです。
以下、電子署名法の条文を基に、有効な電子契約の定義や認定条件について簡単に解説します。
電子契約は安全?電子契約が法的根拠を証明する仕組み
従来紙を利用した契約締結を行っていた場合、いきなり契約が電子データ化すると不安になる方も多いのではないでしょうか。結論、電子契約は法的根拠を証明できる仕組みを持っているため、安全と言えます。
電子署名法第2条、第3条によると、電子契約では以下2点の証明が必要となります。
- 契約書内容が本人同士により合意されたこと
- その押印・署名以降に内容の改変がないこと(改ざんのない本物であること)
従来の書面契約は、契約書に印鑑で押印することで上記2点を証明し、合意内容の証拠として契約書を互いに保管していました。
電子契約では、電子契約書(PDFなど)に「電子署名」と「タイムスタンプ」を付与することで、押印した紙の契約書と同等の証拠力と法的効果が認められます。
タイムスタンプは、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術です。電子契約サービスでは、タイムスタンプ押印後に変更(編集・改ざん)があった場合は、「最終署名後に変更あり」「署名していない項目あり」などのメッセージが表示されます。
つまり、紙を利用した契約であろうと電子契約であろうと法的効力は変わらず、安全に契約を締結することができるということです。
電子署名と電子サインの違い
電子サインと電子署名は同じ意味で使われるケースも多いですが、厳密には下記2パターンに定義されます。
- 電子サイン(電子署名):手書き署名の代替手段全般。タッチペン署名や電子ハンコ機能。
- 電子署名(高度電子署名):電子証明書※を利用した署名。より高い法的証明力・真正性を示す。
※電子証明書は、第三者機関である電子認証局により発行され、本人特定を厳格に行える電子署名法に対応した電子契約です。印章管理規程などのガバナンス規定にも親和性があります。
書面契約に置き換えると、「電子サイン(電子署名)は書面上の押印・署名」「電子署名(高度電子署名)は印鑑証明」ということになります。
| 書面契約(紙) | 電子契約 | |
| 契約書の形式 | 紙(書面) | 電子データ(PDF) |
| いつ何を | 消印 | タイムスタンプ |
| 誰が何を | 押印・署名 | 電子署名または電子サイン |
| 本人証明 | 印鑑証明書 | 電子証明書 |
| 改ざん防止 | 契印・割印、複写防止用紙 | 編集履歴・改ざん検知機能 |
政府は、「電子証明書のない電子署名も法的に有効」とする見解を公表していますが、企業間の取り決めや自社ポリシーによっては、電子証明書が求められることもあるかもしれません。電子契約サービスの中には、電子証明書の発行に対応していないこともありますので、検討の際には十分に注意しましょう。
おすすめの電子契約サービス21製品の費用・特徴を比較
数ある電子契約サービスの中からおすすめのものを紹介します。電子契約サービスと一口に言っても、それぞれに特徴があり、価格も異なるため、自社の規模や利用環境にマッチするサービスを選びましょう。
クラウドサインからGreat Signまでは特におすすめのサービスのため、比較表を作成しました。検討の際に是非お役立てください。
| 初期費用 | 月額費用 | 書類送信料金 | 契約の種類 | 用紙の電子化 | 無料トライアル | 無料プラン | ワークフロー・タスク管理機能 | テンプレート機能 | |
| クラウドサイン | なし | 10,000円/月 | 300円/1通 | 立会人型 | あり | なし | あり | あり | あり |
| GMOサイン | なし | 10,000円/月 | 100円/1通 | 立会人型/当事者型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| ドキュサイン | なし | 15ドル/月(送信5回まで) | ー | 立会人型/当事者型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| Adobe Sign | なし | 3,882円/月 | ー | 立会人型/当事者型 | なし | あり | あり | あり | あり |
| クラウドコントラクト | なし | 3,980円/月(契約50件まで) | ー | 立会人型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| WAN-Sign | なし | 10,000円/月 | 300円/1通 | 立会人型/当事者型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| BtoBプラットフォーム 契約書 | なし | 10,000円/月(契約1件につき50円発生) | ー | 立会人型/当事者型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| freeeサイン | なし | 4,980円/月(1アカウント当たり) | ー | 立会人型 | あり | あり | あり | あり | あり |
| jinjerサイン | なし | 10,000円/月 | ー | 立会人型 | あり | あり | なし | あり | あり |
| かんたん電子契約 | 問い合わせ | 10,000円/月 | 100円/1通 | 立会人型 | なし | あり | あり | あり | なし |
| Great Sign | なし | 7,800円〜/月(計約1件当たり150円) | ー | 立会人型 | なし | なし | なし | なし | なし |
※月額費用は一番価格が低いプランの内容を表記しています。
※「ー」はミナオシで情報を取得できなかった項目です。
迷ったらコレ!導入実績多数の電子契約サービス
多くの国内シェアを獲得している電子契約サービスです。企業の大小にかかわらず利用されています。
クラウドサイン
GMOサイン
国外取引でも安心!複数言語に対応している電子契約サービス
国内外両方に対応できる電子契約サービスです。海外でもシェアがあるサービスのため、国外での取引を行う企業におすすめのサービスと言えるでしょう。
ドキュサイン
Adobe Sign
スモールスタートや小規模企業に最適!比較的低価格の電子契約サービス
月額費用や書類送信ごとの費用が比較的安価な電子契約サービスです。1アカウントだけの利用であれば月額5000円を切るサービスもあるため、スタートアップやスモールスタートにおすすめのサービスです。
クラウドコントラクト
WAN-Sign
BtoBプラットフォーム 契約書
freeeサイン
jinjerサイン
かんたん電子契約
Great Sign
その他の電子契約サービス
上記で紹介した電子契約サービス以外にもさまざまなサービスがあります。今までで紹介したサービスの中で自社にマッチしたサービスがなかった場合に新たな候補として検討してみてください。
ContractS CLM
リーテックスデジタル契約
LegalForce
ラクラク電子契約
E-STAMP
Zoho Sign
クラウドスタンプ
電子契約CONTRACTHUB
CECTRUST-Light
Hubble
paperlogic電子契約
電子契約サービスの選び方・比較のポイント
電子契約サービスを絞り込む時に重要なのは「自社が求める機能・提供サービス」と「各サービス会社が提供する機能・サービス」が合致しているかどうかです。
そのほか、電子契約サービスの選定時に、機能面以外でチェックしておくべきポイントは下記の通り。
- 自社で取り扱う契約書に対応しているか
- コストパフォーマンスは妥当か
- サービスの信頼性や持続性は見込めるか
- 取引先や相手方も含めて使いやすいか
1. 自社で取り扱う契約書に対応しているか
電子契約サービスでは、契約書をはじめ、発注書や納品書、領収書など、さまざまな対外的なやりとりで取り扱う書類を管理することもできます。対応可能な書類はサービスによって異なるため、比較検討時には、自社で利用している書類を確認しておきましょう。
中には、法律上、電子契約の際に特殊な対応が必要な書類や、海外向けの契約書や電子サインに対応していない場合があります。
また、下記に挙げられるような一部の契約書については、電子化が認められておらず、書面での契約締結が義務付けられています。
- 定期借地契約
- 宅地建物売買等媒介契約
- 投資信託契約の約款
- マンション管理業務委託契約
- 訪問販売等特定商取引における交付書面
- 労働者派遣個別契約 など。
そのほか、電子契約サービスでの締結が可能かどうか不明点がある場合は、事前に法務部や顧問弁護士に相談・確認しておきましょう。
2. コストパフォーマンスは妥当か
電子契約サービスの利用料金は、「初期導入費」「月額基本料」「オプション料」に分けられます。
月額基本料は、契約書送信の上限回数や保管容量が固定されており、それらの上限やユーザー数、利用可能な機能によって段階的に料金プランが決まることが多いです。
オプション料は、契約書送信上限の超過分や電子証明書の発行数、特殊な契約書締結の対応、追加機能などで発生する費用となります。
一概に、契約書1件あたりの料金が安いものが良いとは限らず、電子契約サービスの利用料金に対して、事務処理や人件費の削減や業務効率化の効果が大きければ、コスパに優れたサービスだと言えます。
一方で、全ての契約書への電子化対応や付帯機能を網羅しても、不要な機能が含まれていたり、複雑で使いこなしにくかったりすると、かえって業務効率が悪くなってしまいます。自社の現状や運用体制から、費用対効果が高くなるものを選べるように、しっかりと検討しましょう。
3. サービスの信頼性や持続性は見込めるか
電子契約サービスでは、取引先や社内の機密情報を含む契約内容をインターネット上でやり取りし、契約締結後も電子ファイルをクラウド上に保管することとなります。
そのため、電子契約サービスを選定する際には、外部からの攻撃や侵入を防ぐ「ファイルの暗号化」や「ウイルス対策」、内部犯行や人的エラーを抑止する「アクセス権限設定」や「操作ログ管理」など、セキュリティ対策がしっかり施されているかを確認しておきましょう。
また、意外と見落としがちですが、サービスの信頼性を測る基準として、提供されるシステムのパフォーマンスやセキュリティ対策以外に、そのサービスベンダーの事業の将来的な継続性も見ておくべきです。
もし仮にベンダーが急に事業をストップするようなことがあれば、サポートやバージョンアップなどの対応も全てなくなってしまい、保管していた契約書データを抽出できなくなる最悪の事態も考えられます。
紙の契約書と同様に、電子契約で締結した契約書も、会社法関連なら10年、経理関連なら7年といった長期間の保管が義務付けられますので、必ず長期的な運用を前提として慎重にサービスの選定を行いましょう。
4. 取引先や相手方も含めて使いやすいか
電子契約により業務効率が大きく改善されるとは言え、今までになかったシステムを導入すると、慣れるまではこれまでとは異なる業務フローに混乱する社員も出てくるかもしれません。
操作に関する問い合わせや教育コストを抑えられるように、契約書を必要とする当事者が使いやすい電子契約サービスを選びましょう。デモ版やトライアル期間があれば、実際に仮運用をしてみて使い勝手を確かめることができます。
また、社内だけでなく取引先や相手方のことも考慮しましょう。取引先がそのサービスのアカウントを持っていなくても利用できるのか、アカウントが必要な場合は無料で発行できるのか、相手方のITリテラシーに寄らずわかりやすい仕様になっているかなどです。
ここでもう一つ検討しなければならないのが「電子契約の種類」です。現在の電子契約サービスは大きく「立会人型」と「当事者型」に分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、それらを考慮してどちらを選ぶか確定しましょう。
| 立会人型 | 当事者型 | |
| 概要 | 当事者でない第三者が当事者の指示に応じて電子署名を付与するタイプ。メール承認で本人確認を行うのが一般的。 | 契約を行う本人が電子署名を付与するタイプ。電子認証局から発行される電子証明書を利用して契約を締結する。 |
| メリット | ・メールアドレスがあれば契約を締結できる ・手間と費用がかからない | ・なりすましリスクが低い ・法的効力が高い |
| デメリット | ・なりすましのリスクがある | ・自分側も相手側も電子証明書を取得・維持するための時間と費用が発生する |
相手があっての契約締結ですので、契約書の電子化やオンラインでの契約締結が、双方の納得できる変化であることを念頭に置いておきましょう。
電子契約サービスの導入メリット
まずは、電子契約サービスで解決できることや導入効果を理解し、契約書に関する業務における自社の課題やニーズと照らし合わせて、必要となる機能を洗い出しておきましょう。
従来の書面契約書と手慣れた業務フローを、敢えて電子契約書に切り替える企業のメリットとしては、主に下記4点が挙げられます。
- 印紙税、事務コストの削減
- 契約締結のスピードアップ
- 契約書管理の効率化
- コンプライアンスの強化
社内で取り扱う契約書が多ければ多いほど、上記の導入効果も大きくなります。現状の業務課題やニーズによって、サービス選定時に優先すべき機能要件(※)が異なってきますので、以下それぞれ解説します。
※電子契約サービスの機能一覧は本記事の最後にまとめています。
1. 印紙税、事務コストの削減
電子契約を導入すると、収入印紙代をはじめ、電子契約に関わるさまざまな事務コストを削減することができます。
紙の契約書には、契約金額に応じて印紙税がかかり、収入印紙を貼らなければなりませんが、電子ファイルは印紙税法の課税の対象外であるため、契約書を電子化すると収入印紙代は全額カットされ、収入印紙を買いに行く手間もなくなります。
そのほか、電子契約に切り替えることで、契約書の準備~締結~保管に付随する事務処理は以下のように替わります。
| 書面契約(紙) | 電子契約 | |
| 製作 | 印刷・製本 | 不要 |
| 用紙・封筒・印紙 | 必要 | 不要 |
| 送付 | 郵送または持参 | メールまたはクラウド共有 |
| 保管 | 書庫 | サーバー |
契約書の製本や郵送にかかる費用、書類の保管場所や保管費用が不要になることに加え、契約書業務を行う人件費も大幅に削減されます。
2. 契約締結のスピードアップ
電子契約サービスでは、契約書の作成から契約締結までを全てシステム上で完結させることが可能です。時間や場所を問わず、システムにログインすれば署名やファイルの送受信ができます。
これまで原本と写しの製本印刷から往復の郵送、内容確認後の保管で数週間かかっていた契約締結が、取引先の対応によっては数時間で完結するでしょう。
書面契約から電子契約に切り替えるだけで、印刷、製本、押印、封入、郵送、ファイリングの作業が不要になること、郵送・返送待ちによるタイムラグがなくなることにより、契約締結までに要する期間は劇的に短くなります。
さらに、契約書作成や社内稟議にかかる時間や手間が業務課題になっている場合は、下記の機能の有無もチェックしておきましょう。
- 契約文書テンプレート:テンプレートを利用・カスタマイズして、契約文書を作成できる。
- ワークフロー機能:社内稟議の承認ルートや自動通知が設定できる。もしくは、外部のワークフローシステムや社内稟議システムと連携できる。
- 電子印鑑・印影登録:印鑑・印影をデータとして保存・登録しておき、電子契約の際にワンクリックで利用することができる。
3. 契約書管理の効率化
書面の契約書がデータベース化されることで、契約内容や取引先データ、関連書類、更新履歴など、契約情報を一元的に管理できるようになります。
契約内容を確認したい時や、税務調査や契約更新で過去の契約書が必要な時でも、指定したキーワードで契約書を検索・一覧表示することができ、該当する契約書をすぐに探し出すことが可能です。紙の書類とは違って、紙の劣化やインクのかすれ、紛失のリスクもありません。
契約書の検索や整理に関する機能はサービスによって異なりますが、契約書ごとに関連契約(個別契約、覚書)の紐づけをしたり、要素別(締結先や重要度など)でタグ付けやフォルダ分けをして契約書を分類・保管したりできると、契約書管理がより一層簡便化されます。
また、電子契約システム導入以前の書面契約書も一括管理したい場合は、下記のいずれかの機能・サービスも必要になりますので、比較検討時にチェックしておきましょう。
- 書面契約文書管理:書面契約書をスキャンしてPDF化する。
- OCR機能:書面契約書をスキャンしてテキストデータを読み込める。
- PDF化代行サービス:電子契約文書のPDF化を代行してもらえる。
OCR機能は、画像から文字情報を読み取り、データ化できる技術です。この方法でデータ読み込みを行うと、電子契約書と同様に情報を一元管理でき、契約書の並び変え表示や絞り込み、検索を行うことができます。
4. 改正電子帳簿保存法への対応
2022年1月施行の改正電子帳簿保存法では、「電子取引データの書面保存が廃止」となりました。自社が紙で一括管理したくても、取引先が電子契約を採用している場合、電子データでの保管・管理が必須となります。
その一方で、以前は書面で交わした契約書は紙のまま保管し、スキャンした電子データは原本として認められませんでしたが、改正後は「紙で受領した契約書は電子保存が可能」です。
つまり、今回の法改正は、紙を電子化して電子データで一元管理する方法は容易になり、紙文化から脱却しない企業は業務効率が下がる仕組みとなっています。この改正電子帳簿保存法に対応するにあたって必要な「契約書の電子化」と「契約締結のシステム化」を実現するのが電子契約サービスというわけです。
改正電子帳簿保存法の詳細については、下記の記事をご覧ください。適用条件や押さえておくべきポイントをまとめています。
5. コンプライアンスの強化
電子契約システム上では、契約手続きが可視化され、承認フローの滞りや締結漏れがひと目で把握できます。いつ誰が編集したのかの履歴も残るため、契約文書の改ざんを事前検知でき、万が一、改ざんがあったとしても経緯を辿ることができます。
更新日や終了日が近い契約書の通知をしてくれる機能があれば、意図せぬポリシー違反を防ぐこともできるでしょう。
このように、契約締結時も締結後も、セキュリティ対策と内部統制が徹底されたシステム上で契約書を管理できることで、コンプライアンスの強化に繋がります。
電子契約サービスを導入する際に押さえておきたい2つの注意点
電子契約サービスは紙を使った契約に比べメリットが多いですが、一方で利用するにあたって気を付けなければいけないことがあります。
- 一部電子契約で締結できない書類がある
- 取引先の電子契約に対する理解と対応が必要になる
上記2点をあらかじめ把握し、電子契約サービスの利用をスムーズに開始しましょう。
1. 一部電子契約で締結できない書類がある
「契約方式自由の原則」などの電子契約関連法によって、契約における大部分の種類が電子契約を利用可能です。
しかし、「電子契約サービスの選び方・比較のポイント」の部分でも述べたように、定期借地契約や定期建物賃貸借契約など一部の契約は、法令によって書面契約が必要と定められています。そのため、多くの企業が書面契約と電子契約を併用しているのが現状です。
将来的には電子契約が認められる可能性はありますが、現状は使えないため注意が必要になります。電子契約サービス導入を検討する際は、自社で電子化したい書類がサービスに含まれているかをよく確認しておきましょう。また、社内でも混乱を招かないよう、導入前に周知しておくことをおすすめします。
- 定期借地契約
- 定期借家契約書
- 定期建物賃貸借契約
- 宅地建物売買等の媒介契約書
- 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面
- 宅地建物売買等契約締結時に交付する契約書等の書面
- マンション管理等委託契約書
- 訪問販売で交付する書面
- 任意後見契約書
- 金融商品取引契約書
- 特定継続役務提供などにおける契約前後の契約等書面
2. 取引先の電子契約に対する理解と対応が必要になる
電子契約は自社だけでなく、取引先も対応していないと成立しません。取引先が電子契約に未対応の場合は、電子契約で締結を進める旨を納得してもらった上でアカウント発行の依頼が必要になります。
なお、このとき自社と取引先の双方が同じ電子契約サービスである必要はなく、また新規で導入してもらう必要もありません。アカウントを取得するだけで使えるサービスや、アカウントがなくても一時的に契約締結が無料で可能なものもあります。
また、「電子契約サービスの選び方・比較のポイント」の章でも述べた通り、電子契約サービスには「立会人型」と「当事者型」の2種類があり、「当事者型」は自社も取引先も電子証明書を取得・維持する必要があります。
自社との取引だけを理由に、契約先に対して電子契約に対応してもらうのは難しいかもしれません。電子契約にどのような法的証明力があるか、契約先から説明を求められる可能性もあります。必要に応じて利用を検討するとよいでしょう。
電子契約サービスを導入するための6ステップ
あらかじめ導入ステップを把握しておくことでスムーズな導入を行うことができます。契約締結は法律や会社の信頼に関わる事柄のため、しっかり把握しておきましょう。
具体的なステップは以下の通りです。
- 導入する目的を明確にする
- 討候補サービスの比較・検討を行う
- 締結までのフローを確認する
- 社内規定の変更を行う
- 契約相手や社内に共有する
- 電子契約への移行とサポートを行う
1. 導入する目的を明確にする
まずは自社の契約フローで解決したい課題を整理し、目的を明確にしましょう。ゴールが漠然としていると、社内稟議が通らなかったり、サービス選定に失敗したりする恐れがあります。また、サービスを導入したとしても期待する効果もあやふやになってしまうでしょう。
2. 検討候補サービスの比較・検討を行う
電子契約サービスには、不動産や人事などの契約書に対応できるカスタマイズ性に優れたものから、連携可能な外部サービスが豊富なものなどがあり、サービスによってその特徴や機能はさまざまです。
導入目的を達成するためにも、資料請求や問い合わせで各システムを比較し、自社に適したサービスを選定しましょう。
トライアルを提供しているサービスもあるので、気になるシステムがあれば積極的に利用し、実際の現場で使用感を確かめておくと安心です。
また、導入した際の費用対効果も概算しておきましょう。用紙代や収入印紙代、締結までにかかる時間などを把握し、電子契約サービスを導入したときの変化をシュミレーションしておくことをおすすめします。
3. 締結までのフローを確認する
紙の契約書を電子に移行することにより、これまでの署名・押印や契約内容の確認と承認といった一連の作業が削減される一方で、多要素認証によるログインや電子署名・タイムスタンプの付与など、電子契約ならではの業務が加えられます。
導入前に、どの業務が削減され、どの業務が新たに増えるのかを確認しておきましょう。
4. 社内規定の変更を行う
電子契約サービスを導入するにあたって、従来の規定を変更する必要があります。特に、契約を行うことができる権限は誰が持っているのか、電子契約書の管理者は誰が行うのかなどを定めておく必要があります。
5. 契約相手や社内に共有する
変更した業務フローや電子契約サービスについての事前共有を怠ると、従業員に業務負担がかかって生産性の低下を招いたり、導入に否定的な意見が生まれ従業員の協力を得にくいといった問題が発生するでしょう。
電子契約サービスで契約業務の手間や時間の削減効果を高めるためにも、ワークフローや導入メリットを詳しく説明することが大切です。
取引先にも電子契約の導入の旨をあらかじめ伝え許可を得ていれば、導入後もスムーズにやり取りできます。電子契約のマニュアルを作成・共有するなどを行い、契約締結までのフローを取引先へ説明しましょう。
6. 電子契約への移行とサポートを行う
これまで行っていた書面契約をすべて一度に電子化してしまうと、社内に混乱を招く可能性があります。また、導入効果の検証を十分に行えず、本当に業務が改善されているのか適切に判断しにくくなるでしょう。
電子契約システムを定着させるためにも、業務に優先順位を決め徐々に移行していくことが大切です。たとえば、重要度の低い業務から電子化することで、従業員は気を張り詰めずに新しいフローやシステムの操作に慣れていけます。
また、ヘルプデスクの設置やマニュアルの配布、説明会なども電子契約を社内に浸透させるための効果的な手段となるため、実施を視野に入れておくとよいでしょう。
電子契約サービスの機能一覧
最後に、電子契約サービスに搭載される代表的な機能を一覧でまとめます。※機能名称や内容はサービスによって異なることがあります。
電子契約締結に関する機能
- 契約文書テンプレート:テンプレートを利用・カスタマイズして、契約文書を作成できる。
- 電子証明書締結:電子署名及びタイムスタンプを利用した電子契約を行える。
- メール認証締結:メール認証による電子契約を行える。
- ハイブリッド署名:電子証明書とメール認証による締結に対応している。
- 3社間契約対応:3社間での契約に対応する契約文書を発行できる。
- 電子印鑑・印影登録:印鑑・印影をデータとして保存・登録し、電子契約の際に利用することができる。
- 契約ステータスの確認:発行した書類の締結状況や、送信先での書面確認状況を確認することができる。
- 差し込み一括送信:送信相手によって契約項目の異なる契約書を一括送信できる。
契約書管理に関する機能
- 改ざん検知:電子署名やタイムスタンプ、契約文書の改ざんを検知できる。
- 契約書期限通知:更新日や終了日が近い契約書を通知する。
- 情報検索機能:指定したキーワードで契約書を検索・一覧表示できる。
- フォルダ作成・管理:締結先や重要度など、要素別にフォルダを作成して契約書を保管できる。
- 書面契約文書管理:書面での契約文書をPDF化し、システム上で一括管理できる。
- OCR機能:書面や画像データ化した契約文書の文字情報を読み取り、PC上で管理できるデジタルの文字コードに変換できる。
- PDF化代行:電子契約文書のPDF化を代行してもらえる。
- 親子紐づけ管理:基本契約に紐づいている個別契約や覚書をツリー形式で管理できる。
- 外部サービスとの連携:文書管理システムや顧客情報管理システム、契約データ作成システムと連携できる。
セキュリティ対策・ユーザー管理
- ユーザー管理・アクセス権限機能:管理者ユーザーの管理、ユーザーごとのアクセス権限設定を行える。
- 閲覧制限:契約文書に閲覧制限を設定し、閲覧できるユーザーを限定することができる。
- ログ・CSV出力管理:操作ログやCSV出力履歴を管理できる。
- デバイス制限:アクセスできるデバイスを制限できる。
- ファイル暗号化:アップロードしたファイルを暗号化することで、情報漏えいを防ぐ。
- ウイルス対策:外部からのウイルス攻撃への対策がされている。
- ワンタイムパスワード・二段階認証:ログイン時、ワンタイムコードを発行し、アカウント保持者に送付・要求することで、第三者の不正ログインを防止できる。
- IPアドレス制限:ソフトにアクセスできるIPアドレスを制限できる。
- パスワード設定:ソフトを利用するユーザーごとに、個別のパスワードを設定できる。
まとめ
電子契約の導入メリットは、契約書の作成や管理にかかる事務コストや人件費を削減できること、取引先情報、関連書類などを含めた契約書データを一元管理できることです。
契約締結にかかる時間と労力を大幅に削減できることから、電子契約を採用する企業が増えてきていますが、2020年以降のコロナ渦の影響でテレワークが普及したことにより、電子契約サービスの導入価値はさらに高まっています。
しかし、締結した電子契約書は10年近くに渡って保管しなければならないこと、自社だけでなく取引先や相手があっての新システム導入であることを鑑みて、サービス選定は慎重に行わなければなりません。
電子契約サービスで何を解決したいか、どの契約書業務をどこまで自動化すべきかを明確にし、本記事で紹介した選定ポイントを参考にしながら、最適な電子契約サービスをご検討ください。








