昨今、グループウェアを導入してグループ(組織やチーム)の情報共有と業務フローを円滑化し、業務効率化や生産性向上を図る企業が増えています。
ただ、業務の効率化をしてもそれが直接売り上げに貢献したり、成果をはっきりと確認できたりするわけではないため、中小企業やスタートアップでは、なるべくコストを抑えて導入したいと考えている担当者は多いのではないでしょうか。
グループウェアの中には無料の製品がありますが、期間や人数の制限、サポートの有無など、有料のものに比べて懸念すべき点が複数あるため、容易な導入は避けたいです。
本記事では掲示板機能やスケジュール機能、toDO管理など基本機能を搭載した無料のグループウェアを9サービスを紹介します。どのサービスが自社に適しているか参考にしてください。
グループウェアとは|業務効率を高めるためのツール
グループウェアとは、社内コミュニケーションやスケジュール共有などを円滑にして、業務効率を高めるためのツールです。昨今は一つのグループウェアに「チャット」「スケジュール共有」「タイムカード」「タスク管理」「ファイル共有」などの機能が全て入っているツールも少なくありません。
グループウェアによって特徴は異なり、「機能は少ないが、基本無料なもの」「機能は豊富だが、プランによって使える機能に制限があるもの」「ビデオ通話といった他ではあまりない機能を搭載しているもの」など、さまざまなものがあります。
グループウェアに搭載されている機能
グループウェアの多くに搭載されている機能は、「チャット」「ビデオ通話」などのコミュニケーションを円滑にする機能はもちろん、「スケジュール管理」「タスク・To-Do管理」や「ファイル共有」など業務作業を効率化させる機能が豊富に搭載されていています。
また昨今はスマホやタブレットに対応しているものも多く、専用アプリで操作ができるため、出先でも快適に利用できるでしょう。
【小規模におすすめ】無料のグループウェア9サービスの特徴を徹底比較
今回ご紹介する無料利用が可能なグループウェアは、以下の9サービスです。
- サイボウズOffice
- enclo
- iQube
- GRIDY
- R-GROUP
- Lark Suite
- aipo
- RiNK
- Stock
どのサービスも小規模の組織や企業におすすめのサービスです。各サービスの特長や実際に利用した人の口コミについても合わせて紹介しています。どのサービスが自社に合っているのか概要を把握した上で導入を検討しましょう。
サイボウズ Office
サービス名 | サイボウズOffice |
料金 | 【スタンダードコース】 500円/月 5,880円/年 【プレミアムコース】 800円/月 9,405円/年 ※30日間の無料試用あり |
ユーザー登録制限 | なし (300名以内の利用を推奨) |
機能 | スケジュール/施設予約/掲示板/ファイル管理/メッセージ/メール/ワークフロー/報告書/アドレス帳/電話メモ/プロジェクト/To-Doリスト/タイムカード |
チャット | なし (メッセージ機能あり) |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | あり (CSV書き出し可) |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
サイボウズOfficeは、表計算ソフト「kintone」でも有名なcybozuのグループウェアです。1997年の運用スタートから改良を重ね、今では導入社数70,000社を超えるグループウェアとなっています。
スマホやタブレットに完全対応していおり、出先でサイボウズOfficeを利用したい場合でも、「サイボウズ Office新着通知」と「サイボウズ KUNAI」という2つのアプリから簡単に利用できます。
また、クラウド版で利用しているサイボウズクラウドサービスは、金融機関向けの「FISC安全対策設備基準」を満たしたデータセンターで提供しています。バックアップ体制や不正アクセス防止対策、障害対策などが徹底されており、セキュリティ面も安心です。
- 20年で60万社以上の利用実績
- スマホ完全対応
- 強固なセキュリティシステム
enclo
サービス名 | enclo |
料金 | 【フリー】 無料 【マイプラン】 350円/月 3,800円/年 【ビジネス】 2,000円/月 22,000円/月 |
ユーザー登録制限 | 【フリー】 5名 【マイプラン】 10名 【ビジネス】 10名〜無制限 |
機能 | ファイル管理/チャット/手書き対応メモ/スケジュール |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | なし |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | なし |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
encloはファイル・チャット・メモ・スケジュールを簡単に共有することができるグループウェアです。操作がとても分かりやすく、グループを作成すればすぐにメンバーと情報を共有できます。
操作画面がとてもシンプルで、直感的に操作できるため、導入〜実行までスムーズに進められるでしょう。手書きメモにも対応しているため、ペーパーレス化にどうしても抵抗があるという方にも、おすすめのグループウェアです。
- ファイル共有がスムーズ
- メモ機能で手書き/画像挿入可能
- 少人数でやり取りしやすい
iQube
サービス名 | iQube |
料金 | 【無料プラン】 無料 【テレワークプラン】 330円/月 3,300円/年 【スタンダードプラン】 440円/月 4,800円/年 【プレミアムプラン】 770円/月 6,600円/年 |
ユーザー登録制限 | 【無料プラン】 10IDまで 【テレワークプラン】 なし【スタンダードプラン】 なし 【プレミアムプラン】 なし |
機能 | スケジュール/To-Doリスト/レポート/電話メモ/メッセージ/社内wiki/ニュース/掲示板/ワークフロー/タイムカードなど |
チャット | なし (テレワークプラン以外はメッセージ機能あり) |
スケジュール管理 | あり (テレワークプランは利用不可) |
タイムカード | あり (スタンダードプランは利用不可) |
スマホ対応 | アプリなし(ブラウザからの利用は可) |
タスク・To-Do管理 | あり(テレワークプランは利用不可) |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり (スタンダードプランは利用不可) |
iQubeは、「社内ノウハウの蓄積」に着目したクラウド型グループウェアです。特徴的な機能や「社内Wiki」で、社員それぞれが文章をアップすることで効率よくノウハウを共有することができます。
また社員のスケジュールを一元管理でき、スケジュールにタスク・To-Doリストを連携させられるだけでなく、レポート文章もまとめて管理できます。情報が散在せず快適に利用できるため、細かく従業員を管理したい企業にもぴったりでしょう。
- 社内Wiki機能でノウハウ共有
- 社員のスケジュールを一元管理
- 9000社以上の導入実績
GRIDY
サービス名 | GRIDY |
料金 | 無料 (上位版のKnowledge Suiteは、月額10,000円〜の有料プランあり) |
ユーザー登録制限 | 無制限 |
機能 | スケジュール管理/設備予約/プロジェクト管理/メール/アドレス帳/タイムカード/To-Do/ファイル管理/ワークフロー機能など |
チャット | なし (メール機能、掲示板機能あり) |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | あり |
スマホ対応 | なし (上位版のKnowledge Suiteは、アプリ利用可) |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
GRIDYは、23の機能を完全無料で利用できるクラウド・グループウェアです。メッセージやファイル共有、スケジュール管理はもちろん、アドレス帳や業務申請、施設予約などの機能も搭載しています。
そしてアクセス制限機能やデータの暗号化など、内部での情報漏洩を防ぐセキュリティ対策も万全です。企業内の管理者をグループごとに設けられるているため、管理者の管轄範囲を一元管理できます。内部の管理を厳密に行い、社内のセキュリティ対策を充実させます。
- 完全無料で利用できる
- プロジェクト/タスク管理で業務効率化
- ISO27001(ISMS)を取得した万全のセキュリティ
R-GROUP
サービス名 | R-GROUP |
料金 | 無料 |
ユーザー登録制限 | 無制限 |
機能 | タイムライン/スケジュール/掲示板/メール/タイムカード/ステークホルダ/無料通話/シフト表/ファイル共有/名刺管理/チャット |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | あり |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし (音声通話はあり) |
ファイル共有 | あり |
R-GROUPは、20か国に対応した完全永年無料のグループウェアです。クラウド型のため、社内PCの保存容量を減らすこともありません。
特徴はストレージや利用人数の制限がない点です。通常、グループウェアは利用人数やストレージ容量によって追加料金が発生しますが、R-GROUPはストレージや利用人数によって料金が変わることはありません。
- 完全無料で利用できる
- ストレージ容量無制限
- 利用人数無制限
Lark Suite
サービス名 | Lark Suite |
料金 | 【STARTER】 無料 【PRO】 1,420円/月 【ENTERPRISE】 要問い合わせ |
ユーザー登録制限 | 【STARTER】 50ユーザー 【PRO】 500ユーザー 【ENTERPRISE】 無制限 |
機能 | メッセンジャー/ドキュメント作成/表計算機能/ビデオ機能/カレンダーなど |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | なし |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | なし |
ビデオ通話 | あり (STARTERプランは、60分まで) |
ファイル共有 | あり |
Lark Suiteは、チャットやビデオ会議、カレンダー、文章作成ツール、メールをオールインワンにした「統合型コラボレーションツール」として開発されました。特徴はビデオ会議やメールなどのコミュニケーションツールから、文章作成ツールや表計算ツールなどのビジネスソフトがひとつになっている点です。
最大10TBまで保存できるのも特徴で、ファイル共有などをメインで利用したい場合でも、ストレスなく使用できます。また100以上の言語に対応しているため、多国籍企業にもおすすめできるでしょう。
- 最大10TB保存可能
- メール/ビデオ会議/ストレージ等の機能を集約
- 100以上の言語にも対応
aipo
サービス名 | aipo |
料金 | 【ミニマム】 385円/月 【ベーシック】 495円/月 【プレミアム】 770円/月 ※14日間の無料お試しあり |
ユーザー登録制限 | 5名〜無制限 |
機能 | スケジュール管理/日程調整/チャット/社内ポータル/タイムカード/ワークフロー/タイムライン/To-Do管理/ファイル管理など |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | あり |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
aipoは、スケジュール管理・共有に強いグループウェアです。ただのカレンダー機能ではなく、設備予約機能やマップアプリの連携、公開先指定、Slack連携、ファイル添付など豊富な機能を揃えています。
またカレンダー以外の機能も豊富でありながら、利用者目線にこだわったユーザーインターフェースも魅力のひとつ。元々はオープンソースで開発されてきたため、多くのユーザーの目線が取り入れられたとても使いやすいグループウェアとなっています。
- チーム内のスケジュールの見える化可能
- 最低限の情報登録ですぐに利用可能
- 利用者目線にこだわったインターフェイス
RiNK
サービス名 | RiNK |
料金 | 【スーパーライトプラン】 110円/月〜 【ライトプラン】 330円/月〜 【フルプラン】 495円/月〜 ※1ヶ月の無料トライアルあり ※スーパーライトプランは年間契約のみ、ライセンス数によって料金変動 |
ユーザー登録制限 | 〜300名 (300名超で利用する場合は、別プランを提案) |
機能 | スケジュール/掲示板/レポート/メッセージ/To-Do/ファイル共有/在籍状況管理など |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | あり |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
RiNKは、有料プランが100円/月から利用できる、コストパフォーマンスに優れたグループウェアです。リーズナブルな料金にもかかわらず、スマホに対応しているのが魅力。出先でもPCと同程度の作業がスマホで行えるため、どこでも快適に利用できます。
さらに顧客管理機能も搭載しており、リアルタイムに顧客情報を確認できます。権限・公開設定や管理項目は自由に設定できるため、利用者の利用目的により適したした形で使うことができるでしょう。
- スマホ/タブレットから一元管理可能
- 顧客のリアルタイムの情報を確認できる
- 利用者が必要な項目を自由にカスタマイズ可能
Stock
サービス名 | Stock |
料金 | 【ビジネス5】 2,980円/月 1,980/年 【ビジネス10】 4,480円/月 3,480円/年 【ビジネス20】 7,480円/月 6,480円/年 【ビジネス30】 12,400円/月 11,400円/年 【ビジネス40】 17,800円/月 15,800円/年 ※管理・セキュリティを強化したい方向けのエンタープライズプランあり ※〜300人以下プランあり、300人〜のプランは要問い合わせ”¥ |
ユーザー登録制限 | 【ビジネス5】 5人以下 【ビジネス10】 10人以下 【ビジネス20】 20人以下 【ビジネス30】 30人以下 【ビジネス40】 40人以下 ※〜300人以下プランあり、300人〜のプランは要問い合わせ |
機能 | チーム情報のストック/タスク管理/メッセージ |
チャット | あり |
スケジュール管理 | あり |
タイムカード | なし |
スマホ対応 | 対応 |
タスク・To-Do管理 | あり |
ビデオ通話 | なし |
ファイル共有 | あり |
Stockは、非常にシンプルに社内情報を共有・ストックできるのが特徴のグループウェアです。業務マニュアルはもちろん、商談記録や面談記録、営業戦略、顧客情報、企画案などさまざまな社内情報を直感的にまとめられるのが魅力です。
またStockはISO27001(ISMS)を取得しており、セキュリティ面も安心して利用できます。そしてSlackやEvernoteと連携したり、CSVファイルをまとめて入力することも可能で、既に他アプリを利用している方でも導入しやすいグループウェアとなっています。
- 情報漏れを防げる
- Slack/Evernoteと連携可能
- CSVファイルをまとめて入力できる
無料のグループウェアを比較する3つのポイント
今回ご紹介した通り、グループウェアにはさまざまな特長があります。無料のグループウェアを比較する際に、気をつけるべきポイントは以下の3つです。
- 自社に必要な機能が揃っているか
- アフターケア・サポート体制の充実度
- セキュリティ対策
上記3つのポイントについて、それぞれ解説します。
自社に必要な機能が揃っているか
まずは、自社に必要な機能が揃っているかを確認しましょう。グループウェアによって搭載している機能は異なり、「Chatwork」や「Stock」のように一つの機能を軸にしているグループウェアも少なくありません。
たとえば「Chatwork」はチャット機能を軸として、そこにタスク管理機能やファイル共有機能をつけています。このように、グループウェアによって強みとしている機能は異なるのです。また、プランによって機能制限があるグループウェアもあります。利用したい機能があっても、コスト面で導入が難しいケースもあるため、利用料金と機能制限も必ず確認してください。
アフターケア・サポート体制の充実度
アフターケアやサポート体制も、グループウェアを利用する上で非常に重要です。
グループウェアに搭載される機能は年々増えていますが、その分使いこなすのにはある程度の知識が必要です。そのため、利用方法が分からない際にスムーズに解決できるようなサポート体制が重要になります。
また、グループウェアごとにアフターケアの体制も異なります。たとえばLark Suiteの有料プランであれば、四半期ごとの業務フォローアップを受けることが可能です。グループウェアそのものの使い勝手などはもちろんのこと、業務に深く関わるツールだからこそ、こうしたサポート体制は重要となるでしょう。
セキュリティ対策
会社の重要情報を管理するグループウェアは、セキュリティ対策も大切な比較項目です。
グループウェアではファイルや顧客情報、社員のスケジュールや出退勤情報などさまざまな情報を管理します。そのためグループウェアを提供している会社は、FISC安全対策設備基準を満たしたデータセンターを用意したり、ISO27001(ISMS)を取得したりするなど、セキュリティ面の強化に努めているのです。
グループウェアを導入するにあたっては、そうしたセキュリティ面に関する取り組みも比較しておくと、安心して利用することができます。
グループウェアの導入メリット
グループウェアは、機能の組み合わせや活用方法によって、解消される自社課題や効率化される業務はさまざまです。多彩な機能を複数組み込めるグループウェアの特性とその活用によって、以下のような導入効果が見込まれます。
- 情報共有の迅速化
- 社内コミュニケーションの活性化
- バックオフィスの効率化と負荷軽減
- テレワーク制度への対応
1. 情報共有の迅速化
グループウェアでは、ビジネスチャットやWeb会議、ファイル共有、タスク管理などのツールを、いくつものアプリケーションを起動することなく利用できるため、業務を進めるにあたっての時間や手間を極力削減し、リアルタイム性の高い情報共有とチーム内のコミュニケーションが可能です。
たとえば、Web会議やチャットのコミュニケーション機能とほかの情報共有機能の組み合わせ次第で、プロジェクトの進捗状況を一緒に確認しながら事業計画を修正したり、同じファイルを見ながら意見交換をしたりといったことができます。
プロジェクトの進行や意思決定のスピードを左右するのは、チーム内でいかに迅速な情報共有ができるかです。すぐにでもチームメンバーと打合せを行いたいという場合、「メンバーのスケジュールを確認後、打合せ時間をチャットで連絡し、当日Web会議を行う」といった一連の業務が1つのアプリケーション上で完結させることができます。
2. 社内コミュニケーションの活性化
グループウェアには、Webメールやチャットをはじめ、さまざまなコミュニケーションツールが一元化されており、全社お知らせには掲示板、業務には直接関係ないナレッジや仕事ノウハウは社内SNSといったように、コミュニケーションの目的に応じてツールを使い分けることができます。
パソコンだけでなく、スマホやタブレットなどのマルチデバイスにも対応しているため、「出社しなければメール内容を確認できない」ということもなく、タイムラグの小さいコミュニケーションを実現可能です。
近年は、フレックス制度やテレワーク制度の採用によって、社員全員が時間・場所ともに同じ空間に集まることが少なくなっていることもあり、社内のコミュニケーション不足が懸念されていますが、話の内容や発信先に合わせて手段を選択できるようになれば、ちょっとした確認事項やフランクなやり取りも気軽にできるでしょう。
業務上の情報共有やプロジェクト管理などの生産性向上を目的とする機能とも合わせて、社内コミュニケーションを創出する施策としてグループウェアの導入を検討するケースもあります。
3. バックオフィスの効率化と負担軽減
事業成長にはバックオフィスの業務効率化が不可欠です。従業員数や取引先が増加するほど事務処理案件も膨れ上がり、経理・人事・総務の業務負担は大きくなっていきます。
ワークフローを搭載したグループウェアであれば、これまで紙の書類で管理してきた申請業務が電子化されることで、書類の作成から申請、承認、保管まで全てオンラインで完結します。紙の書類を廃止すれば置き忘れや紛失のリスクもなくなり、ペーパーレス化によるコスト削減も期待できます。
また、設備予約機能を活用すると、会議室や社用車、プロジェクタなどの共用設備を予約・管理できます。いつ、誰が利用しているかをシステム上で把握できるため、予約調整のやり取りは不要です。
ほかにも、勤怠管理や経費精算、安否確認などさまざまなバックオフィス機能を組み込むことができ、グループウェアを上手に活用して業務システムを統合することで、バックオフィスでありがちな業務の属人化から脱却することができるでしょう。
4. テレワーク制度への対応
これまで紹介した通り、社内外のミーティング、ファイル共有、ワークフローなど、グループウェアの機能を幅広く活用することで、テレワーク中でも滞りなく進めることができる業務が増えます。
遠隔でのコミュニケーションや業務遂行を可能にするグループウェアは、働き方の多様性を実現する基盤となるでしょう。
グループウェアの選び方
グループウェアに搭載しうる機能は多岐に渡り、製品やサービスごとに異なる特色や強みを持っているため、機能が多ければ多いほど良いというわけではなく、その製品が企業のニーズを満たしているかどうかが選定のポイントです。
- グループウェアの導入目的や自社の課題を明確にする
- 自社の導入環境・導入規模に適したグループウェアを絞り込む
- トライアルを活用し、グループウェアを1つ選定する
ステップ1. グループウェアの導入目的や自社の課題を明確にする
自社に合ったグループウェアを選択したり、機能のカスタマイズを適切に行うには、まずグループウェアを自社に導入する目的を明確にすることが必要です。
近年、グループウェアに搭載できる機能は数えきれないほど多くなってきており、汎用性も拡大しているため、自社の導入目的が明確になっていないと、必要以上に多くの機能を選定してしまうことになります。
グループウェアを選定する上で、「自社に必要な機能の充実性」が重要になることは間違いありませんが、無駄のない機能選定を行うために、まずは自社の業務スタイルを分析し、解消したい課題や効率化を実現したい業務を明確にしておきましょう。
グループウェアを利用する目的 | 必要となる機能例 |
チームの生産性を高め、プロジェクトの進捗や意思決定スピードを上げたい。 | ・プロジェクト管理 ・共有タスク管理 ・スケジュール ・ファイル共有 ・チャット ・Web会議 |
正社員だけでなく、パート・アルバイトの勤怠・就業管理を行いたい。 | ・シフト管理 ・シフト希望登録 ・タイムカード ・日報 |
テレワーク制度の運用を効率化したい。 | ・勤怠管理・タイムカード ・スマホ・タブレット対応 ・ワークフロー ・スケジュール ・タスク管理 |
営業部門・販売部門向けの拡張機能を追加したい。 | ・顧客台帳 ・商談進捗管理 ・売上情報 ・年賀状管理 ・宴会予約 |
製造業向けに業務効率化機能をカスタマイズしたい。 | ・在庫管理 ・納品管理 ・クレーム管理 ・工数管理 ・見積書・請求書作成 ・ISO管理 |
ステップ2. 自社の導入環境に適したグループウェアを絞り込む
せっかく高機能なグループウェアを導入しても、組織に定着しなければ運用コストがかかるだけで業務効率の改善に繋がりません。
自社に必要な機能の洗い出しができたら、料金、サポート体制、使い勝手の良し悪しなど、自社の導入環境に適した製品を絞り込んでいきましょう。
グループウェアの選定時にチェックしておくべきポイントを以下にまとめます。
- 企業規模や料金体系、カスタマイズ性から見て、オンプレミス型とクラウド型のどちらが自社に適しているか。
- サービスのセキュリティレベルは自社の規程・基準を満たしているか。
- 社内で利用対象者となるユーザー全員が操作しやすいか。職種や年齢層に関らず迷いなく操作できそうか。
- 現在使用中の業務アプリケーションやビジネスツールと機能の重複はないか。
- スマホ・タブレット用の専用アプリは準備されているか。機能制限はあるか。
- 長期的に見て後から必要となりそうな機能はあるか(外国語対応など)。機能の拡張性やカスタマイズ性はあるか。
- 導入前、トライアル期間が準備されているか。
- 導入時、機能のカスタマイズや提案をしてもらえるか。
- 導入後に受けられるサポートの範囲や経費は適切か。
ステップ3. トライアル運用で最終決定
検討中の製品が自社に適した機能を備えているか、自社で運用していくことができるか、実際に使用してみないとわからない部分もあるため、本契約の前には、トライアル運用を行なっておくことを強くおすすめします。
グループウェアは業務を効率化するためのソフトであるため、特に操作性や複数の機能・ツールを同時に使ってみた時の動作速度は重要です。
また、多くのクラウド型製品はマルチデバイスに対応していますが、PC版とスマートデバイス版(スマホやタブレット)のインターフェースは大きく異なるため、こちらもトライアル時に一通りの機能を試してみて動作確認を行なっておきましょう。
まとめ|無料のグループウェアは小規模組織におすすめ
無料のグループウェアは使用期間や人数、機能などに制限があるものも少なくありませんが、利用人数の少ない小規模組織であれば十分快適に利用できるでしょう。
昨今はグループウェアの種類も増え、選ぶ側は悩むことも多いです。しかし今回ご紹介したとおり、各社異なった魅力のあるグループウェアを提供しています。
本記事を参考に、ご自身の利用目的にぴったりのグループウェアが見つかれば幸いです。