健康管理システムは、従業員の健康に関わる情報を一元管理し、労働安全衛生法に沿った健康診断・ストレスチェックなどの健康管理業務を効率化するシステムです。
主に、下記のような機能を備えています。
- 健康診断の予約・受診状況の管理
- 健康診断結果のデータ化
- ストレスチェックの実施・集計
- 労基署へ提出する報告書の作成サポート
以下、健康管理システムについて、それぞれの特徴や機能、料金プランを紹介します。システムの選定に際して、導入メリットや選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご一読ください。
本記事では、健康管理システムについて、その役割や導入メリットをわかりやすく解説しています。また、システムの比較検討時に押さえておきたいポイントも紹介していますのでぜひご参照ください。
健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康に関わるデータを一元管理できるシステムです。健康診断の予約や診断結果の管理、ストレスチェック実施から回答集計まで、手作業で行っていた業務をなくし、ペーパーレス化を実現します。
また、従業員一人ひとりの健康状態がリアルタイムで把握できるようになり、産業医と協力して過重労働やメンタル不調を予防するなど、従業員に対して健康リスクに備えた手厚いフォローを提供することが可能です。
健康管理システムが求められる背景
近年、経済産業省が推進する「健康経営」に注目が集まっており、社員が継続して働けるように、従業員の勤怠情報を管理して過重労働を防止したり、適切な人材配置によって人間関係によるストレスを軽減したり、といった対応が企業に求められています。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上に繋がると期待されています。
また、平成26年6月に労働安全衛生法が一部改正されたことにより、従業員数が50を超える企業には、ストレスチェック制度が義務付けられています(厚生労働省|労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)の概要)
しかし、これらの健康管理を全て対応することは、企業にとって大きな負担です。そこで、健康管理業務の効率化を実現する健康管理システムを導入する企業が増えています。
健康管理システムの導入メリット
健康管理システムの導入によって企業が得られるメリットは以下の3点です。
- 健康診断の実施や報告書作成の効率化
- 従業員の健康状態の可視化
- 離職率の低減
1. 健康診断の実施や報告書作成の効率化
健康管理システムは、健康診断のスケジュール調整や受診状況の確認、労基署に提出する報告書の作成など、健康管理に関わる業務をシステム上に集約することができます。
健康診断の予約は、従業員がWeb上で直接もしくは、ベンダーが代行してくれるため、医療機関との直接的なやり取りは不要です。各従業員の受診状況もリアルタイムで確認でき、システム上から未受診者へ催促メールを送ることもできます。
また、各健診機関から集まる健診データは、フォーマットが統一された状態でシステムに取り込まれます。健診結果のデータを集計し、報告書の各項目に自動転記することも可能です。集計ミスや転記ミスの防止にも繋がるでしょう。
2. 従業員の健康状態の可視化
健康管理システムでは、管理者が、健康診断やストレスチェックの結果、日々の健康チェックの回答などから、従業員の健康状態をリアルタイムに可視化できます。
勤怠管理システムと連携すれば、勤怠データと健康状態を照合して関係性を分析可能です。継続的な体調不良やストレスから過重労働の予兆発見に繋がることもあります。また、チーム・部署別で勤怠データの集計結果を見ることで、「何が健康リスクに影響しているのか」の解像度をより高く掴むことができるでしょう。
また、従業員が自身の健康状態をチェックできる機能もあり、接触機会を増やすことで健康に意識の向上に繋がり、自己管理の習慣付けにも期待できます。
3. 離職率の低減
健康管理システムを活用して、継続的に職場環境の改善や働き方の見直しを行い、従業員が働きやすい環境を実現することで、定着率の向上に繋がります。
また、企業が健康管理に積極的である姿勢や離職率の低さは、人材採用時にも安心材料として提要したり、採用広告の訴求ポイントとして活用できるでしょう。
健康管理システムの選び方・比較ポイント
健康管理システムが自動化・効率化に対応している業務範囲は、各サービスともに拡張を続けていますが、企業の全ての健康管理業務をカバーするものは少ないです。
また、カバーする業務範囲が広くなるほどコストも比例して上がっていき、サービスによって注力している業務や細かい機能にバラつきもあるため、効率化させたい業務に優先順位を付けて、コストバランスを見ながら絞り込みをかけていくと良いでしょう。
具体的な比較ポイントは下記の3点です。
- 導入形態・料金形態
- 従業員データの連携方法
- 操作性
1. 導入形態・料金形態
健康管理システムの導入形態には、Web上に準備されたシステムに各自がインターネット経由でアクセスして利用する「クラウド型」と、自社で準備したサーバーに健康管理システムをインストールして、社内ネットワークで利用する「オンプレミス型」の2つのタイプがあります。
クラウド型の健康管理システムは、ログイン情報があれば、時間・場所・デバイスを問わず利用できます。初期費用が比較的安価で、従業員数や搭載機能に応じて月額料金または年間料金がかかる料金形態であることが多いです。また、システムやセキュリティの運用・管理はベンダー持ちとなります。
一方でオンプレミス型は、初期費用が高く、導入に時間を要することもありますが、カスタマイズ性に優れており、自社のセキュリティーポリシーに基づく管理・運用ができます。クローズド環境や社内ネットワークでの利用に適しており、官公庁、市町村、自治体のほか、大規模な企業・組織で採用されることが多いです。
2. 従業員データの連携方法
健康管理システムの導入にあたり、社員の個人情報を製品に取り込む必要があります。登録方法はサービスによって異なるため、各登録方法の特徴を理解した上で、自社に合った手段に対応するシステムを選びましょう。
- 従業員データを一人ずつ手入力
- ベンダーに入力作業の代行依頼
- 外部システムから従業員データをCSVで一括読み込み
- 外部システムに直接連携(API連携)
小規模な組織であれば、個々の従業員データを手入力しても大して工数はかからないかもしれませんが、従業員数が増えると登録や情報更新も追いつかなくなってきます。また、データ入力をベンダーに依頼することも可能ですが、その都度、出費や工数がかさむことに注意しましょう。
従業員数が多い場合は、人事情報を取り扱う外部システムとのデータ連携が有効です。外部システムからCSVデータをダウンロードし、健康管理システムにインポートすることで社員情報の一括登録を行えます。
さらに、システム連携(API連携)であれば、人事異動や入退社があった場合でも、人事情報システム上の社員データが健康管理システムにも即時反映されるため、常に鮮度の高い情報を維持できます。
3. 操作性
従業員全員の健康状態を迅速に把握するには、サービスの使いやすさや分かり易さも重要です。いくら優れた管理機能が備わっていても、ユーザーがシステムを使いこなすのに時間を要したり、ストレスに感じるようであれば、用を成しません。
トライアル期間やデモ体験を利用して、管理画面の見やすさや操作性、動作の軽さなどを一通り検証しておくことを推奨します。
ここで気をつけたいのは、管理者だけの視点で使い勝手の良さを判断しないことです。特に日々の健康チェックに取り組む場合は、従業員の協力が必要になるため、シンプルに提出できるかどうかという視点からも確認しておきましょう。