採用管理システムは、応募状況や候補者情報、選考の進捗、担当者のタスクなど、応募から採用に至るまでの業務プロセスやそれに伴う情報を一元管理するシステムです。
主に、以下のような機能を備えています。
以下、採用管理システムについて、それぞれの特徴や機能、料金プラン、導入レビューを紹介します。製品の選定に際して、基本機能や導入メリット、選び方などの詳細を確認したい方は、選定ガイドをご参照ください。
候補者や選考に関連する膨大な情報を集約し、採用管理における煩雑な事務処理を定型化できる「採用管理システム」の需要が高まっています。
しかしながら、システム化によって採用業務がどのように変化するのかイメージがつかない、投資対効果は見込めるのかといった懸念から、採用管理システムの導入検討になかなか踏み込めないケースも多いようです。
本記事では、採用管理システムの役割や導入メリットをわかりやすく解説しています。また、製品の選び方や比較のポイントも紹介していますのでぜひご参照ください。
採用管理システムとは、応募から採用に至るまでの業務プロセスやそれに伴う情報を一元管理するシステムです。ATS（Applicant Tracking System：応募者追跡システム）とも呼ばれ、具体的には、応募者の個人情報、選考の進捗、採用担当者の評価など、採用活動における情報管理全般をサポートします。
採用や人材に関するデータがひとつのシステム上に集約されることで、履歴書のコピーを手渡ししたり、データファイルやメッセージ内容を個別でやり取りしたりすることなく、各担当者はシステムにログインすれば常に最新の情報を確認することができます。
応募者やエージェントとのやり取りもシステム上で済ませることができ、担当者へのコミュニケーション連携やメッセージ履歴のシェアも容易です。
自社サイトからの直接応募のほか、求人媒体経由や人材紹介サービスなど、応募経路によって散在していた情報を一括管理することで、煩雑な採用業務をスムーズに行うことができ、情報更新の抜けや応募者の対応漏れなどの人為ミスの抑止も図ることができます。
採用活動のシステム化によって、企業は以下のような採用課題を解消することができます。
採用管理システムの大きな役割は、「採用業務の効率化」と「応募者や選考に関する情報の一元管理」です。
履歴書の自動スクリーニング、案内メールの自動配信、採用データの定期レポーティングといった付帯機能を駆使し、人手による煩雑な採用業務を削減することで、ターゲット設計や採用データの分析などの思考が求められる生産的な業務に注力するリソースが生まれます。
採用管理システムには、「クラウド型」と「パッケージ型」の2種類があります。
「クラウド型」は、インターネット上で応募者の情報を管理することができる採用管理システムです。IDとパスワードがあればシステム内の情報を誰でも閲覧でき、社内で情報共有がしやすく、採用担当者が複数人いる場合（採用規模が大きい場合）に適しています。
ただし、その特性上、社外への情報漏えいのリスクもあるため、ユーザー管理や操作ログの管理をしっかり行う必要があります。ソフトウェアを購入する必要がないため、初期費用を安く抑えられるというメリットがありますが、ほとんどが月額制であり、継続費用が掛かります。
「パッケージ型」は、ソフトウェアをPCにインストールして、情報管理を行う採用管理システムです。初期費用としてソフトウェアの購入費が掛かりますが、月額費が必要ありません。
PCにインストールして使うものなので、複数デバイス間や複数人での情報共有が難しいですが、人事担当者が1人で業務を行っている場合や採用規模が小さい場合など、パッケージ型が適しているケースもあります。
採用管理システムの導入によって企業が得られる主なメリットは以下の通りです。
ミスマッチや内定辞退の少ない採用を行うには、個々の応募者に対して適切なコミュニケーションを取り、相互理解を深めることが求められます。
しかしながら、採用活動には、手作業では時間のかかる煩雑な事務処理が多く存在し、採用担当者は下記のようなオペレーションで毎日忙殺されていることがほとんどです。
採用管理システムでは、上記のような誰が行なっても結果や成果物が同じになるノンコア業務の一部を定型化し、半自動的に処理することができます。
各求人媒体からの応募者情報は自動取得されるため、データ転記の手間や情報入力ミスがなくなります。テンプレートを活用した求人票やオファーメッセージの作成も、他の文書作成アプリや別途ファイルを起動させずにシステム上で行うことができ、合わせて履歴書や選考書類も候補者情報に紐づけて管理することが可能です。
採用管理システムには、応募者とのコミュニケーションも管理対象として機能に含まれています。具体的には、SNSやビジネスチャットとの連携、メッセージの自動送信設定、日程調整メールの自動作成などです。
問い合わせや応募に対する返信忘れ、対応の抜け漏れを防止するほか、迅速なレスポンスやスマートなやり取りによって、候補者にとってもストレスの少ない選考プロセスを提供することができます。
採用管理システムでは、複数の求人媒体や転職エージェント、社員からの紹介（リファラル採用）などの経路を問わず、候補者や選考に関する情報は全てシステム上で集約されます。個々の選考状況や評価、および全体傾向をひと目で把握することが可能です。
一人の候補者のピックアップから選考、内定後フォローまで、特定の担当者でなければプロセスを進めることができないという情報の属人化が抑止されることで、内部で認識のズレがあった場合にもすぐに気付くことができます。
こうした情報共有の環境がシステム上に整備されていることが採用担当者の工数削減にも繋がり、見極めや採用データの分析といった採用活動のコア業務に集中するリソースを確保できるのも大きなメリットです。
近年、組織改善や人材開発を目的として、人事領域においてデータに基づく意思決定を行う「ピープルアナリティクス」が注目されています。採用活動に関する全ての情報が集約される採用管理システムでは、利用し続けることで有益なデータが蓄積され、さまざまな角度からの分析が可能です。
たとえば、応募者数、通過率、内定承諾率を応募経路別に算出して、どの求人媒体を重点的に利用すべきかの判断材料にしたり、採用方針や新しい施策を打った前後でどういった変化があったかの効果測定をしたりといったことができます。
また、候補者情報の一元管理とも合わせて、将来的な採用を見据えたタレントプールの構築や母集団形成の最適化を図ることもできるでしょう。
採用管理システムには多くの製品があり、それぞれが異なる特徴や得意分野を持つため、自社の採用課題の解消に適したものを選定することが重要です。
以下のステップで自社にとって最適なシステムを探し出しましょう。
まず、自社がどういう採用課題を持っていて、それらを解決するためにはどういった機能が必要なのかを明確にしておきましょう。
たとえば、面接の日程調整に時間がかかることが選考辞退の要因にもなっているのであれば、採用管理システムの導入によって、すみやかに日程調整を行えるようにならなければいけません。特に面接官のスケジュール調整に工数がかかっているのであれば、面接アサイン機能も必要になるでしょう。
また、選考以前の応募獲得・認知拡大が課題であれば、求人管理のフェーズに強みを持つサービスから絞り込んでいくことになります。具体的には、求人票や採用サイトの作成、求人媒体の集客効果測定などの機能が挙げられます。
このように、製品選定の際には、自社が抱える採用課題を明確にし、課題解決に欠かせない機能やサービスを洗い出していきます。
連携の可否を確認しておきたい外部ツールは、以下の通りです。
特に、複数の求人サイトを活用している場合は、利用効果の比較・分析を正確に行うために、検討中の採用管理システムが、利用中の全ての求人サイトと連携が行えるかどうかチェックしておきましょう。
最後に。採用管理システムの比較検討を行う際に、機能以外の面で確認しておきたい事項を以下にまとめます。
採用担当者が複数人いる場合には、全員が問題なく扱えるかどうかが重要になってきます。製品を扱うことができない担当者がいる場合、教育やトラブル対応などに割く時間が増え、かえって業務負担が増えてしまう可能性があるからです。
操作性やシステム連携を行った状態での動作検証は、デモンストレーションやトライアル導入を利用するなどして、本契約前に入念に確認しておきましょう。
そのほか、ユーザー認証や操作ログ管理など、自社のセキュリティ基準を満たしているか、システム上で生じたバグやトラブルに対するサポート体制は万全かなど、実際の運用体制と照らし合わせながら、採用管理システムを選定することが重要です。
採用管理システムは、製品によって得意分野と利用できる機能やオプションが異なります。自社の採用課題に適した機能が搭載された採用管理システムを選ぶために、採用管理システムの代表的な機能を事前にチェックしておきましょう。
近年は、AI技術の発展によって、求人媒体の自動効果測定・分析機能や自動スクリーニング（自動書類選考）機能などを実装した採用管理システムも出現しています。
2020年に発生した新型コロナウイルスの影響で、採用活動のリモート化が急速に進み、それに伴って採用管理業務も複雑化の一途をたどっていることもあり、採用管理システムの導入価値は今後も高まっていくでしょう。
本記事で紹介した比較検討ポイントを参考に、自社の課題やニーズ、運用体制に合った採用管理システムをご検討ください。
