ピアボーナスは、従業員同士が、仕事における成果や貢献に対し、称賛の言葉やポイントを贈り合うツールです。
これまで給与や賞与には反映しにくかった小さな成果や貢献を、仲間同士で称賛しあって全体共有することで、既存の評価制度に対する従業員の不満解消、それに伴う従業員エンゲージメントの向上やコミュニケーションの活性化などを図ることができ、組織変革のきっかけをもたらす新しい人事施策として注目を集めています。
以下、ピアボーナスについて、それぞれの特徴や機能、料金プランを紹介します。製品の選定に際して、導入メリットや基本機能、選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご参照ください。
本記事では、ピアボーナスの仕組みを提供するツールやサービスについて、その役割や導入メリット、選び方のポイントを紹介しています。
ピアボーナスとは
ピアボーナスとは、英語の「Peer=仲間、同僚」と「Bonus=特別手当、賞与(特別に貢献した従業員個人に与えられる報酬)」を組み合わせた言葉で、従業員同士が、仕事における成果や貢献に対し、賞与や手当の代わりに称賛の言葉やポイントを贈り合う仕組みや制度です。
ピアボーナスは、Unipos株式会社の登録商標ですが、「従業員同士が称賛を送り合うツールやサービス」をピアボーナスツール、あるいはピアボーナスと呼ぶのが一般化しています。
ピアボーナスが注目される背景
労働人口減少の一途をたどる昨今、企業における人材の確保はますます困難を極める状況です。
多様な働き方に対応できる職場環境を整えたり、評価制度を改善して従業員エンゲージメントを高めたりするなど、多くの企業が、採用を強化しながら従業員の離職を防ぎ、個々のパフォーマンスを引き出すための施策を進めています。
その取り組みの一環として注目されているのがピアボーナスです。これまで定量的に評価しづらかった小さな行動や貢献を称賛して企業全体に共有することを、新しい文化として根付かせ慣習化させることで、既存の評価制度に対する従業員の不満を解消し、従業員のロイヤリティを高めることを狙いとしています。
ピアボーナスの報酬の種類
ピアボーナス制度では、称賛や承認の言葉とともにポイント報酬を受け取ることができるのが一般的です。
ポイント報酬の使い道は、特別賞与として金銭換算されるものから、社内での購買や社員旅行の自己負担金への充当、旅行券やギフト券、アメニティグッズなどへの景品交換、社会貢献団体への寄付まで、企業のピアボーナス制度によってさまざまです。
最初は金銭報酬を受け取るのが一般的でしたが、現在は「受け取ったポイントを何らかの報酬に交換する」という方式を応用し、組織改革や人事戦略への取り込み方によってピアボーナス制度の在り方や報酬形態は多様化しつつあります。
ピアボーナスの導入メリット
ピアボーナス制度の仕組みを取り入れることで、以下のような効果を期待できます。
- 称賛の慣習化による組織風土の変革を図ることができる
- 定量化が難しい成果や目立たない貢献を評価できる
- 部門や役職を越えたコミュニケーションが活性化される
1. 称賛の慣習化による組織風土の変革を図ることができる
ピアボーナス制度の導入・定着によって、従業員同士がお互いの行動や業務に気をかけ、称賛しあう・尊重しあう文化が生まれることは、組織風土に何らかの変革をもたらします。
従業員の仕事に対するモチベーションやパフォーマンスは、職場の人間関係や雰囲気によっても大きく左右されるものです。
非金銭的な報酬や感謝の言葉を受け取る機会を増やし、従業員エンゲージメントや会社への帰属意識が高まることによって、個々の従業員、企業全体ともに生産性の安定した健全な組織を保つことにも繋がるでしょう。
2. 定量化が難しい成果や目立たない貢献を評価できる
仕事の中には、成果を定量的に計れるものもあれば、そうでないものもあります。またプロジェクト内の役割や職種によっては、調整やサポートといった目に見えにくい貢献もあるでしょう。
そこでピアボーナスを活用し、プロジェクトのメンバーや同僚からの称賛や感謝の言葉を評価材料に含めることで、評価の適正化を図ることができます。人事評価の一部を従業員に委ねることは、上司だけが部下を評価するという既存の評価制度に対する不満を解消し、上司や経営層への信頼にも繋がるでしょう。
また、「小さなことでもしっかり評価されている、見てくれている」という意識を持つことにより、自然と他者の業務や行動にも目を向けられるようになります。
3. 部門や役職を越えたコミュニケーションが活性化される
多くのピアボーナスツールでは、自身と他の従業員で称賛を送り合うだけでなく、他の従業員同士のコメントも全社で共有・閲覧ができるようになっています。他部門の取り組みや仕事内容に対する関心が高まることで、今まであまり交流がなかった他部門とのコミュニケーションもピアボーナスを通じて生まれやすくなるでしょう。
ピアボーナスのデメリット・ツール導入の注意点
- 利用者に偏りが出る可能性がある
- ツールの利用料と福利厚生費の二重コストがかかる
- 本業よりもピアボーナスでの報酬に意識が傾く
1. 利用者に偏りが出る可能性がある
ピアボーナスを導入すると、最初は利用者に偏りが出てくることが予想されます。この状況自体は決して悪いことではありませんが、放置しておいても勝手に全社に浸透していくということはないということをまず認識しておきましょう。
称賛し合う従業員が固定されたり、積極的に利用する部門が顕在化したりすると、そうでない部門やチーム内の個人も必然的に浮かび上がってくるため、対立を生んでしまう可能性もあります。
経営陣や人事部門は、各部門のマネージャーやチーム長と連携し、全社に制度を浸透させる努力や仕組み作りを行う必要があるでしょう。導入直後に、経営陣やマネージャーが積極的に従業員に称賛コメントやポイントを送ることで、全社への定着に繋がったという事例もあります。
2. ツールの利用料と福利厚生費の二重コストがかかる
ピアボーナスをどのような形で導入するかにもよりますが、制度の運用のためには多かれ少なかれ報酬の原資が必要です。つまり、ピアボーナス用の福利厚生費を予算として捻出しておく必要があります。
また、ピアボーナス制度を取り入れるにあたり、専用のツールやサービスを導入すると当然ながら導入費やサービス利用料などのコストが発生します。
従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下、企業の業績向上など、目に見える効果がすぐに現れるものではありませんが、その点も踏まえて投資対効果の合う施策かどうかを検討することを忘れないようにしましょう。
3. ピアボーナスでの報酬に固執する従業員が現れる
ピアボーナスの積極的な活用は、上述の通り、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上、コミュニケーションの活性化など、組織体制にさまざまな恩恵をもたらします。
しかしその一方で、少しでも多くの報酬を得ようと、ピアボーナスのポイントを獲得しやすい仕事に意識が傾き、本来の業務から逸脱した行動や取り組みに熱心になる従業員を生むリスクもあります。
ピアボーナスツールの選び方・比較ポイント
ピアボーナスツールを比較・選定する際のポイントは下記3点です。
- 導入や運用のサポート体制
- 機能・使いやすさ
- 業務で使用するチャットツールとの連携
1. 導入や運用のサポート体制
ピアボーナスのような新しい取り組みを制度として導入し、また企業文化として浸透させていくには、従業員が自主的にピアボーナスを利用する環境づくりや、使いこなせるようになるまでのサポートが必要になります。
また、サービスによって強みや設計思想、想定される活用シーンが異なるため、導入前の準備や運用の進め方などをサービスベンダーに相談できると安心です。
2. 機能・使いやすさ
ピアボーナス制度の仕組みは、下記の通り非常にシンプルです。
- 称賛メッセージとポイントを送る
- 称賛メッセージとポイントを受け取る・貯める
- ポイントを使う・交換する
上記の互いを称賛し合うという機能以外には、グループチャットや掲示板・wiki機能のほか、導入後のエンゲージメントの変化を分析するためのアンケート機能といった、さまざまな機能が搭載されています。
もちろん組織強化やコミュニケーションの活性化を意図して設計されたものですが、あまりにも機能が多いと使いづらかったり、本来の目的であるピアボーナス以外の機能ばかり利用されたりといった状況に陥る可能性もありますので、自社の運用に不要な機能は極力付けないことが望ましいです。
3. 業務で使用するチャットツールとの連携
自社のチャットツールと連携することにより、ピアボーナスツールで送信された称賛のコメントや貢献の内容を、全社が閲覧可能なチャットルームのタイムライン上に共有されることとなります。
ピアボーナス制度の形骸化を防ぐ対策としても有効ですので、自社が利用しているチャットツールとの連携が可能かどうかも選定基準の1つとして検討してみてもよいでしょう。



