データ連携ツールの比較8選|種類や機能、選び方を解説

事業成長とともにデータが増えていくと、部門ごとシステムごとに保管場所や共有方法、ファイルのフォーマットルールなどが分散していき、データの管理・取り扱いが難しくなっていきます。

こうした社内に点在するデータを有効活用するには、複数のシステムやサーバーの間で、さまざまなデータを自由に受け渡して活用できるようにする仕組みが必要です。これを「データ連携」と呼びます。

データ連携ツールは、データ連携の仕組みづくりをサポートし、複数の業務システムやアプリケーション内にあるフォーマットや文字コードの異なるデータを一元的に管理・活用できるようにするツールです。

しかし、ひとくちにデータ連携と言っても、その用途やソリューションは幅広く、数多くリリースされているツールもまたそれぞれ得意領域があるため、データ連携の目的に沿ったツールを探し出さなければなりません。

本記事では、データ連携ツールについて、その特徴や具体的な使われ方をはじめ、導入検討の手助けとなるデータ連携の基本知識を解説します。おすすめのツールもご紹介しますので、データ連携・システム連携による業務プロセスの見直しや効率改善を考えている方はぜひご覧ください。

目次

データ連携ツールとは?

データ連携ツールとは、複数の業務システムやサーバーを横断したデータ連携の仕組みを構築するツールです。

たとえば、以下のようなシステムを越えたデータ活用や業務効率化を可能にします。

  • CRMと販売管理システムのデータを統合したレポート作成
  • 人事管理システムから人事データを給与計算ソフトに取り込んで自動計算
  • ECサイトからの注文データを在庫管理システムに自動登録
  • Excelに入力したデータをSalesforceに反映

こういったデータ連携を行う際には、データ形式や文字コードの異なる複数のシステム間で、どのようにデータの互換性を持たせるかが大きなポイントとなります。

90年代後半に企業導入が進んだ数々の業務アプリケーション/システムは、互いのデータ連携を前提とせず、それぞれの導入先である部門や業務に最適化されて設計されました。これらシステムを横断したデータの管理・活用を行うには、それぞれの仕様や組み合わせに応じてデータの変形・加工を行わなければならないのです。

本来、データ連携のプログラムは、システムやサーバーの組み合わせの数だけ開発が必要となりますが、専門の技術者が求められるうえ、規模が大きくなるにつれて開発やメンテナンスのコスト・工数がかさんでいきます。

こういったデータ連携課題のソリューションとなるのが、GUI開発環境を使ってノンコーディングで、データ変換や加工処理といったデータ連携プロセスのプログラムを容易に構築できる「データ連携ツール」です。

データ連携ツール「ETL」と「EAI」の違いは?

データ連携を実装できるツールは数多く存在しますが、よく採用されているのが「ETLツール」と「EAIツール」です。

ETLツール

社内外に散在するデータを抽出(Extract)し、それぞれのデータを用途に応じて扱いやすいように変換・加工(Transform)したうえで、その先の格納先に書き出す(Load)するツールです。ファイル転送ツールとも呼ばれ、大量データの転送やフォーマット変換に強みを持ちます。

EAI(Enterprise Application Integrator)

組織内のアプリケーションのデータやプロセスを統合する技術です。あらゆるシステム群の中心に存在するハブの役割を持ち、必要な時に必要なシステム間のデータ連携やデータ授受を行います。

異なるシステム間でデータを利用できるようにする目的は同じですが、その過程が異なり互いにできること・できないことがあります。一方で、重複する機能もあるため、「結局のところ、何を導入すればいいのか」「それぞれどのような業務に向いているのか」など困惑するケースも多いようです。

ETLツールEAIツール
目的データ集約データ連携
処理頻度定常(バッチ指向)随時(イベント指向)
選定ポイントデータ処理性能データ連携範囲

大きく異なる特徴として、バッチ指向のデータ処理を得意とするETLツールに対し、EAIは、対象アプリケーションの中からその時に必要なデータだけを抜き出して連携するイベント指向(リアルタイム指向)のデータ処理を行います。

ETLツールのバッチ指向処理に適した業務

バッチ指向のデータ処理とは、一定量のデータを一度にまとめて処理するデータ処理方法です。ある程度のデータ量が集まってから一括処理を行うという性質上、データ連携頻度が低く、一度に処理するデータ量は多くなる傾向があります。

バッチ指向処理に適した業務
  • 定時的なデータ処理:日次の収益レポート、請求書の月末締め処理、連結決算データの統合など
  • 定常的なデータ処理:各基幹システムからデータウェアハウスへのデータ統合、数分ごとに更新が必要なシステム間のデータ連携など

EAIのイベント指向処理に適した業務

イベント指向は、一括処理を意味するバッチ指向の対義語として、今まさに目の前で起こっている事象(イベント)をトリガーとすることを意味します。秒単位レベルのリアルタイム性が求められることもあるため、必然的に一度に処理するデータ量はあまり多くありません。

イベント指向処理に適した業務
  • 受注業務における在庫の即時引当
  • Excelでのマクロ処理の置き換え
  • システム間のマスター連携

ETLとEAIの両機能を持ち合わせたデータ連携ツールもある

バッチ指向とイベント指向は互いの欠点を補い合う性質を持っていますが、昨今ではETLのバッチ処理とEAIのイベント処理を融合したデータ連携ツールも出てきています。

たとえば、基幹システムやSaaSを連携するEAIを基軸としながら、データ統合基盤を構築する高機能ETLツールも提供するAsteria Warpはその一例です。またtroccoは、データ分析基盤の総合支援ツールとして、ETLやデータ転送のほか、データマート生成、データガバナンスなどの領域もカバーしています。

企業ニーズとテクノロジーの発展によって、データ連携ソリューションにおけるバッチ処理(ETL)とイベント処理(EAI)の境界は曖昧になりつつあるため、データ連携ツールの導入を検討する際には、ETL・EAIという名称にはこだわらず、以下のポイントを整理しながらツールの要件定義を行うことを推奨します。

  • データ連携の対象業務は何か
  • 連携対象のシステムやアプリケーションは何か
  • 一度の連携で処理するデータ量はどのくらいか
  • イベント処理(リアルタイム性が求められる連携)は必要か、バッチ処理でも対応できるか

データ連携ツールが解消できる課題・導入メリット

データ連携ツールの主な目的は、業務アプリケーションの連携やシステム間でのデータのやり取りを自動化することです。導入後に期待できる効果としては、以下の3つが挙げられます。

  1. データ連携フロー開発工数の大幅削減
  2. データの品質と一貫性の担保
  3. 開発・メンテナンスの標準化

1. データ連携フロー開発工数の大幅削減

データ連携ツールの多くは、よく利用する関数や変数があらかじめ準備されています。それらをマウス操作で選択するだけでデータ処理プロセスを設定できたり、処理テンプレートを組み合わせて複雑な加工処理を簡単に定義できたりと、高度なスキルや専門知識がなくてもデータ連携システムを開発可能です。

基幹システム内の生データを取り扱うため、一定レベルのデータ処理の知識やSQLを扱うスキルが求められることもありますが、ハンドコーディングで開発するよりも大幅に工数や人件費を削減できます。中には、データフローの構築に「プログラミングやSQLの専門知識は一切不要」とするノーコードツールもあります。

2. データの品質と一貫性の担保

データ連携ツールは、各基幹システム内の多様なフォーマットのデータを、所定の形式に加工・変換しますが、その際、データの重複、誤りや表記の揺れなどは自動で修正されます。手作業でのデータのマッピングや変換には人為的なエラーが伴いますが、ツールを活用することでこれらのエラーを最小限に抑えることが可能です。

一定のスピードとデータの一貫性、品質を保ちながら、堅牢なビジネスデータの基盤が構築されていき、意思決定に必要な正確な情報の提供ができるようになるなど、組織全体への生産性の向上も期待できます。

3. 開発・メンテナンスの標準化

システム間のデータ連携プログラムをスクラッチ開発する場合、運用開始後も、データフローの条件変更のたびにプログラミングが必要です。

しかし、データ連携ツールを活用することで、データフローの設計から変更まで、最初からノンプログラミングで行うことができ、その後の運用で「プログラムを開発した人でなければ扱えない」といったことはなくなります。
専門の技術者でない現場の担当者が自らデータ連携を組み立てられると同時に、専門の技術者は開発・メンテナンスの工数を削減でき、業務の標準化により多くの工数を割くこともできるでしょう。

データ連携ツールの選び方・比較ポイント

以下、データ連携ツールの導入検討を行ううえで押さえておきたいポイントです。

  1. データ接続先(アダプター/コネクタ)
  2. データの処理性能
  3. 操作性・メンテナンス性

1. データ接続先(アダプター/コネクタ)

データ連携ツールには、基幹システムやクラウドサービスとのデータ連携先(アダプター/コネクタ)があらかじめ準備されています。たとえば、「Asteria」では、kintoneやOffice365などのグループウェアのほか、Salesforce、Googleアナリティクス、Tableau、Twitter、Slackなど、さまざまな領域のアダプターを揃えており、続々と新規アダプターも開発中です。

データ形式や文字コードは、利用される国によって要件が大きく異なることがあり、海外製ツールは、日本ではメジャーなクラウドサービスが連携対象に入ってないこともあるので注意しましょう。

データベースやクラウドサービスとの連携をアダプターで対応できれば、より簡易で柔軟にデータ連携システムの構築を進められます。将来的なデータ接続先の拡張も見据えて、各製品のアダプターのラインナップを確認しておきましょう。

2. データの処理性能

データ処理性能が、自社で取り扱うデータ量や処理フローに適していなければ、管理画面のインターフェースが重く業務に支障をきたしたり、データ処理が止まってしまうことがあります。

大量データの処理が得意なETLツールであっても、取り扱えるデータ規模には性能差があり、価格帯もまちまちです。Waha! Transformerでは、機能単位で最大1000億件のベンチマークテストを実施しており、導入事例でも高評価のポイントとして「100万件以上のデータもストレスなく利用できる」大量データの高速処理能力が挙げられています。

3. 操作性・メンテナンス性

ノンプログラミングでデータ連携フローを構築できるものが多いですが、中でもデータを活用する現場の担当者が取り扱いやすいものが好ましいです。

変更が発生しやすいデータ連携処理において、都度エンジニアを間に挟まずに自力で処理を完了させることができれば、メンテナンス工数が削減され、データ連携処理のブラックボックス化を防ぐことができます。

データ連携ツールおすすめ9選の比較

以下、ノーコーディングでデータ連携フローを構築できるツールをご紹介します。

日本特有の商流や組織体制に合わせて設計されていること、初期設定や操作レクチャーなどの導入サポートを手厚く受けられることなどから、国内製ツールをピックアップしています。

1. ASTERIA Warp|15年連続市場シェアNo.1のデータ連携ツール

出典:Asteria Warp

ASTERIA Warpは、社内に散在するあらゆるデータや各種システム、クラウドサービス上のデータをノーコード開発で連携するツールです。9,500社以上の導入実績を誇り、国内企業データ連携ソフト市場で15年連続市場シェアNo.1※を達成しています。

※テクノ・システム・リサーチ「2021年ソフトウェアマーケティング総覧 EAI/ESB 市場編」より(参考

高性能なETL機能を持つEAIであり、RPAやExcel連携のほか、Microsoft Azure、AWSなど100種類以上のサービスと連携でき、ニーズに合わせて機能を追加可能です。またWeb APIが、複数のサーバーで構築されるシステム環境での監視・管理をサポートし、安定性のあるシステムを構築できます。

ASTERIA Warpを実際に利用した人の口コミ・評価

2. HULFT8|安全で確実なファイル連携ミドルウェア

出典:HULFT

HULFT8は、企業のITシステムに蓄積された売上データや顧客情報などのあらゆるデータ送受信を行うファイル連携ミドルウェアです。

UNIX、Linux、Windowsをはじめ、z/OSやMSP、VOSなどの各メインフレーム、i5/OSに代表されるミッドレンジコンピュータとのファイル連携を自動化し、企業内や企業間の各種業務アプリケーションとのシームレスなデータ連携を実現します。

HULFT8を実際に利用した人の口コミ・評価

ナオシ

3. krewData|kintoneアプリのさまざまな集計処理を自動実行

出典:krewData

krewDataは、kintoneを企業の情報共有基盤として活用するためのkintoneプラグインです。外部SaaSや基幹システム、Excel業務で発生するデータを連携し、在庫管理や予実管理、請求管理、工数集計など複数のkintoneアプリにまたがるデータを自動で集計・加工できるため、kintoneを利用した業務の幅が広がります。

設定した日時になったら集計処理が開始されるスケジュール実行、もしくはアプリ上での操作やアクション(レコード追加・更新時など)に応答するリアルタイム実行を選択でき、業務シーンにあわせたさまざまなタイミングで集計処理を自動実行できます。(※スケジュール実行とリアルタイム実行は異なるプランです。)

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4. DataSpider|プログラム開発と遜色ないデータ連携処理を簡単操作で

出典:DataSpider Servista

DataSpiderは、多種多様なシステム間のデータやアプリケーションを繋ぐデータ連携ツールです。複雑な処理でも専門的な知識やコーディングを必要とせず、Javaでの開発と遜色のない本格的な連携処理を実現します。

データの入出力から変換、加工まで、処理フローの作成は13個のアイコンを並べて繋ぐだけ。さらに、主要なデータベースやアプリケーション、大手クラウドサービスなど50種類以上の連携先に対応した接続アダプターが用意されています。

DataSpiderを実際に利用した人の口コミ・評価

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5. Qanat2.0|豊富なアイコン群が直感的なデータ連携をサポート

出典:Qanat2.0

Qanat2.0は、企業内外に存在するシステムのデータを抽出・加工・変換し、他のシステムへ柔軟につなぐデータ連携ツールです。関数を知らなくとも直感的に操作できる豊富なアイコン群を用い、データの入力側と出力側をアイコンと線で結ぶだけで簡単にデータ変換を設計できます。

基本機能のDB連携とXML、CSVの連携アダプターのほか、Salesforceやkintone、@Tovasといった主要な社外クラウドの連携アダプター、電子メールやPDFなどの社内システムの連携アダプターが用意されており、柔軟な連携が可能です。

Qanat2.0を実際に利用した人の口コミ・評価

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6. Waha! Transformer|高度な処理性能でデータ連携に関するあらゆる業務課題を解決

出典:Waha! Transformer

Waha! Transformerは、1999年リリース以来20年以上・2,300ライセンスの運用実績を誇る純国産ETLツールです。ERP・基幹系システムの再構築から、各種業務アプリケーション間のデータ連携基盤、部門ごとに仕様の異なるExcel更新作業の効率化、RPAやAI-OCR連携など、業種・業態を問わずデータ連携に関するさまざまな業務課題を解決します。

大量データを高速実行する高度な処理性能を有しながら、わずか1日で使い方をマスターできるシンプルで直感的な操作性も高く評価されており、複雑で高度な処理を誰でも簡単に設定可能です。純国産ならではの手厚いサポートも強みとし、製品選定から導入後のフォロー、利用範囲の拡張まで一貫してサポートします。

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7. RACCOON|データ連携フローや定義を自動マッピングで簡単作成

出典:DAL

RACCOONは、企業内外に存在するシステムのデータを抽出・加工・変換し、他のシステムへ柔軟につなぐデータ連携ツールです。関数を知らなくとも直感的に操作できる豊富なアイコン群を用い、データの入力側と出力側をアイコンと線で結ぶだけで簡単にデータ変換を設計できます。

基本機能のDB連携とXML、CSVの連携アダプターのほか、Salesforceやkintone、@Tovasといった主要な社外クラウドの連携アダプター、電子メールやPDFなどの社内システムの連携アダプターが用意されており、柔軟な連携が可能です。

RACCOONを実際に利用した人の口コミ・評価

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8. trocco|データ分析基盤の総合支援ツール

出典:trocco

troccoは、データ連携機能を含むデータ分析基盤構築のための総合支援ツールです。各種クラウドアプリやWeb広告をはじめ、データベースやファイルストレージ、DWHなど約100種の連携先に対応するコネクタが用意されています。

また、よくあるベーシックなETL処理はノーコードで簡単に設定し、複雑な処理が必要な場合はプログラミング言語による独自実装を行うことも可能です。ニーズやリテラシーに応じて、データ整備・平準化を負担なく行うことができます。

troccoを実際に利用した人の口コミ・評価

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9. Reckoner|圧倒的な使いやすさを追求したノーコード型ETL

出典:Reckoner

Reckonerは、直感的なインターフェースのノーコード型ETLツールです。データの読み込みは、広告・SFA/MA・CRMなどさまざまなデータソース一覧からサービスを選択し、必要情報を入力するだけ。利用開始後すぐにデータ分析を実施できます。

また、画面上にリアルデータで変換や結合のプレビューを表示でき、常に、結果を確かめながらの操作が可能です。ワークフローの作成という直感的な操作でデータを変換/分析できます。

ReckonerReckonerを実際に利用した人の口コミ・評価

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データ連携ツールの導入事例

データ連携ツールが実現するソリューションをもう少し具体的にイメージしやすいよう、実際の導入事例をいくつか見てみましょう。業種や部門、経営課題などによってデータ連携ツールの導入目的や活用シーンが異なります。

1. 海外会計ソフトとkintoneとの連携システムをエンジニア工数ゼロで開発

株式会社星野リゾートでは、リゾート運営の海外展開にあたり、グローバルなホテル会計基準(ユニフォームシステム)に対応するために米国の会計ソフトQuickBooksを導入。現地ホテルシステムおよびQuickBooksのマッピング情報をkintoneに保持し、Tableauで経営レポートの生成を行うこととしました。

そこで、それぞれのツール連携システムを「ASTERIA Warp Core」で開発。kintoneやTableauなどの各種アダプター、およびデータ処理や連携フローのテンプレートを活用することで、社内エンジニア工数を一切かけずに担当者が独力で連携システムを完成させています。

事例の詳細はASTERIA Warpの事例ページ「海外会計ソフトQuickBooksとkintone/Tableauをシームレスに連携」をご覧ください。

2. 独自開発ETLのリプレースで、店舗別売上データの連携時間を約40%削減

EC事業「au PAY マーケット」を運営するauコマース&ライフ株式会社では、独自開発のETLツールを利用して、前日の店舗別売上データをSalesforceに連携していましたが、同ツールには、「データ連携エラーが発生しやすく、リカバリーに毎度2~3時間が必要」「少しの変更でも開発の見積りと作業工数を要する」といった運用課題がありました。

同社は、頻繁な業務の滞りの解消を図るべく、既存システムの完全リプレースを決行。投資対効果のほか、以下の要件を満たすETLツール「Reckoner」を導入します。

  • クラウド型のデータ連携ツールであること
  • 開発知識がなくても連携フローを作成できること
  • 日次スケジュールで自動データ連携ができること

毎日4時間かかっていたデータ連携処理が2時間半で済むようになり、連携時間を大幅に圧縮することに成功。Reckonerへの移行後にエラーは発生していません。

また、委託開発への見積もり~発注~開発作業で数週間かかっていた処理変更も、自社の非エンジニア担当者で即座に作業が可能となり、保守費や開発費用、エラー発生時の人件費がゼロになったことで、年間100万円ものコスト削減効果もありました。

3. Excel業務自動化で月間120時間を要していた集計作業が15時間に

東海EC株式会社では、会計や勤怠管理をはじめとする社内の基幹業務をIT化することにより、大幅な業務効率化を達成した一方、帳票作成やデータ分析に利用する各基幹システムからの基礎データ集計業務はExcelによる手作業で行っていました。

同社は、月間約120時間ものデータ集計作業の工数削減を図るべく、ETLツール「Waha! Transformer」を導入。純国産ツールならではの献身的なサポートと直観的に操作できるインターフェースにより、短期間でのデータ集計基盤の構築に成功しました。

また、大幅な変更が生じることなく業務を遂行できるよう、データの集計・加工にはそのままExcelを利用できる(スプレッドシートアダプター for Excelオプション)ことも、製品選定の決め手の一つです。結果、集計作業は月間15時間まで削減。データの最終確認のみを目視で行い、業務の自動化・高速化を実現しています。

まとめ

本記事では、データ連携ツールについて、その特徴や具体的な使われ方をはじめ、ETLとEAIとの違いや使い分けなどを解説しながら、おすすめの9サービスをご紹介しました。

基幹システムやファイルストレージに日々蓄積されていくデータは、企業競争に打ち勝つための武器であり企業の財産です。しかしながら、ほとんどの企業はその膨大なデータを活用しきれておらず、隔離されたデータベースや業務システム内に使われないままの有益データが多く眠っていることも珍しくありません。

データ連携ツールは、企業内のそういった潜在的なデータも含めて、散在したデータを整理整頓してくれます。もちろん整理すること自体が目的ではなく、その先でどのようにデータを活用するかが重要であることを頭に置いておきましょう。

データ連携ツールに関するよくある質問と回答

おすすめのデータ連携ツールを教えてください。

  • ASTERIA Warp
  • Reckoner
  • Waha! Transformer
  • trocco
  • DataSpider

国内製ツールの利点は、日本特有の商流や組織体制に合わせて設計されていること、初期設定や操作レクチャーなどの導入サポートを手厚く受けられることなどです。

データ形式や文字コードは、利用される国によって要件が大きく異なり、海外製のETLツールは、日本ではメジャーなクラウドサービスが連携対象に入ってないこともあるので注意しましょう。各サービスの詳細は、「データ連携ツールおすすめ9選の比較」をご参照ください。

ETLとEAIの違いは何ですか?

ETLツールは、膨大なデータの一括処理(バッチ処理)を得意とし、EAIは、対象アプリケーションの中からその時に必要なデータだけを抜き出して連携するイベント指向(リアルタイム指向)のデータ処理を行います。

具体的には、以下のような業務にはETLツールが適しています。

  • 定時的なデータ処理:日次の収益レポート、請求書の月末締め処理、連結決算データの統合など
  • 定常的なデータ処理:各基幹システムからデータウェアハウスへのデータ統合、数分ごとに更新が必要なシステム間のデータ連携など

一方で、EAIに適したデータ処理は下記の通り。

  • 受注業務における在庫の即時引当
  • Excelでのマクロ処理の置き換え
  • システム間のマスター連携

昨今ではETLツールのバッチ処理とEAIのイベント処理を融合したデータ連携ツールも出てきています。詳しくは、「データ連携ツール「ETL」と「EAI」の違いは?」をご一読ください。

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