EmmaToolsが目指す「プロダクトで楽を作る」ことの全貌に迫る
「私たちが実現したいのは、1人の専任担当とEmmaToolsがあれば、最適なSEO対策が可能になる世界観」
そう語るのはSEOツールの開発提供、SEOコンサルティング、Webメディア運営などを行う株式会社EXIDEA 執行役員/CTOの梶野尊弘氏だ。
EXIDEAではAI機能搭載のSEOライティングツールEmmaTools(エマツールズ)を開発提供。SEO記事の品質を自動で分析し、スコアを可視化。AIによる文章の自動生成でコンテンツ作成を効率化し、上位表示の可能性を高める。
昨今、生成AIの登場により様々な業界でコンテンツSEOの内製化に取り組む企業も増えてきているが、記事を作成すれば必ず上位表示されるというわけではない。効率化と上位表示を実現するにはどのような視点、対策が必要になるのか。
そこで本記事では、株式会社EXIDEAでEmmaToolsの責任者を務める梶野氏に話を伺った。
EmmaToolsはもともと社内向けの業務効率化ツールだった
まず初めにEmmaToolsのリリース初期から現在に至るまでの変遷を教えてください。
実は、当初はリリース予定はなかったんですよ。もともとは自分たちのSEOを効率化と標準化するために開発し、社内向けの業務効率化ツールとして使っていました。ですが、社内で運用していたところ業務の効率化ができただけでなく、成果も出たという事で、「これは社外でも役立ててもらえるのでは」という話になりまして。それからさらに機能を磨き込み、2018年の5月に外部向けサービスとして販売と提供を始めました。
サービス提供初期のEmmaToolsは、記事を執筆する「ライティング機能」、コンテンツを分析する「アナリティクス機能」、コンバージョンを改善する「Heatmap機能」といった機能がありましたが、当時社内向けに展開していた際はそれぞれが独立した機能として開発していたため、リリース直後、それぞれを1つのサービスとして無理やりくっつけた状態でスタートしました。
その後、2019年の3月に今の開発部門の責任者が入社して、バグの修正などシステム側の改善に投資を始め、それまで業務委託の方に依頼していたプロダクト開発を内製化するという動きになりました。私が入社したのが、その半年後の2019年9月ですね。そこからツールを新規で販売しない期間や生成AIの登場など紆余曲折がありながら、プロダクトの一新や集客活動が整って今に至ります。
EmmaToolsが解決する課題とは?
先ほど生成AIの登場という話もありましたが、自社でSEOコンテンツを作成する企業が増えてきているかと思います。その中で多くの企業が様々な課題にあたるかと思いますが、EmmaToolsはそれらをどのように解決するのでしょうか?
まず、コンテンツSEO全体で生成AIが出てきたビフォーアフターからお伝えします。生成AIが出てくる前はコンテンツマーケティングに対して、ツールを入れてまで自社でやりたい企業さんはすごく稀でした。
例えば、SaaSツールの中でも比較的メジャーな、バックオフィスツールの導入社数を見ると、数千社を超えているケースがほとんどです。ところが、SEO関連のSaaSツールで「数千社に導入いただきました」みたいなものはほぼないんですよ。なぜかというと、コンテンツSEOに取り組む際には必ずセットで専門家が必要だったからなんです。生成AIが出る前はSEOのリテラシーが一定ある方がいないとできない、ノウハウを身につける気概と興味を持った方が専任として在籍しないと進められないということがありました。
なので、生成AIが出る前は当社への問い合わせも、SEOのリテラシーがそこそこあって自分たちで何度かコンテンツSEOを試してるという方が結構多かったです。
ですが、ここに生成AIが登場し、国も推奨してDX人材育成、リスキリングを推し進めたことで、状況が変わりました。
生成AIの多くは文章を生成するものなので、記事との相性がいいんですよ。あっという間にSEO対策とか広告文生成とか利用できるのではという風潮が出来上がっていきました。つまり、生成AIが出てきたことで、企業がコンテンツSEOに取り組むことへの参入障壁が下がったといえます。
ここまでがコンテンツSEOに対するビフォーアフターで、当社ではコンテンツSEOに企業が取り組む場合には大きく3つの課題があると思っています。
1つ目が「プロンプトが作れない」。2つ目が「成果が上がらない」。3つ目が「生成AIの登場によりGoogleのアップデート頻度が上がっている」ことです。
まず「プロンプトが作れない」という課題に対して、EmmaToolsでは当社が社内で運用し成果を出した経験則をプロンプトに組んでいるので、ユーザーがプロンプトをいれずに上位表示を狙うキーワードのみ入力すれば、記事のタイトルや構成、文章まで自動でライティングをすることができます。
2つ目の「成果が上がらない」と3つ目の「生成AIの登場によりGoogleのアップデート頻度が上がっている」という課題に対しては、そもそもそのような課題を持つユーザーの多くは生成AIが書いた記事の品質チェックができていないんです。多くの方が理解しているように、生成AIが書いた文章をそのまま記事にしても順位は上がりません。最終的にはきちんと品質をチェックするということが必要です。それに対し、EmmaToolsは品質チェック機能も搭載しているので、記事の量と質の両方を担保することができます。
まだ生成AIだけで全自動化してコンテンツSEOを行うことは難しいのが現状ですが、「きちんと人の目を入れて、生成AIと一緒にコンテンツを作りましょう」あるいは「80%くらいの効率化を目指しましょう」というのが私たちの見解です。
具体的には、「CRAFT(クラフト)」というコンテンツ作成のフレームワークに沿って、生成AIで出来た文章の無駄な情報を削る、画像や引用文献を追加する、ファクトチェックをするといった運用がおすすめです。
コンテンツSEOの勝ち方、生成AIは魔法のツールではない
そもそもコンテンツSEOにおいて、ページの評価を上げ、検索画面で上位表示を狙うために重要なことは何ですか?
最も重要なのは、カスタマージャーニーを策定して、それに基づく上位表示を狙うキーワードを選定することだと思います。そこから先はキーワード戦略に基づいて、1つ1つのコンテンツを、品質高く一定数作るというのが重要になります。
また、軸を変えてマインド的なところで言うと、生成AIは魔法のツールではないことを理解することです。生成AIを使ったらコンテンツSEOもできると考えるのは難しく、SEOの知見はある程度必要になります。
ただ、EmmaToolsであれば、コンテンツSEOの概要とライティングの基本だけ理解していれば、ツールに表示される指標やチェックポイントを満たすだけで、一定の成果を出せる設計になっています。
本来、そういった作業をツール無しでやろうとすると、対策したいキーワードの含有率を手動で計算したり、競合サイトを1つずつ調査したりと、膨大な時間がかかりますが、EmmaToolsは、そこを簡素化できるツールとして、捉えていただくのが良いと思います。
結論、EmmaToolsの良いところは、タイトルや見出しを狙いたいキーワードをもとに、構成から文章まで全てAIが作成してくれるところですね。プロンプトは当社のノウハウを基に組み込んでいるので、ボタン1つで簡単に作成できます。また、AIが書く文章はコピーコンテンツとなりがちなのですが、そのコピーチェックとファクトチェックも一緒にできます。
EmmaToolsはメディア運用特化型のSEO×AIライティングツール
昨今、本当に様々なSEOツールやAIライティングツールが登場しているかと思いますが、その中でのEmmaToolsの強みを教えてください。
まず、私たちのサービスは、SEOツールとAIライティングツールの両方に分類されるので、それぞれ競合ツールがあります。
SEOツールにおいてですと、私たちの特徴はコンテンツの作成と改善に全振りしているという点です。
例えば、先ほど言った品質チェックやファクトチェック、コピーチェックなど記事作成にかかる機能に重点を置いているのが、他社さんとの大きな違いです。
開発の思想でみると、他社さんのSEOツールは、SEOコンサルティングをするために作ったツールがほとんどです。対し、私たちはメディアが創業事業なのでメディア運用を効率化する為に作ったという点も差別化のポイントですね。
他社さんのコンサルティングをするためのツールという点で見ると、エンドクライアントさんのタグや内部リンクなどの内部要因の分析、キーワードの選定というところを納品物とするので、そこをサポートするようなレポート機能などが強いんですよね。
一方で、私たちがサポートするのはメディア運用です。キーワードの選定からコンテンツを作って効果計測をするというサイクルを回すことになります。そのためライティングや品質チェックの機能を強化しました。
また、一方のAIライティングツールの視点ですと、SEOに関する機能もセットになっていることだと思います。
昨今ですと、記事をかけるというAIライティングツールはたくさんありますが、ライティング部分にフォーカスし過ぎて効果計測や、キーワードの分析、SEOの品質チェック機能が付いてないAIライティングツールが多く出てきています。
私たちは生成AI×SEOという文脈で多分頭1つ抜けてるかなというような感じです。AIライティングツールでできる事は、ほとんどが私たちのツールでもできますし、元々SEOツールなのでそれを拡張した品質チェックまで全部できたりするので、そういった所が違いなのかなと思います。
多種多様な業界で導入が進むEmmaTools
今後導入を拡張したい領域や業界などはありますか?
ぶっちゃけ、「特にこれ」という領域が見当たらないんですよね(笑)。なぜかというと、事業会社でインバウンドを強化したい企業全てが導入できるツールになっているからなんです。
SEOが比較的レッドオーシャンな、人材業界や賃貸不動産、旅行とか観光業などでも導入いただいてます。逆に、最近展示会に出ていたりすると、今までSEO対策を全くやって来なかったような機器メーカーさんやすごいニッチ業界にもニーズがあると感じるので、そういった業界でも導入を進めていきたいと思っています。
インダストリーカットというよりは、集客や認知拡大をしていきたい企業に広く導入を進めていきたいと思っています。
Emma Toolsの導入事例・効果
実際にEmmaToolsを導入した企業からはどのような生の声をいただいていますか?
どの業界でも、順位が上がりましたとかという声はもちろんいただきます。それによってサイトのアクセス数が右肩上がりに伸びた事例は業界問わずほとんどの企業さんで伺います。
一方で業務効率化ですと、初めてこういったツールを導入した方々からいただく声として、UIがシンプルで使いやすいですとか、インターン生だけで回せるようになりましたとか、業務効率化が進んで毎月作れる記事数が5倍ぐらい作れるようになりましたという声をいただくこともあります。
具体的な事例を上げますと、1つ目は、スマートフォン・タブレット等の中古販売の会社さんの事例があります。導入当初がサイトの流入がゼロだったこともありますが、導入のタイミングからずっと右肩上がりで伸びてきています。
2つ目が不動産業界で、コンテンツSEOにおいて競合他社さんが多い業界ではあるんですが、ここの企業さんも大体2年ぐらい前に導入をいただき、アップデートの影響等はありつつも、常に上がり続けてるっていうような企業さんになってますね。
私たちのミッションは「プロダクトで楽を作る」こと
最後に、今後EmmaToolsが目指していくことを教えてください。
今、私たちのミッションは「プロダクトで楽を作ること」です。
クライアントさん向けにいろんなツールが登場していますが、使い方がわからないプロダクトがすごく多いと思います。例えば生成AIでプロンプトが組めない、組み方を覚えるにも学習コストがかかります。
その点、EmmaToolsは「楽に使える」のが最大の特徴です。その甲斐あってグッドデザイン賞を受賞したという経緯もありますし、今後も「UIはシンプルで基本的にステップが少なくできる」という状態を目指しています。
また、コンサルティング業務でのキーワード選定や、EmmaToolsを導入いただいた企業様の記事作成やリライトに時間がかかることもしばしばなので、AI拡張でうまく補えるツールにしたいという構想もあります。
もう少し大きな視点の話だと、企業の中でEmmaToolsを使っているマーケターの方や、個人で活用しているライターの方を問わず、生成AIから出てきたものをきちんとチェックできる、ディレクター的な業務をできる方を増やしたいと思っています。
今後ライターやプログラマーなど、記事やコードを書くだけの人は、AIに取って変わられるという予想が現実味を帯びてきました。実際、これまで新たにコンテンツSEOに取り組む企業はライターさんに発注するのが当たり前だったのが、今は「ツールを活用して内製化」という選択も主流になりつつあります。
ただ一方で、エディターさんと言いますか、SEOと生成AIをセットでうまく使えるディレクターはまだ足りていないと感じますね。
今後EmmaToolsもそうですし、もしかしたら他のサービスになるかもしれないですけど、生成AIや関連ツールをうまく使える方を増やしたいなと思っています。