CCCMとは?顧客起点のOne to Oneコミュニケーションを実現

CCCMとは

CCCM(クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント)というマーケティング概念をご存知でしょうか。顧客のアクションを起点に個別のアプローチをかけるOne to Oneマーケティングを、従来よりもさらに高い精度で実現する手法として大きな注目を集めています。

本記事では、CCCMの考え方や機能的特徴を簡単な事例とともに解説し、混同されやすいMAとの関係性や違いについても詳しく解説します。

なお、MA(マーケティングオートメーション)については、以下の記事で詳細に解説しています。

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MAツールとは?機能や導入メリット、運用に必要な知識まとめ
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CCCMとは?

CCCM(クロス・チャネル・キャンペーン・マネジメント)とは、One to Oneコミュニケーションを目的に、顧客とのあらゆる接点を連携して活用するマーケティング手法、またはそれを実践するソフトウェアです。詳細は後述しますが、「CCCM=BtoC向けMAツール」と定義されることもあります。

用語解説
  • チャネル:顧客との接点(Webサイト、広告、SNS、展示会、実店舗など)
  • クロスチャネル:複数のチャネルを横断的に扱うこと。各チャネルの顧客データを統合する。
  • キャンペーン:集客や販売促進を目的とするマーケティング施策のこと
  • キャンペーンマネジメント:キャンペーンを管理すること。

Webサイト上の行動履歴、位置情報、職業・年齢などの属性、SNSアカウントなどの、顧客データを取得し、一人ひとりの顧客の行動や状況に対応して最適なアプローチを行います。

身近にあるCCCMの具体例

CCCMにおける最適なアプローチとは、顧客がリアルタイムで必要としている情報・購買欲や興味を掻き立てられるメッセージを、適切なチャネル(アプリのプッシュ通知、メール、LINEなど)を使って、適切なタイミングで自動配信することです。

身近な例をいくつか見てみましょう。

  • 浄水フィルターを購入した2ヶ月後に、「交換用のカートリッジはお持ちですか?今なら3つ以上のまとめ買いで10%の割引を行なっております。」という内容のメールが届いた。
  • ECサイトでバッグを購入した際、注文・決済の確認メールとともに、そのバッグに合うコーディネートと関連アイテムの情報が届いた。
  • 宅配ピザのスマホアプリに、以前利用した曜日と時間帯に特別クーポンのプッシュ通知が来た。
  • 防水イヤホンをあるECサイトの欲しいものリストに登録していた。ある雨の日「突然の雨から大切なアイテムを守りましょう」と防水・撥水加工グッズ特集のURLがLINEで届いた。

上記のような、個別アプローチは「キャンペーンシナリオ」と呼ばれ、アクセスログや購入履歴、好みの傾向など、個々の顧客に関する情報を多角的に取得してシナリオ設計を行い、各シナリオをCCCMツールにプログラムとして落とし込むことで、一つひとつのキャンペーン(マーケティング施策)を自動化することができます。

CCCMが注目されている背景

CCCMは、個別のアプローチをより高い精度で実現するために開発されました。ではなぜ、キャンペーンシナリオを細かく設定する必要が出てきたのか?CCCMが注目され、求められるようになった背景をご説明します。

(1) オンライン上の顧客の行動・価値観の多様化

スマホやSNSが普及したことにより、人は膨大な量の情報をさまざまなデバイスやチャネルから入手できるようになっています。買い物や読書、教育、商談などあらゆることがオンライン上で実行できるようになり、行動・価値観の多様化とともに、顧客の購買行動も大きく変わってきました。

その顧客の変化に合わせて、企業側も、顧客が求める情報やコンテンツを、ホームページやWeb広告、SNSなどさまざまなチャネルを駆使して、顧客が求めるタイミングで提供するようになり、さらに顧客の周りには情報が溢れ、意思決定や選択肢が広がっていったのです。

この属性の顧客グループにはこういう手数を踏んでアプローチする、というワンパターンのシナリオでは取りこぼしが多く、次第に何十種類・数百種類という顧客の行動傾向に対応する必要が出てきました。

(2) 顧客データの取得・統合技術の向上

One to Oneマーケティングの必要性の高まりとともに、あらゆる接点での顧客の活動情報を取得・統合するテクノロジーが次々と生み出され、デジタルマーケティングの施策も拡大を続けてきました。

当然、取得できる顧客データや関連情報が多くなればなるほど、準備するべきキャンペーンシナリオ数が増え、シナリオ同士の関連性(紐づけ)やクロスチャネルの相互活用も複雑化していきます。

そこで、膨大なデータの取得と一元管理、キャンペーンシナリオの作成、施策の実行と検証といった一連のマーケティング活動を自動化・効率化できるソフトウェアが必要とされるようになったというわけです。

CCCMとMAの違い

CCCMは、BtoC向けMAツールとも呼ばれる通り、広義でのMAの範疇にあると言えます。ともに「顧客が必要としている情報を最適な手段(チャネル)でタイムリーに届ける」ことがミッションとして存在し、顧客に対してOne to Oneのアプローチを行うべきであるのは同じです。

ただし、BtoCとBtoBでは、対象とする顧客数(データ数)や目的、施策において見るべき指標が異なります。そのため、ツールの設計・開発においても、BtoCとBtoBのどちらを想定するかによって、搭載すべき機能や取り扱うデータに違いが出てくるのです。

CCCMMA
目的クロスチャネルを活用したOne to Oneのコミュニケーション体験見込み顧客の育成と管理
想定ユーザーBtoCBtoB、または検討購買商材を扱うBtoC
リード数多いBtoC比で圧倒的に少ない
購買プロセス短い長い
クロスチャネルアプローチチャネル数が多いアプローチチャネル数が少ないこともある

CCCMとMAでツール特性として大きく差が出るのは、「保有リード数(取り扱いデータ量)」と「アプローチチャネル数」です。CCCMは、取り扱えるリード数がBtoB向けであるMAよりも大幅に多くなければなりません。

またECサイトへの流入と実店舗への来店促進を同時に行うといったように、CCCMでは、オンラインとオフラインを横断した指標計測とデータ統合ができるクロスチャネル対応の機能がより重要になります。

顧客との接点は、LINEやスマホアプリのプッシュ通知のほか、今後は、スマホと連動したウェアラブルデバイスやIoT家電、自動車などにまでチャネルが拡大していく可能性もあるでしょう。

一方、BtoBビジネスでもそういった多様なチャネルを使わないわけではありませんが、現状は、メルマガやセミナー案内、資料ダウンロードなどが主な接点となっています。MAでは、メール配信のシナリオ作成やスコアリングなど、リードナーチャリング機能の充実度が求められることが多いです。

CCCM(クロスチャネル対応のMAツール)のご紹介

CCCMは、クロスチャネルを活用して、個々の顧客に最適なアプローチをかけるマーケティング手法であり、MAの一種です。またOne to Oneコミュニケーションを体現しながら、BtoCとBtoBの両方に対応できるツールもあります。

製品カテゴリーとして明確に線引きできないケースも多いため、自社のビジネスモデルに必要な機能が搭載されているかどうかで判断しなければなりません。

以下、「CCCM=クロスチャネルに対応したMAツール」として、いくつかのサービスをご紹介します。

  1. b→dash
  2. Salesforce Marketing Cloud
  3. SATORI
  4. MOTENASU
  5. GENIEE MA(旧MAJIN)

1. b→dash|クロスチャネルの複雑なシナリオもノーコードで構築

出典:b→dash公式HP

b→dashは、CMS(サイト構築/管理)、CDP、MA、データ分析(顧客分析/売上分析/アクセス解析)などのプロダクトを組み合わせて、一気通貫で営業・マーケティング活動を繋げられるデータマーケティングクラウドシステムです。

EC(専業/単品通販/店舗オムニ)、金融(銀行/証券・FX/保険/カード)、人材(紹介/広告/派遣)、ホテル、不動産、スクール、レジャー、買取など、さまざまな業種に特化した施策とKPI改善策が初期構築されており、テンプレート活用によってデータ準備~施策実施まですぐにシナリオを組むことができます。

必要な機能を選んで使うことができ、メール・LINE・SMSなど複数チャネルを組み合わせたシナリオを設定できるほか、プッシュ通知やアプリ内ポップアップなど、スマホアプリに対する最適な顧客アプローチも可能です。

2. Salesforce Marketing Cloud|顧客一人ひとりを具象化し自動で最適な判断を

出典:Salesforce

Salesforce Marketing Cloudは、CRMやSFAにおいて世界トップシェアを誇るセールスフォースが提供するデジタルマーケティングプラットフォームです。BtoC/BtoBを問わず、同社の関連ツールとの連携によって、複数のソースやデバイスに点在する顧客データを統合し、一人ひとりの顧客像を具象化します。

SNSでの行動履歴や顧客属性などの情報を瞬時にフィルタリングし、顧客一人ひとりにパーソナライズされたコンテンツを配信することも可能です。

3. SATORI|安心の純国産ツールでアンノウンマーケティングの実践

出典:SATORI

SATORIは、匿名リードへのアプローチを強みとする国産ツールです。名刺交換や問い合わせで取得した実名リードだけでなく、Webサイトや広告でのタッチポイントがあったものの個人情報を残さなかった匿名リードも含めて、アクセスや接触履歴を追跡できるため、アプローチ可能な対象が大幅に広がります。

導入時のオンボーディングをはじめ、サポート体制が充実しているのは純国産サービスならでは。活用方法のレファレンスやFAQもしっかりと構築されています。

4. MOTENASU|デジタルとアナログの施策を顧客のアクションに応じて融合

5. GENIEE MA(旧MAJIN)|多彩できめ細やかなコミュニケーション

CCCMもMAも「顧客起点のOne-to-Oneコミュニケーション」という本質は同じ

CCCMは、BtoC向けMAツールと称されることもありますが、「顧客が必要とする情報や体験を最適な手段でタイムリーに届ける」ことの重要性は、BtoBでもBtoCでも同じです。

現に、BtoCへの汎用性を見越して大規模なデータを取り扱えるようにインフラ強化を行ったり、クロスチャネル対応の拡張機能を準備したりしているMAも出てきており、CCCMとMAの定義や境界線は曖昧なものになりつつあります。

顧客起点のOne-to-Oneコミュニケーションは、BtoC・BtoBのビジネスモデルに寄らず、今後さらに重要性を増していくでしょう。時代はすでに、One-to-Oneマーケティングの思想自体は当たり前のものとなっており、ここからいかに個々のアプローチを展開していくか、どのように効率化していくかという段階にきています。

全30サービスのMAツールの特徴や機能、価格、利用レビューについては、ぜひ以下もご参照ください。ランキング上位ツールを導入成功事例とともに紹介し、選び方や比較検討のポイントも解説しています。

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