ファイル転送サービスは、インターネット通信を利用して、デバイス間でファイルを転送できるサービスです。大容量ファイルや機密データの安全な送受信を強みとしており、以下のようなビジネスシーンで活用されています。
- 映像、音楽などのコンテンツ、図面やCADデータ、高画質な画像ファイルなどの大容量ファイルを日常的に取り扱う。
- 新商品情報、開発設計図面、未公表の研究結果など、企業の機密情報を含むデータの安全なやり取りが求められる。
- 銀行口座やマイナンバーなど個人情報を含むデータを取り扱う。
以下、ファイル転送サービスについて、それぞれの特徴やセキュリティ機能、料金プランを紹介します。選定に際して、ファイル転送サービスの仕組みや選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご一読ください。
業務中にファイルの共有・転送を行う場面は多々あります。その目的や取り扱うデータファイルによって転送方法はさまざまですが、メール添付が困難な大容量ファイルや機密性の高いデータのやり取りで利用されるのが「ファイル転送サービス」です。
複数デバイスからのアクセスや共同編集といった自由度の高いファイル共有が可能なオンラインストレージや、チーム内の素早い情報共有に適したビジネスチャットとは異なり、ファイル転送サービスは、データを確実で安全に送受信することを最重要視し、ファイル暗号化やアクセス制御、操作制限などの厳格なセキュリティ機能が実装されていることが強みです。
本記事では、ファイル転送サービスについて、その仕組みやセキュリティ性能をわかりやすく解説しています。また、製品の選び方や比較のポイントも紹介していますのでぜひご参照ください。
ファイル転送サービスとは
ファイル転送サービスとは、インターネット通信を利用して、デバイス間でファイルを転送できるサービスです。
メール添付ができない数GBを超えるような大容量のファイルや、オンラインストレージでの共有が困難な機密性の高いデータを、安全に転送する手段として利用されています。
ファイル転送サービスは、クラウド上のストレージに送信者がファイルをアップロードし、受信者がそこからファイルをダウンロードすることで、間接的にファイルを送受信するという仕組みです。
このストレージは、データの貯蔵を目的としておらず、ファイルの送受信が完了するまでの一時的なデータ保管場所として設計されており、アップロードされたファイルは一定期間後に抹消されるため、データが漏洩するリスクは極めて低くなります。
ファイル転送サービスの選び方・比較ポイント
法人向けのファイル転送サービスは、強固なセキュリティ機能が実装されていることが強みですが、以下3点はサービスによって大きな差が出ると考えられます。
- 転送可能なファイルの容量
- セキュリティレベルと利便性のバランス
- 料金形態
全従業員が日常的に大容量ファイルや機密データをやり取りしているのか、一部の従業員だけがスポットで利用するのか、自社で想定されるファイル転送サービスの利用場面を整理した上で、上記のポイントを順に押さえて自社に合ったサービスを選定しましょう。
1. 転送可能なファイルの容量
まずは、自社が社内外でやり取りするファイルの容量や転送頻度を調査し、以下の3点を確認します。
- 転送する1ファイルあたりの最大容量
- ストレージに保管できる最大容量
- 転送可能なファイル数
ファイルの送受信が完了するまでの一定期間はストレージ上にファイルが保管されるため、大人数での同時利用が見込まれる場合は、取り扱うファイルの容量だけでなく、企業全体で必要となる容量まで算出しておきましょう。
2. セキュリティレベルと利便性のバランス
どのファイル転送サービスにも、ビジネスシーンでの利用を前提とした法人向けサービスであれば、アクセス権限の設定、ファイル暗号化といった基本的なセキュリティ対策は施されています。
ただし「上司への承認ワークフロー」や「ファイルの転送先制限」など、サービスによって有無が別れるオプション機能が必要かどうかは、自社のセキュリティポリシーや取り扱うファイルの機密性のレベルから判断することになります。
セキュリティや内部統制を強化する機能が多ければ多いほど情報漏洩のリスクは下がりますが、その分ファイル転送を完了するまでの処理工数が増えたり、利便性が下がることもあるので注意が必要です。
料金形態
ファイル転送サービスの料金形態は、「利用した分のみ請求される従量課金制」と「定額プラン制」に分けられます。
利用ユーザー数と容量の掛け合わせで設定されることが多く、制作会社のような従業員のほとんどが大容量データを頻繁に利用する企業は、従量課金制よりも定額制のプランの方が安価に運用できます。
その一方で、従量課金制の場合、「登録ユーザー数(従業員数)が多いものの、ファイル転送サービスを利用する頻度はあまり高くない」という企業でも低コストで運用が可能です。
ファイル転送サービスを頻繁に利用する従業員にだけユーザーIDを発行すれば、定額制でも低予算で済みますが、シャドーITのリスクを踏まえると、絶対に利用しないという従業員を除いては全員IDを配布するのが適切です。
ファイル転送サービスを無料で利用する際のリスク
無料版のファイル転送サービスは、転送可能なファイルのサイズや数、ファイル保管期限など機能の一部に制限があるものの、性能面では問題なく活用できます。ただし、無料版の利用時には下記3点の注意が必要です。
- サービスやサポートの品質に期待できない
- 企業としての信頼性の低下
- 内部統制の脆弱化
上記の理由から、セキュリティ面や内部統制面などから鑑みて、企業でファイル転送サービスを導入する場合は、有料版を検討することを推奨します。
1. サービスやサポートの品質に期待できない
2019年、サーバーの脆弱性が原因で、第三者の不正アクセスにより数百万件の個人情報が流出するというトラブルが発生し、無料版の提供を終了させたサービスがありました。
ファイルを転送する際に必要な動作は、無料でも有料でもほとんど変わらないため気付きにくいですが、有料版に講じられている目に見えない数多くのセキュリティ施策が、無料版には施されていません。
もし情報漏洩が発覚した場合、無料版では自社で操作ログを管理する機能もないため、どのタイミングで何がどのくらい流出したのかも追跡不可です。
セキュリティ対策の確認を怠って無料サービスを利用し、万一の事態が発生してしまっては、情報漏洩が企業として痛手になるだけでなく、内部での説明責任も果たせません。
2. 企業としての信頼性の低下
多くの場合、無料版のサービスは、頻繁に表示されるバナー広告などによって「無料」でることが成立しています。
取引先や顧客にファイル転送を行う際、たとえ機密性の高いファイルの取り扱いでなくても、ダウンロードリンクにいくつもの広告が表示される無料サービスを利用していると、自社に対してセキュリティ意識が低い印象を持たれる可能性があります。
3. 内部統制の脆弱化
個人向けの無料サービスは、フリーアドレスで誰でも簡単に利用することができるため、管理者による統制が効かず、個々の社員が自身の利便性のために、企業が把握していないところで勝手にITサービスを利用する ”シャドーIT” に発展しやすく、これが情報漏洩の元にもなります。
そもそも、社員がわざわざリスクの大きいシャドーITに手を出す背景には、自社のIT環境では業務を進めにくいという社内インフラの欠陥があるため、使いやすさ、セキュリティに優れた法人向けサービスを導入し、社員にとって快適な業務環境を整備してあげることが重要です。
ファイル転送サービスの機能
ファイル転送サービスの最も重要な役割は、「ファイルを安全にかつ確実に送受信する」ことであり、その機能のほとんどは強固なセキュリティ対策に関するものです。以下、ファイル転送サービスの代表的な機能をまとめています。
ファイルデータの流出を抑止する機能
- ダウンロード期間制限:一定期間のみダウンロードできる。
- ダウンロード回数制限:一定回数しかダウンロードできない。
- ダウンロード制限:一定期間の閲覧のみで、ダウンロードはできない。
- データの自動削除:一定期間を過ぎるとデータが自動で削除される。削除日時設定も可能
- データの強制削除:アップロードしたファイルデータを遠隔で削除できる。
- ファイル暗号化:アップロード前にファイルを暗号化し、ダウンロード後にファイルを復号する。データ流出時に第三者に閲覧されるリスクを防ぐ。
- ファイル転送先制限:管理者が許可した転送先のみ転送できるホワイトリスト方式、禁止した転送先以外に転送可能なブラックリスト方式がある。
- ワンタイムパスワード:有効期限付き、または1度のアクセスすると2回目は使えない「使い捨てパスワード」を設定できる。
- アカウントロック:一定回数ログインに失敗するとロックがかかりログインできない。
ユーザー管理に関する機能
- ユーザー登録:ファイル転送サービスを利用するメンバーを追加・削除できる。アクセスや操作の権限をユーザーごとに設定できる。
- 外部ゲスト利用・招待:ファイル転送サービスを利用する外部ゲストを登録、または一時的に閲覧を許可する。
- ログ管理:誰が、いつ、どのファイルに、どんな操作を行ったかという操作履歴を把握できる。
- IPアドレス制限:ユーザーをIPアドレスで管理する。指定外のIPアドレスからのログインをブロックできる。
- 同時ログイン制限:1つのログイン情報を複数のデバイスで使用することを制限する
- パスワードポリシー:ログインパスワードの最低文字数、使用文字、有効期限(定期的な変更をユーザーに強制)などを設定できる。
- 承認ワークフロー:ユーザーがファイルを送信する際、上長による送信内容のチェックと承認が必要になる。誤送信の防止やファイル受け取り先からの信頼に繋がる。
その他の便利な機能
- ウイルス対策:ファイルのアップロード時にウイルスチェックを実施し、ウイルス感染ファイルは削除される。
- メール連携:自社メールサーバーから取引先にファイルリンクをメールで送信することができる。
- コメント機能:ファイルやドキュメント内の任意の箇所にコメントを書き込むことができる。
まとめ
ファイル転送サービスの役割は、大容量ファイルのやりとりを安全に実行することですが、
拠点・部門間でのデータ送受信や情報共有が円滑に進めば、プロジェクトの進行速度や意思決定のスピードも高まります。
また、「使いやすさ」や「セキュリティ対策」に優れた法人向けサービスを導入することは、社員にとって快適な業務環境を整備することにも繋がります。
ご紹介したサービス選定のポイントを押さえ、自社の環境や要件に適したファイル転送サービスをご検討ください。