経営ダッシュボードの作成ポイント|活用方法とお勧めツール

企業間での競争が激化する今、経営にはスピーディな意思決定が求められます。

経営判断を行うための定量的なデータを収集・分析し、それらを経営ダッシュボードで見える化するには、BIツールがおすすめです。

ここでは経営ダッシュボードの目的や作成方法、代表的なBIツールの特徴について紹介します。作り方や活用ポイントを押さえた上で、自社に合ったBIツールを選定しましょう。

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経営ダッシュボードとは

ダッシュボードには、自動車などの「計器盤」の意味があります。IT用語でのダッシュボードは、さまざまな情報を収集してまとめ、一覧表示する機能や画面などを意味します。

経営ダッシュボードとは、売上や仕入れ、人事データなど経営判断に必要なさまざまな情報を統合して表示できる機能です。数値だけでなくグラフや集計表といった把握しやすい形式で経営状況が分かるデータを表示し可視化するため、スピードが求められるビジネス判断に必要な情報も素早く確認できます。

経営ダッシュボードを作成する目的

経営ダッシュボードを作成する主な目的は下記の3つです。

  • 経営状況を直感的に理解できるようにする
  • リアルタイムで経営状況を把握できるようにする
  • データに基づいたネクストアクションを素早く行えるようにする

経営状況を直感的に理解できるようにする

適正な経営判断にはビッグデータなど膨大な情報量を集約・分析し、直感的に理解する必要があります。なぜなら、正しいデータを直感的に把握する術がなければ、重要な情報を見逃す可能性がある、情報を精査すること自体に時間を要してしまうなどのリスクがあるからです。

経営ダッシュボードを使用した場合、経営上のデータは全て統合され、経営判断に必要なグラフや集計表がそれぞれ画面上に作成されて、経営状況全体の「見える化」が可能になります。

経営者側が経営状況をスピーディーかつ確実に理解するには、経営ダッシュボードの活用が非常に有効なのです。

リアルタイムで経営状況を把握できるようにする

経営状況を適切に把握するためには、リアルタイムのデータを参考にして判断する必要があります。経営は現実の出来事を反映し刻一刻と変化するものだからです。経営ダッシュボードは、売上、仕入、製造、営業活動などさまざまなデータをそれぞれのツールから随時取得し更新されるため、ダッシュボードに表示されるグラフ・集計表ではリアルタイムのデータを確認できます。

リアルタイムで可視化される情報から経営状況の強みや課題を把握できるため、わざわざ新しいデータで資料を作る必要がありません。画面上で最新データが確認できることにより、会社の経営状況を効率的に確認、分析できます。

データに基づいたネクストアクションを素早く行えるようにする

経営ダッシュボードでKPI(重要業績評価指数)を設定すれば、達成すべきKPIと大きな差異が生じていないかを常に確認できます。これにより現状の課題を迅速に察知し、対策を講じられるようになります。

効果的な経営ダッシュボードの作り方

経営ダッシュボードは、レイアウトを見やすくして、必要な情報を確認しやすい形式で作成する必要があります。効果的なダッシュボードを作成するには、適切な手順で作ることが大切です。

ステップ1.データのインポート

経営ダッシュボードを作る際には、経営陣が求めるデータの取得が必要です。取得するデータからグラフ・集計表が作成されるため、経営状況の把握にどのデータが必要かよく検討しなければなりません。

どのデータを取得すると経営の現状把握ができるか、経営目標を設定できるかなど、経営戦略の立案に欠かせないデータを選んでインポートします。さまざまなデータを取り込みたい場合もあるかもしれませんが、取得するデータの種類が多すぎると管理が大変になるため注意しましょう。

ステップ2.レイアウト設計

レイアウトは、どの指標を重点的に確認したいのかを考慮して設計します。例えば、訪問者数や滞在時間が指標となるWebマーケティングの活性化と、一人当たりの作業工程数、動線管理を分析して行うべき工場ラインの業務効率化では、優先して見るべきデータと、誰がそれを取り扱うのかが変わってきます。

これはそもそも達成すべきKPIや戦略が異なるからです。達成事項や誰がそのダッシュボードを見るのかを意識しながら、目的に沿ったレイアウト設計を進めましょう。

ダッシュボードの画面表示が見やすいかどうかにも注意が必要です。ダッシュボード上の表やグラフが効果的に配置、色分けされていて、各データの区別がつきやすいレイアウトだと見やすくなります。一覧で見てすぐに内容が理解できるよう、シンプルに見やすい設計、見る人がわかりやすい設計を目指す必要があります。

ステップ3.グラフの作成

経営ダッシュボードでは、データの内容を理解しやすくするためにグラフを作成します。ダッシュボードに表示されるグラフは、データを直感的に理解できる形式を選ぶことが大切です。

例を挙げると、売上や利益率といった数値を比較する「棒グラフ」や、客単価や集客数を時系列に表示する「折れ線グラフ」、また年代分布やパーセンテージといったデータの内訳や構成割合などを示す「円グラフ」があります。

それぞれの数値やデータに合ったグラフを用いて、誰が見ても理解しやすいかたちに作成しましょう。

ステップ4.データの連動

経営ダッシュボード上のデータを常に最新に保つためには、各部門のツールとデータを連動させる必要があります。連動させなければ、経営ダッシュボードで示す内容の根拠となる元データが古くなり、本来の目的に適ったかたちで活用できなくなるからです。

まず各部門ごとのデータを経営ダッシュボードと連携させておくことが大切です。すると1つのデータが変更された際に、経営ダッシュボードで使用されているデータが同期され、同時にダッシュボード上のグラフやスコアカードも自動更新されるのです。この流れが確立していれば、常に最新のデータに則りリアルタイムで経営状況の確認ができます。

経営ダッシュボードの活用ポイント

経営ダッシュボードを有効に活用するためには、アラートの使用やデータの共有、ダッシュボードの情報を過信しないことなど、ポイントを押さえての利用が大切です。経営ダッシュボードを利用する際には、データの見方、活用の仕方などにも気をつけましょう。

異常値が出た場合はアラートを鳴らす

通常範囲でデータが変化している場合には問題ありませんが、データに異常値が出たり、指標との差異が大きかったりするときにはアラートを鳴らすのがおすすめです。

経営状況を悪化させないためにも異常値はそのまま放っておかず、できるだけ早めに気づいて対応策を取る必要があります。見逃さないようにアラートや見た目ですぐわかる色を設定しておくと安心です。

関わっている人がいつでもみられるような設定にしておく

最新のデータや各指標などの経営状況をリアルタイムで共有し課題や経営目標が見える化されることは社員の当事者意識の向上や、経営者層だけでは気づけなかった新たな発見の可能性につながります。

また、社員に向けて常に正しい情報や今後の課題、経営目標など経営に関するデータを伝達できる体制づくりにも活用できるメリットがあります。

ダッシュボードの情報を過信した意思決定を避ける

経営ダッシュボードのデータは重要な指標のひとつですが、過信してしまうと数値には表れない問題を見過ごすおそれがあります。グラフや集計表としてまとめられた数値に反映されない要素など、ダッシュボード上のデータだけでは確認できないケースがあるためです。

経営ダッシュボード上のデータだけでなく、実際に各部門で問題が起きていないかなどもチェックしなければなりません。

データの切り口を変えられるようにしておく

経営ダッシュボード上では、重要な情報の一覧だけでなく、異なる観点からも確認できるよう、切り口を切り替えられる設定にしましょう。切り口が変えられるように設定しておけば、担当者によって重要視する観点が異なる場合でもデータをソートし直して、スピーディに情報確認できます。

経営ダッシュボードを作成できるおすすめツール

経営ダッシュボードは、BIツールで作成できます。BIツールにはさまざまなものが存在し、機能の違いや他システムとの相性などもあるため、必要な機能が使えるツールを選ぶのがおすすめです。以下が、経営ダッシュボードのデータを更新できるインポート機能があるBIツールです。

Tableau

Tableauは、Tableau Japan株式会社が提供しているBIツールです。マウスを使ったドラッグ&ドロップなどにより、誰でも簡単に操作できます。

エクセル、CSVファイル、オラクルなど、さまざまなデータベースやクラウドサービス上にある大量のデータをインポートし、多角的にビジュアライズできます。独自のデータエンジン「Hyper」を採用し、データ処理・分析が高速で行えるのも特徴です。

Qlik Sense

QlikViewは、クリックテック・ジャパン株式会社が提供するBIツールです。データを簡単に可視化・分析できる操作性の高さ、分析機能の迅速化が特長です。多彩なデータソースから必要なデータを集約、データごとの関連性にインデックスをつけているので、切り口も自由に変えられます。パソコンだけでなくモバイル端末でも高速なレスポンスで快適に使用できます。

Microsoft Power BI

Microsoft Power BIは、日本マイクロソフト株式会社によるBIツールです。「データに基づいた企業文化をつくる」などのメッセージを掲げた日本マイクロソフト社が、企業と個人どちらにも使いやすい便利なツールを提供しています。

Microsoft Officeアプリとの連携がとりやすく、高いセキュリティで重要なデータも安心して活用可能。AI機能を備えているので、さまざまなデータの管理まで任せられます。

Domo

ドーモ株式会社が提供しているBIツールがDomoです。1,000種類以上あるプラグアンドプレイ型のコネクターが活用でき、100種類以上のデータ接続が可能です。

400億行を超える大容量データの分析が1秒未満で完了するライブキャッシュ、DomoAPPSというアプリにより、必要なダッシュボードの選択を可能にします。データの組み合わせや通知などを自社に適した設定に変更できるなど、業務効率化に役立ちます。

まとめ

経営ダッシュボードとは、経営判断に必要とされるさまざまな情報を統合してグラフや集計表などで可視化した一覧表示機能です。経営ダッシュボードを作成すると、売上、仕入など各部門のデータがリアルタイムで更新され、設定した情報が表示されるため、経営者は経営状況の確認や経営判断に活用できます。

データのインポートからデータ連動までポイントを押さえて作成することで、容易に必要なデータが把握できるようになります。適切な経営判断をしていくためにも、比較検討の上、自社に適したBIツールを選んでください。