プロジェクト管理とは?管理する項目と役立つフレームワーク

プロジェクトは、様々な人員やタスクが相互に関連しているため、管理を怠ってしまうとタスクの遅延や無駄なコスト等が発生し、プロジェクトの成功率が下がってしまいます。

プロジェクトを成功に導くには、タスクやスケジュール、予算などを適切に管理する「プロジェクト管理」が必要です。

本記事では、適切に遂行したい、増えたプロジェクトをまとめて一元管理したい人に向けて、プロジェクト管理の基本やフレームワークについて説明します。本記事を管理ツールの比較検討に役立てて、プロジェクトの成功を収めましょう。

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プロジェクト管理とは

「プロジェクト管理」とは、プロジェクトを成功に導くために、プロジェクトのタスクや進捗、コストを適切に管理することです。プロジェクトでは、さまざまなタスクが相互に関連していることが少なくありません。

そのため、一つのタスクが遅れると、ほかのタスクにも悪影響を及ぼし、結果としてプロジェクト全体に致命的な遅延が生じるおそれもあります。こういった事態を防ぐためには、各タスクの進捗状況を、適切にコントロールすることが必要といえます。

また、進捗やコスト、納期、人員といった基盤が、きちんと管理できていない場合も、プロジェクトを進めるのは難しく、成功までに至りません。業務が当初のスケジュール通りに進んでいるかどうかを把握して遅れがあれば対処したり、プロジェクトが予算内で完了できるように調整したり、プロジェクトがスムーズに進行するよう人員配置を適正化したりといった管理が必要です。

しかし、その管理がずさんであれば、プロジェクトの成功率が低くなってしまいます。プロジェクトの成功に必要な要素を、それぞれ適切にコントロールするためにも、プロジェクト管理が欠かせません。

管理すべきもの|コスト・タスク・進捗

プロジェクト管理ツールの主な管理対象は、以下5つです。

  • タスク
  • 進捗(スケジュール)
  • コスト
  • 予算
  • 品質

プロジェクト管理ツールを適切に活用するためには、これらのそれぞれの概要と目的を把握しておきましょう。

タスクの管理

タスクとは、大きな仕事を複数人で分担するため、小さな単位に分割した作業のことを表します。タスク管理では、「誰が」「どのタスクを」「いつまでに」実行するかを可視化します。実行すべきタスクを適切な優先順位に沿って、スケジュール通り完了させることが目的です。

進捗(スケジュール)の管理

作業計画、つまりスケジュールと照らし合わせて、プロジェクト達成までの進捗状況を、正確に認識することを表します。

作業計画と実際の進捗状況にギャップがあれば、途中で解決策の検討が必要になります。進捗管理は、プロジェクトが完了するまで、定期的に行わなければなりません。

コストの管理

プロジェクトにかかる人件費や材料費など、すべてのコストを管理することを表します。プロジェクトを成功させるためには、当然さまざまなコストを準備できていないと始まりません。

具体的な役割として、計画の範囲内に収まるコストの見積もりや配分、消費の追跡などが挙げられます。適切に管理してコストを抑えるとともに、利益率の向上を目指します。

予算の管理

売上予算や原価予算、経費予算、工数予算などを管理することを表します。コスト管理により導き出された、コストの予測と売上の予測に基づき、計画と実績のギャップを防ぐことが目的です。

コスト管理ではコストの圧縮が目的でしたが、予算管理では売上予算や利益予算といった経営上の達成目標までが、管理の対象に含まれます。

品質の管理

プロジェクトの成果物に関する品質を管理することを表します。品質管理では、あらかじめ計画で定められた基準の品質を満たすための対策を行いますが、必要に応じて改善を繰り返し、よりよい品質にアップデートすることもあります。

また、品質を測るためのテストを実施するにあたっては、チェック項目やテスト方法、担当者の役割分担、実行スケジュールなどを計画し、期日までに十分な品質を確保できるようにしておかなければなりません。

プロジェクト管理に役立つフレームワーク

プロジェクト管理において、さまざまな要素を管理する際は、専用のフレームワークを利用するのが一般的です。主なフレームワークとして挙げられるのが以下の4つです。

  • WBS
  • ガントチャート
  • EVM
  • PDCAサイクル

これらのフレームワークの利用が可能なツール・システムは多く存在しており、それぞれの概要を理解しておくだけでも、より効率的な管理に期待できます。

WBS

「WBS」は「Work Breakdown Structure」の略で、日本語では「作業分解構成図」と訳します。WBSの役割はその名前の通り、プロジェクトで必要となるタスクを、小さな単位に分解して構造化することです。

プロジェクト管理では、WBSによって必要なタスクを漏れなく洗い出し、全体を俯瞰できるようにリストアップします。それによって、スケジュールを立てたりタスクの分担をしたりすることがスムーズになります。

手順としては、まずすべてのタスクを洗い出し、それらを工程の順に従って並べたら、細かく分解して階層化します。そして、分解したタスクごとに担当者を割り当てれば、最後にタスクの終了日を決定して完了です。

WBSはExcel上でも作成が可能なほか、無料で利用できる著作権フリーの専用テンプレートも存在します。ただし、使い慣れたツールで作成できるというメリットがある一方、計画変更のたびにWBSにも、その内容を反映しなければならないことがデメリットです。その作業によって、担当者に負担がかかってしまう点には注意しましょう。

ガントチャート

「ガンチャート」とは、プロジェクト管理を行う際に使用するスケジュール表のことです。縦軸に必要なタスクや担当者などを並べ上げ、横軸に横棒グラフで開始日・完了予定日を表記します。横軸に表記する単位は「日」や「週」のほか、プロジェクト期間が長ければ、「期」や「年」を表記することも少なくありません。

Excel上でもガントチャートの作成は可能ですが、複雑なガンチャートを一から作成するのは、相当手間がかかります。そのため、専用のツールやサービスを活用して作成するのが一般的です。

ガンチャートを利用することで、プロジェクトの計画を概観できるようになり、計画の全体像を把握するのに役立ちます。プロジェクト管理では、ガンチャートによってスケジュールを管理し、必要に応じてその都度調整していきます。

EVM

「EVM」とは、「Earned Value Management」を略した言葉であり、プロジェクト管理において、進捗状況を客観的に把握するための手法です。

計画時に見積もった「計画上の出来高(PV)」と「実際にかかった実績値(AC)」、「実際に完成している実績値(EV)」をグラフ化します。その上で、PV・AC・EVのグラフを見比べて、スケジュールの進捗状況やコストの発生具合をチェックします。

Excel上でもEVMを実行できますが、構成が複雑なため、そもそもの仕組みを作ったり、入力・管理したりするのが非常に大変です。担当者の負担を軽減するには、専用ツールを活用した方が簡単で確実といえます。

PDCAサイクル

プロジェクト管理において「PDCAサイクル」とは、「計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)」の手順を反復し、管理のプロセスを効率化する手法を指します。

まず、目標を設計し、それを実現するための計画を立て、その計画通りに実行します。次に、計画がどの程度、実現されているかを評価し、最後にその評価内容に基づいて、改善を行っていきます。

PDCAサイクルをスムーズに回していくには、「具体的な数値目標を立てる」「実行の時間設定を的確にする」「失敗の原因の仮説を作る」などがコツである、といわれています。

プロジェクト管理ツール選定のポイント

プロジェクト管理ツールを比較・選定する際に、特に重要となるのが以下に挙げる4つのポイントです。

  • 機能範囲
  • 外部サービスとの連携
  • 操作性
  • 挿入費用

「Backlog」や「プロジェクト管理freee」などをはじめ、プロジェクト管理ツールの種類はたくさん存在しますが、ポイントをおさえておくことで、自社に合った適切なツールを見つけ出せます。

機能範囲

プロジェクト管理ツールを選ぶ場合、まず必要な機能がそろっているかどうか、確認が必要です。ツールの中には、タスク管理や工数管理など、特定の業務に特化したタイプもあります。そのため、自社でどのような機能が必要かを検討し、その上で適切なツールを選ぶようにしましょう。

一般的には、タスク管理や予算管理、コスト管理、品質管理といった機能は欲しいところです。また、ガントチャートによるスケジュール管理や、チャットなどの情報共有の機能が備わっていれば、管理作業をさらに効率化できます。

外部サービスとの連携

プロジェクト管理ツールの中には、グループウェアやビジネスチャットなど、さまざまな外部サービスと連携できる機能があります。たとえば、プロジェクト管理ツールで登録したスケジュールが、外部連携先のGoogleカレンダーにも同時に反映されると、いった例が挙げられます。

自社ですでに利用しているサービスとの連携が可能だったり、ほかの連携が可能なサービスが豊富だったりすると、使い勝手がよく円滑的に進められます。そのため、プロジェクト管理ツールを選定する際は、どのような外部サービスと連携できるかをチェックしましょう。

操作性

プロジェクト管理ツールは、日常的に多くのメンバーによって利用されます。よって、簡単で直観的に操作できる点と、操作性がよく手間がかからない点は、ツールを選ぶ上で重要なポイントです。操作性が悪い場合は、メンバーが使いこなせず作業に支障が生じたり、利用頻度が下がったりして、十分な効果を出せない可能性があります。

なお、操作性を評価する際は、管理者だけで判断するのは避けましょう。管理者だけではなく、チームのメンバーが戸惑わずに操作できることが重要だからです。

そのほか、よく利用するシーンを考慮して、操作性を検討する必要があります。たとえば、日常的にリモートワークを行うチームなら、特にメッセージ機能やスケジュール機能の使いやすさを重視するとよいです。

操作性に関しては、デモ版や試用期間を活用して検証できるので、できる限り多くのメンバーに操作してもらい、使いやすさを評価してもらいましょう。

導入費用

プロジェクト管理ツールの種類によって、導入にかかる費用には差があります。ツールにはユーザー数、登録が可能なプロジェクト数、利用が可能な機能など、さまざまなプランが用意されているものが多いです。

また、ツールの中には、利用が可能な人数や機能数が制限された、無料版が用意されている例や、登録が可能なユーザー数・プロジェクト数に上限がある例も少なくありません。

これらの点から、プロジェクト管理ツールを選ぶ際は、導入費用も慎重に確認することが必要です。同時に、自社の利用規模や最大利用人数を明確にし、導入が可能な対象のツールをピックアップしましょう。

おすすめのプロジェクト管理ツール

社内のプロジェクトの成功には、プロジェクト内のタスクをしっかり管理するツールが必要です。ここでは、おすすめのプロジェクト管理ツールを3つ紹介していきます。

Backlog

Backlogは、株式会社ヌーラボが提供するプロジェクト管理ツールです。プロジェクト管理に必要な機能が1つにまとめられており、プロジェクトの計画や人員リソース、プロジェクトの進捗をBacklog上で一括管理できます。

特に進捗管理方法が豊富で、ガントチャートやバーンダウンチャート、Gitネットでワークなど状況に合わせて使用可能です。

さらに、バグ管理やバージョン管理機能も備わっており、Backlog単品で業種を横断した管理が実現できます。

Asana

Asanaは、Asana Japan株式会社が提供するプロジェクト管理ツールです。主な機能として、プロジェクトの開始から終わりまでを時系列で整理するタイムライン機能や、プロジェクトの進捗状況やメンバーのリソース状況を一目で確認できる機能などが挙げられます。

また、Asanaは企業の下層部から出た課題を起点とするボトムアップ型のプロジェクトにも活用できるため、企業や組織の課題解決にも役立ちます。

Redmine

Redmineは、ファーエンドテクノロジー株式会社が提供するプロジェクト管理ツールです。完全無料であるにも関わらず、有料ツールの機能と比べても遜色ありません。

ソースコードが公開されているため、自社サーバーに実装もできますが、もしサーバー管理をしたくない場合には有料版も用意されています。

タスクの情報をチケットとして作成し、担当者・期限・詳細説明など1つのタスクに関する情報を細かく設定することでタスクの細分化が図れます。

また、チケットには更新されると該当者に通知される機能や優先度や期限などでソートできる機能もあるため、タスクの見落としを防止できるでしょう。

まとめ

プロジェクト管理とは、タスクや進捗、コスト、予算などを適切に管理し、プロジェクトを成功に導くことです。プロジェクト管理では、WBSやガントチャート、EVMといったフレームワークが利用されます。

プロジェクト管理ツールには、さまざまな種類がありますが、必要な機能や操作性、連携可能な外部サービスをポイントとして選ぶとよいです。その上で、目的や予算に合ったツールを選定して、プロジェクトの成功を目指しましょう。